祝! ノーベル文学賞受賞! アニー・エルノー『シンプルな情熱』(堀茂樹訳)増刷&既刊単行本4作も重版中! 『嫉妬/事件』(堀茂樹・菊地よしみ訳)10月26日発売!
スウェーデン・アカデミーは10月6日、「個人の記憶の根源と離反、集団的な抑制を勇気と冷静な鋭さで体現している」として、2022年のノーベル文学賞がフランスの作家アニー・エルノー氏に授与されると発表しました。エルノー氏は、自らの体験を色濃く反映した自伝的な小説オートフィクションの名手として知られ、近年、代表作『シンプルな情熱』と『事件』が映画化され、ふたたび高い注目を集めています。本noteでは、弊社から刊行中の『シンプルな情熱』(堀茂樹訳)と新刊『嫉妬/事件』(堀茂樹・菊地よしみ訳)を中心に、同氏の今までの作品を振り返ります。
著者略歴
1940年、フランス北部ノルマンディー地方のリルボンヌ生まれ。五歳頃から十八歳まで、小さなカフェ兼食料品店を営む両親のもと、同じ地方のイヴトーという町で過ごした。ルーアン大学卒業後、長年高等教育に従事した。1974年、Les Armoires vides(『空の洋服ダンス』、未訳)で作家としてデビュー。1981年に第三作『凍りついた女』(La femme gelée)を発表。父を語った自伝的な第4作『場所』(La place)(1984年)で1984年度のルノードー賞を受賞。つづく第5作『ある女』(Une femme)(1988年)では母を語り、『シンプルな情熱』(1992年)では一転して自己の性愛体験を語って大反響を呼んだ。1993年には、『戸外の日記』(Journal du dehors)を発表。近日発売予定の『嫉妬/事件』に収録の「事件」と「嫉妬」を、それぞれ2000年と2002年に刊行した。2008年に発表したLes Années(『歳月(仮題)』)でマルグリット・デュラス賞を受賞した。2022年にはLe Jeune Homme(『若い男(仮題)』)を上梓し、執筆活動を積極的に続けている。2022年に、ノーベル文学賞を受賞した。
◎「嫉妬」あらすじ
別れた男が他の女と暮らすことを知り、私はそのことしか考えられなくなる。どこに住むどんな女なのか、あらゆる手段を使って狂ったように特定しようとしたが……。盲執に取り憑かれた自己を冷徹に描く。
◎「事件」あらすじ
1963年、中絶が違法だった時代のフランスで、妊娠してしまった子供を堕ろ
して学業を続けたい大学生の苦悩と葛藤、闇で行われていた危険な堕胎の実態を生々しく描く。
巻末には、堀茂樹氏による「訳者あとがき」のほか、フランスで妊娠中絶が合法化された歴史的背景などについての獨協大学名誉教授の井上たか子氏による執筆を、合わせて収録しています。
また、2021年にはフランスのオードレイ・ディヴァン監督による、「事件」を原作とした映画「あのこと」が公開され、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。こちらは、12月2日から、Bunkamuraル・シネマほか全国で上映開始となります。
監督/オードレイ・ディヴァン
出演/アナマリア・ヴァルトロメイ、サンドリーヌ・ボネール
2021/フランス映画/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/100分/翻訳:丸山垂穂
公開/2022年12月2日(金)Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
配給/ギャガ
フランス人俳優レティシア・ドッシュと、ウクライナ出身の世界的バレエダンサーであるセルゲイ・ポルーニン主演で映画化、昨年日本でも映画が公開され、一段と注目の集まった原作の『シンプルな情熱』。代表作のひとつ『シンプルな情熱」も2万部の大増刷が決定。10月中旬以降に全国書店にて順次展開予定です。皆様のお手もとに一刻も早くお届けするべく、現在鋭意増刷中です。もう少々お待ちを!
こちらもエルノ―自身と既婚年下男性との愛を描く、実体験を基にしたオートフィクションです。
◎『シンプルな情熱』あらすじ
「昨年の九月以降わたしは、ある男性を待つこと──彼が電話をかけてくるのを、そして家へ訪ねてくるのを待つこと以外何ひとつしなくなった」
離婚後独身でパリに暮らす女性教師が、妻子ある若い東欧の外交官と不倫の関係に。
彼だけのことを思い、逢えばどこでも熱く抱擁する。
その情熱はロマンチシズムからはほど遠い、激しく単純で肉体的なものだった。
自分自身の体験を赤裸々に語り、大反響を呼んだ、衝撃の問題作。