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発売中のミステリ巨篇『真珠湾の冬』読者からの感想を公開――「壮大な物語」「作家の凄まじい力量を感じる」「ページをめくる手が止まらない」「読み終えた後に深い余韻を残す極上ミステリ」「ロマン溢れる傑作」


『真珠湾の冬』書影

エドガー賞受賞の傑作ミステリ『真珠湾の冬』が発売となりました。今回は刊行前に募集していた読者モニターの方々から本作へ寄せられた感想コメントの一部をご紹介いたします。

◆読者モニター感想


〔とにかく、壮大な物語でした。〕〔極めつけは、戦中の日本の描写。まるでタイムスリップしたかのように、ありありとその光景が目に浮かびます。他方で、ミステリーとしても一級で、素早い展開、ダイナミックなストーリー、ある意味詩的なラストシーンなど、最後まで飽きずに読むことができました。作家の凄まじい力量を感じる一作でした。〕

〔ミステリーとスパイ小説と大河ドラマとロマンスが、見事に昇華した大作に感動しきりです。もうページをめくる手が止まらない。

〔凄惨な犯行現場、あらがうことのできない大きな時代の流れに捉えられ窮地に追い込まれる主人公。それを救うのは相入れない立場の者たちに生まれた皮肉な共感。幾度も日付け変更線を超え、たどり着いた5度目の冬の着地点がさらに想像を超える。スリル、ロマン、2度読みしてしまうほど際立つ愛の表現に胸熱必至。読み終えた後に深い余韻を残す極上ミステリです。〕

〔最初はミステリーではよく種類の、ある殺人事件を追う刑事の物語かと思っていましたが、そこに戦争やら恋愛やらの要素も加わって、とてもスケールの大きな展開になり驚きました。このような展開になるなど想像もしておらず、マグレディの過酷な状況に引き込まれるように後半は一気読みしました。〕

〔まず、人物造形が素晴らしい。主人公ジョー・マグレディ刑事だけでなく、恋人のモリー、同僚のフレッド、脇役の高級娼婦まで、きっきりと、しかもそれぞれが魅力的に描き分けられている。真珠湾攻撃の直前から終戦までの激動の戦乱期が舞台だが、物語はあくまで淡々と、静かに語り進められていく印象だ。冒頭の、猟奇的とも言える殺人事件の犯人捜しが通奏低音としてあるが、読みどころは主人公を軸とした大河ロマンとも言うべき波乱万丈のストーリーで、5年間とは思えない濃密な時を読者は共にすることになる。特に戦時下の東京・谷中を舞台にした交情は美しく、モノクロの日本映画を見るような趣きがある。敵味方の立場を超えた高橋書記官との固い信頼関係、その娘サチと静かに育まれていく愛。決して雄弁ではなく語られる物語は、良質な大河小説の中に身を置くような、豊潤な時間を過ごさせてくれた。著者のジェイムズ・ケストレルは何度も東京に足を運んで取材を重ね、多くの史料にもあたったということだが、日本の作家でも中々ここまで当時の日本を描き出して見せるのは難しいのではないだろうか。殺人事件の舞台がなぜパールハーバーで、なぜこのタイミングだったのか、という大きな謎も、しっかり解き明かされてゆく。そして、ラスト。派手なアクションこそないが小道具の使い方もうまい。個人的には日本映画「隠し剣 鬼の爪」のラストシーンをなぜか思い出した。一つ一つの舞台設定を考えても、映像がイメージされ、できれば映画としても見てみたいと思わせる作品だ。〕

〔探し求める旅は苦しく、切ない。それでも真実を求め続けるマグレディ。 触れ合った愛しい人々との出会い、ホノルル、香港、東京、そして再び。〕

〔大作ですが、読んでいる間はまるで日本の冒険小説を読んでいるのかと勘違いするぐらい読みやすくもあり、翻訳ミステリーが不得意だという方にも是非お勧めしたいロマン溢れる傑作。 脳裏に情景が浮かんでくるだけでなく、すっと心の奥底に響くような美しい描写に思わず没頭。また、ジョーの心の機微も含めて、登場人物の言動なども決して説明しきらずに読者に想像させるような描き方も場面場面に余韻を与えてくれ、思わず時間を忘れて読みふけりました。 序盤は警察小説として始まるも、捜査のために香港に飛んでからは予想もつかない展開が待っており、ジョーの陥った苦難とそこで得たものの行方がどうなるのか、ジョーの平穏を願いつつも、戦争で失われていくものによって高まる哀しみと切なさに胸が苦しくも。 それでも諦めず捜査を続けるジョーの中にある芯の強さが、そしてジョーが出会う女性達の強さが、全体的に覆う重苦しさの中であってどこか希望の光のようであったり、救いにも思えました。〕

◆あらすじ

太平洋戦争迫るハワイ、香港、そして日本。
彼は真実を追い求めた――

1941年ハワイ。アメリカ陸軍上がりの刑事マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な事件の捜査を始める。ウェーク島での新たな事件を経て、容疑者がマニラ・香港方面に向かったことを突き止めたマグレディはそれを追うが、折しも真珠湾を日本軍が攻撃。太平洋戦争が勃発する。陥落した香港で日本兵に捕らえられ、東京へと流れついたマグレディが出会ったのは……。戦乱と死が渦巻く激動の太平洋諸国で連続殺人犯を追う刑事の執念。その魂の彷徨を描く大作ミステリ。解説/吉野仁

【書誌情報】


■タイトル:真珠湾の冬 ■著訳者:ジェイムズ・ケストレル/山中朝晶訳 
■定価:2,200円(税込) ■ISBN: 9784150019860 ■刊行レーベル:ハヤカワ・ミステリ(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


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