【著者あとがき全文公開!】カリスマ・ゲームデザイナー芝村裕吏氏の最新書き下ろしSF長篇刊行!
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【著者あとがき全文公開!】カリスマ・ゲームデザイナー芝村裕吏氏の最新書き下ろしSF長篇刊行!

 あきれるほどの大ネタが投入された傑作シリーズ〈セルフ・クラフト・ワールド〉全3巻以来5年半ぶり!
芝村裕吏氏のハヤカワ文庫JA書き下ろしSF作品『統計外事態』2021年2月ついに刊行!

統計外事態

カバーイラスト:POKImari

画像からのリンクはAmazonに飛びます。

 在宅勤務で政府系の統計分析官である主人公の数宝数成(すうほう・かずなり)が、大学SF研究会時代の後輩の伊藤くんとコンビを組み、冤罪を晴らすため逃走しながらサイバー・テロの陰謀の真実へと近づいていく、サイバー統計アクションSFです。

まずは、芝村裕吏氏による、著者あとがきを全文公開します!

あとがき


 早川書房の方であとがきを書く機会があまりないので、ちょっと嬉しい作者の芝村です。
 あとがきを書いていたらカバーのイラストラフがあがってきて、にやにやしながらこれを書いております。私の思い描くイメージ通りのような、そうでないような。そんな感じが毎回楽しみなんですが、今回も良いカバーになりそうです。
 今回、上梓までに大変なお時間を頂きました。三年くらいは原稿を書いていたような気がします。書いては打ち合わせ、そして直しを断続的に繰り返し、こんなに時間を頂いてしまいました。楽しみにしていた読者の方には申し訳ない。
 今回は書いている間に、新型コロナウイルス(COVID-19)があって、人々の行動変容も書かないといけないよねとか、中国を取り巻く国際情勢の変化などを取り込んでいったら、えらい時間が掛かってしまいました。
 結構な枚数を使ったせいで泣く泣く削ったところもあり、一番心残りは猫の描写です。最初はもっと猫を執拗に書いてて話のテーマがよく分からないという話になって、自分が猫大好きなんだなと思い知ることになりました。猫いいですよね。猫。一日三〇分くらい猫動画見ている気がします。そのうち猫小説書こう。
 今回あえて猫に名前をつけていませんが、皆様の愛猫の名前を入れて読んでいただければ、面白くなること間違いなしと思います。
 小説を書くにあたり、本筋とはあまり関係ないながら猫の知能ってどれくらいだろうと、結構書籍をあさったり、実験というか猫と遊んだりしてました。あ、これで執筆が延びたとかではないので安心してください。
 しかし調べると知能というものは、はてなんだろうと、段々分からなくなってくるもので、そこは今回、本文の方にも盛り込みました。 
 猫は文字の概念がありませんが、自分がカワイイの自覚しています。乱暴ではありますが前者は頭悪く、後者は頭良いと言うこともできるでしょう。
 詳しく見ていけば見ていくほど、猫頭良いとかおバカとか、そんな風には一言で言い切れない、というわけです。以前東北の猟師さんたちを取材したとき、イノシシや鹿が頭が良いということを教えられて、うわ、俺今後鹿食えるかなと思ったことがありましたが、あれも同じである方面では人間より頭が良い、ある方面では人間が上という感じで生き物はそこにあるわけです。
 つまるところ知能とは細分化されてモザイク状にあるものなんでしょう。どこの団体というでなしに、頭が良いから殺すなとか適当に言ってたら、今後の研究次第では植物すら引っこ抜けなくなるかもしれません。植物の問題解決システムというのは、確かに頭が良いとしか言えないためです。
 話を猫に戻すと、猫の知能のありようは人間と異なるので、人間が新聞を広げて読んでいると新聞の上に乗って早く撫でろという顔をするのも、PCを前に原稿書いているとすり寄ってきてキーボードを叩く私の手に戦いを挑んでくるのも、人間の感じている意味合いとは違ってきます。
 猫としては文字の概念がないから新聞広げたら、おお、そうか、俺と遊ぶんだな。まかせろ、きりっ! とか考えている可能性が大なのです。そういう風に考える猫は、はたして頭が良いのか悪いのか?
 まあ、カワイイのはたしかなんですけどね。人間の知能に関する考え方や感じ方が変わっていったら、全然違う未来史が描けそうだなと思いました。
 最後になりますが、編集の井手さん、編集部の皆様、営業担当の方、書店担当の方、そしてなにより読者の方に、感謝して筆を置きたいと思います。ありがとうございました。

 二〇二一年一月
芝村裕吏 


統計外事態』芝村裕吏(しばむら・ゆうり)
ハヤカワ文庫JA 02月17日刊/定価:880円(税別)/カバーイラスト:POKImari




ありがとうございます!今日のおすすめは『ザリガニの鳴くところ』です。
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