テクノロジーはわれわれを根本的に変えるーー新作宇宙冒険SF『量子魔術師』
11月20日発売のデレク・クンスケン『量子魔術師』は、ミリタリーSF版『オーシャンズ11』? それとも、スペースオペラ版『特攻野郎Aチーム』? と楽しんでいただきたい、アクションたっぷりの宇宙冒険SFです。
あらすじ
詐欺師の“魔術師”ベリサリウスは、遺伝子操作により驚異の量子解析力をもつホモ・クアントゥスの一人。その彼が依頼されたのは厳重に警備された“世界軸”ワームホール・ネットに宇宙船、それも艦隊まるごとをひそかに通すことだった! ベリサリウスは一癖も二癖もある仲間を集めて、手始めに陽動作戦を展開。量子もつれを用いて世界軸を支配する巨大国家を煙に巻く世紀のコンゲームに挑むが……
デレク・クンスケン『量子魔術師』
中国語版がすで刊行されており、中国の星雲賞翻訳部門にノミネートされた本作『量子魔術師』は、あの『三体』著者、劉慈欣が推薦コメントを寄せています。
テクノロジーはわれわれを、肉体さえ、根本的に変える。それをクンスケンは見事に示した。――劉慈欣(『三体』著者)
本作『量子魔術師』で、どんなテクノロジーによりどんな未来が提示されているのか、ぜひみなさま自身でご堪能ください。
***
「派手な見せかけは金がかかる」と彼はいった。「宇宙船や不動産を買う必要がある。役人を買収する必要もあるだろうし、その分野で最良の腕をもった連中に、かなり高額の報酬を提示しないといけない。潜入するスパイが必要で、ほかにも爆破の専門家、航法担当、ほかに並ぶ者のない電子機器の天才、遺伝学者、そしておそらく、異形の深海ダイヴァーと経験豊富な詐欺師も」 (『量子魔術師』9章より)
『オーシャンズ11』や『特攻野郎Aチーム』は、主人公の仲間たちの魅力が物語のキーポイント。『量子魔術師』にも、一癖も二癖もある特殊技能もちの仲間が登場します。最後に、その仲間たちを登場順にご紹介しましょう。
おもな登場人物
ベリサリウス・アルホーナ(ベル) 遺伝子操作により数学能力と記憶力を増強された〈ホモ・クアントゥス〉のひとり。故郷を離れ、詐欺師として生計を立てている。〈魔術師〉の異名を持つ。
アイェン・イエカンジカ少佐 小国〈サブ゠サハラ同盟〉の士官。今回のヤマの依頼主側の交渉役。
カサンドラ・メヒア(キャシー) 〈ホモ・クアントゥス〉。ベルサリウスの昔の恋人。ワームホール物理学研究者。
ウィリアム・ガンダー 詐欺師。ベルサリウスに詐欺の手ほどきをした元師匠。
マンフレッド・ゲイツ=15 遺伝子操作で作られた種族〈ホモ・プーパ〉/パペットのひとり。ただし、彼らが崇拝する〈ヌーメン〉のフェロモンを察知できないため、国外追放されている。
セント・マシュー(マット) AI(人工知能)。自分のことを聖マタイであると信じこんでいる。
アントニオ・デル・カサル 遺伝学者。パペットとヌーメンに関する研究をしていた。
スティルス 深海の底で生きられるよう遺伝子操作された〈ホモ・エリダヌス〉/雑種族(モングレル)のひとり。コングリゲート航宙軍のパイロット。
マリー・フォーカス コングリゲート航宙軍の元軍人。爆発物のエキスパート。
デレク・クンスケン『量子魔術師』金子 司 訳(ハヤカワ文庫SF)
カバーイラスト:Shinnichi Chiba
カバーデザイン:日高祐也
※書影はAmazonにリンクしています。
こちらの記事もどうぞ
・新作宇宙冒険SF『量子魔術師』試し読み