
皆川博子著『インタヴュー・ウィズ・ ザ・プリズナー』から三部作を振り返る
作家生活50年目を迎える皆川博子さんの集大成となる
魂を揺さぶる傑作歴史本格ミステリ・シリーズが
本格ミステリ大賞受賞作『開かせていただき光栄です』
その続篇となる衝撃作『アルモニカ・ディアボリカ』
そして――
エドワード・ターナー三部作の最終作
『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』
をもって、ついに完結しました!
早川書房/46判上製/2310円(税込)/6月16日発売
本稿では、三部作の完結を記念して、第1作『開かせていただき光栄です』から順に、シリーズをご紹介していきます。この機会に合わせてお読みいただくのはいかがでしょうか?
開かれたのは、躰、本、謎。
18世紀ロンドン。増える屍体、暗号、密室、監禁、稀覯本、盲目の判事……
解剖医ダニエルとその弟子たちが辿りついた真実とは?
第12回本格ミステリ大賞受賞作
《おすすめ文庫王国2014》
国内ミステリー部門第1位
《このミステリーがすごい!2012年版》
国内ミステリー編第3位
《週刊文春ミステリー・ベスト10 2011年》
国内ミステリー部門第3位
《ミステリが読みたい!2012年版》
国内篇第3位
〈内容紹介〉
18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男性。数刻前まで台上にあったのは、妊娠6ヶ月の準男爵令嬢ではなかったか。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たち――エド、ナイジェル、アル、ベン、クラレンスに、盲目の治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が横たわっていた……
解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが、ときに可笑しくときに哀しい不可能犯罪に挑む。
シリーズ第1作。
解剖医ダニエル・バートンとその弟子たち、通称バートンズの活躍のはじまりです。容姿端麗なダニエルの一番弟子エド、天才素描画家ナイジェル、骨皮(スキニー)アル、肥満体(ファッティ)ベン、饒舌(チャターボックス)クラレンスが、陽気で哀しい《解剖ソング》を口ずさみながら、めくるめく謎を追っていきます。
その屍体は天使か悪魔か?
18世紀英国を震撼させた連続殺人事件から5年後。
暗号の刻まれた謎の屍体が元解剖教室の面々を再び事件の渦中へ誘う。
《ミステリが読みたい!2015年版》
国内篇第4位
〈内容紹介〉
18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。ある日、身許不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。屍体の胸には〈ベツレヘムの子よ、よみがえれ! アルモニカ・ディアボリカ〉と謎の暗号が。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。
本格ミステリ大賞受賞作『開かせていただき光栄です』続篇!
いったん解散した解剖教室の弟子たちですが、ある事件をきっかけに再結集します。ナイジェルの秘められた過去にも迫る、衝撃作です。
囚人探偵エド、最後の事件。
18世紀、独立戦争勃発中の新大陸。
船上の不審死、部族小屋の焼死体、砦のスパイ……
そして、なぜ、英国兵エドワード・ターナーは、
コロナストとモホークの息子アシュリーを殺害したのか?
〈内容紹介〉
18世紀、独立戦争中のアメリカ。記者ロディは投獄された英国兵エドワード・ターナーを訪ねた。なぜ植民地開拓者(コロニスト)と先住民族(モホーク)の息子アシュリーを殺したのか訊くために。残されたアシュリーの手記の異変に気づいた囚人エドは、追及される立場から一転、驚くべき推理を始める。それは部隊で続く不審死やスパイの存在、さらには国家の陰謀にかかわるものだった……
『開かせていただき光栄です』シリーズ最終作。
英国を離れ、アメリカに渡ったエドとクラレンスですが、冒頭からいきなりエドが投獄されて、殺人容疑がかけられています。いったいエドになにがあったのか? クラレンスはどこにいったのか? アシュリーとは何者なのか? 「調査」と「犯行」、二つの時制で、謎が語られ、さらに囚人であるはずのエドによる名推理が展開します!
エドはどうなってしまうのか?
仕掛けられたいくつもの謎をひもときながら、まるで本を通して、皆川さんとエドに優しく抱きしめられているような心地になる感涙のラストに、ぜひ、たどり着いてください!
Yは You all(あなたがたすべてに)、深い愛を捧げる
(バートンズ《解剖ソング》より)