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【序文公開】編者・伴名練氏が『2010年代SF傑作選2』の読みどころを語る!

 『2010年代SF傑作選1』に収録された大森望氏の序文に続き、今回は、もう一人の編者、伴名練氏による『2010年代SF傑作選2』の序文を公開いたします。新人SF作家が台頭がしたこの十年。なぜ今国内SFを読むべきか、その理由が解説されています!

 二〇一〇年代の日本SF短篇の傑作を一望する二巻本、その第二巻をお届けする。『1』がゼロ年代以前デビューの作家による短篇を集めたのに対して、『2』に収録した短篇は基本的には二〇一〇年代デビュー作家のもの。「デビュー十年以内の新鋭のみでお送りする一冊」ということになるが、目次を見ればお分かりの通り、既に各種ランキング上位に輝いていたり様々な賞を受賞していたりジャンル外にも名前が轟いていたりする、人気作家・実力派作家が顔を揃え、決して『1』に引けを取らないラインナップとなっている。二分冊の『ゼロ年代日本SFベスト集成』は二十四人の作家を集めていたが、そのうちゼロ年代デビューは四人だけで、大半が八〇年代・九〇年代デビューだった。そのことと比較すれば、二〇一〇年代がいかに新人SF作家を多く世に送り出した時代だったのかお分かり頂けるだろう。
 新人のデビューはジャンルの生命線である。「日本SF冬の時代」と一部で語られた九〇年代は、唯一のSF新人賞であったハヤカワ・SFコンテストが途絶し、SF作家を目指す新人も、日本ファンタジーノベル大賞や日本ホラー小説大賞やライトノベル系新人賞をはじめとする他ジャンルからデビューせざるを得ず、SFファンから注目されるまでにもタイムラグがあった。ゆえに、ゼロ年代のSF新人発掘を担った二つの賞、日本SF新人賞と小松左京賞が二〇〇九年に揃って休止した時点で、SF界の先行きを憂う向きもあった。
 しかし蓋を開けてみれば、入れ替わる形で創元SF短編賞が二〇〇九年に創設され、さらにハヤカワSFコンテストが二〇一三年に再開。両賞とも順調に回を重ねて、二〇一〇年代のSFシーンをリードする作家を多数、輩出した。加えて「カクヨム」などの投稿サイトをはじめ、WEBから頭角を現す作家も登場。二〇一六年にスタートした「ゲンロン大森望SF創作講座」も様々な新人賞からデビュー者を出している。直接のデビューには繋がらないものの、「日経 星新一賞」のようなコンテストも注目された。九〇年代の後半から日本SFを追っているが、新人が多すぎて危うく把握しきれなくなりそうになっているのは今が初めて。体験したことはないが〈SFマガジン〉〈SFアドベンチャー〉〈奇想天外〉〈SF宝石〉が同時にどかどか新人を起用していた八〇年代頭以来の賑わいぶりではないだろうか。この本も新人篇で無理やり一冊作ったわけではなく、むしろ注目の新人として収録したいのに、ページの都合上入りきらなかった作家が多数いるほどだ。
 そんな新人たちのSF短篇発表の場としては、二〇一五年からの〈SFマガジン〉の隔月刊化という逆風も吹いたものの、『書き下ろし日本SFコレクション NOVA』をはじめとするオリジナルSFアンソロジー、中間小説誌や文芸誌のSF特集、WEB、電子書籍、同人誌など多方面に広がり続けている。それでも発表の機会が多いに越したことはないので、各出版社の編集者の皆様は、このアンソロジーを読んで気になる作家がいればぜひ声をおかけください。
 本書の中身について、大森さんが一巻・伴名練が二巻の序文と巻末解説を担当していることもあり、なんとなく大森さんが一巻の、伴名練が二巻のラインナップを決めたように見えるかも知れないがそんなことはなく、作品の選定に当たっては一・二巻の収録作をまとめて議論し二人で決定していった。ただし作品の並べ順に関しては『1』『2』ともに伴名練が叩き台を作って大森さんが修正するという形をとっており、『1』の並びはほぼ伴名案の原型を留めていないものの、『2』は一か所しか直されていないので、何となく『2』の方が自分が担当したアンソロジーという印象が強い。
 ともあれ、ここに収録した作品は、大森望・伴名練のいずれかが日本SFの二〇一〇年代を代表するにふさわしいと考えて選んだものである。十年の精華をぜひ堪能してください。                              伴名 練(『2010年代SF傑作選2』序文より) 

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↓大森望氏による、『2010年代SF傑作選1』の序文はこちら!↓

↓収録作家・収録作品についてはこちらの記事をご覧ください。↓

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『2010年代SF傑作選1』

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『2010年代SF傑作選2』

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