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大森望のSF観光局note出張版#01 矢島舞美主演のSFアクション「LADY OUT LAW!」ゲネプロレポート

大森望さんによる、SFマガジンで大好評連載中のコラム「SF観光局」。SF的トピックをいちはやくnoteでお伝えする「出張版」です!(編集部)

「おまえら、わたしに何したんだよ! わたしの体に何したんだよ!」

 そう絶叫するヒロインは、体の半分を無理やり機械に置き換えられた改造人間。自分をこんな体にした相手に復讐を誓い、スペースコロニーからコロニーへと宇宙を渡り歩いて破壊活動をくりかえす。人呼んで、レイディ・アウトロー……。

 というわけで、“映像宇宙アクション”と銘打つ舞台「LADY OUT LAW!」のゲネプロに行ってきた。場所は品川プリンスホテルの円形劇場、クラブeX。3面あるスクリーンにCGの背景映像を流しつつ、中央の円形の舞台で激しい活劇を展開する。

 ヒロインを演じるのは矢島舞美。昨年6月、リーダーをつとめていたアイドルグループ ℃-uteの解散と同時にハロー!プロジェクトを卒業、15年に及んだアイドル生活に別れを告げ、以降は女優として活動している(卒業以後、主演舞台はこれが3本目)。℃-ute以前(ハロプロキッズ時代)から運動能力には定評があり、女優としても、劇団「秦組」の「らん」やオリジナルビデオ「ブラック・エンジェルズ」三部作で華麗なアクションを見せてきたが、今回、6年ぶりに本格的な殺陣に挑むことになる。

 演出は、「あずみ」や劇団EXILE公演など数々のヒット作を手がけたベテランの岡村俊一。脚本は、「海賊戦隊ゴーカイジャー」出身(ゴーカイシルバー役)の人気俳優でありながら、脚本家・演出家としても活躍する注目の若手・池田純矢。初めて作・演出を手がけた朗読劇「エン*ゲキ#01君との距離は100億光年」と「エン*ゲキ#02 スター☆ピープルズ!!」が、ともに宇宙を舞台にしたSFコメディだったことから、岡村俊一に「宇宙SFを」と依頼され、アイドル矢島舞美の主演作として「LADY OUT LAW!」を書き下ろしたという。

 開演前には、主要キャストとスタッフを囲む質疑応答の時間があったので、SF劇初挑戦の矢島さんに、SFのイメージについて訊いてみると、「想像が及ばない世界、未知の世界ですね。宇宙空間というのも、わたしは宇宙に行ったことがないので。でも、今回の作品では、映像を使ってこの舞台が宇宙になるので、見にきてくださるみなさんも、宇宙にいるという気分で楽しんでいただければと思います」とのこと。
 一方、脚本の池田さんは、もともとSFファンで、小学生のころから宇宙ものの本を読み漁っていたとか。

 そのせいかどうか、「LADY OUT LAW!」の設定は王道の宇宙SF。時は2250年、人類は地球を捨てて宇宙の各所にコロニー(作中ではステーション)を建設。中でも、大司教(神尾佑)が支配する独立国ステーション・ユートピアでは、衣食住はおろか、医療・福祉・娯楽すべてを無料にして、スラムと化した他の貧困コロニーからも大量の移民を受け入れていた。だが、そのユートピアに単身潜入したレイディ・アウトローが、理想国家の恐るべき闇を暴く。

 ディストピアSFとサイボーグ・アクションをミックスしたような世界観のもと、矢島舞美パートは、テンションマックスの長ゼリフ(べらんめえ調)と大立ち回りで突っ走る。アイドルファン的な見どころは、元Dream5の日比美思(教会のシスター役)との対決シーン。元トップアイドル同士が迫力満点のタイマン勝負をくりひろげる。

 ストイックなまでに完璧を目指す女性アイドルが、時に“アイドルサイボーグ”と呼ばれたりすることを思うと(そして、つんく作詞作曲のハロプロ研修生オリジナル曲「『アイドルはロボット』って昭和の話ね」を思い出すと)、だんだん、アイドルの自立を描くドラマのようにも見えてくる。アイドルサイボーグvsアイドルロボットの対決の結果はいかに。

 デッドシリアスな矢島パートに対するお笑い担当が、スラムからの移民トリオ(鈴木勝吾、松井勇歩、増子敦貴)。コントまで実演するこの三人組のわちゃわちゃした楽しげな芝居が、絶妙のコミックリリーフになっている。シリアスと笑いのものすごい振り幅は茫然とするほどだが、懐かしいテイストのSFストーリーに、いまどきの芝居の空気感をうまくミックスしたところがこの作品の魅力かもしれない。

 いよいよ9月14日、「LADY OUT LAW!」初日の幕が開く。9月24日まで、全14公演。円形劇場なので、どの席からも舞台が非常に近く、唯一神・矢島舞美(美しすぎることからついた℃-ute時代のあだ名)の活躍をすぐ目の前で見ることができる。
 また、各公演の応援ゲストならぬ“日替わりセールスマン”として、北原里英、中島早貴、高柳明音、上國料萌衣、浜浦彩乃らの登場もアナウンスされている。

*大森望さんによる「LADY OUT LAW!」の詳細レポートはSFマガジン2018年12月号(10月25日発売号)にて掲載予定です。お楽しみに!

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円形ステージで繰り広げる映像宇宙アクション
「LADY OUT LAW!」
2018年9月14日(金)~24日(月・振休)
東京都 品川プリンスホテル クラブeX
作:池田純矢
演出:岡村俊一
出演:矢島舞美 / 味方良介、鈴木勝吾、小野健斗、松井勇歩、増子敦貴、日比美思、久保田創 / 神尾佑


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