習慣の力

この夏こそ身につけたい! さんざん挫折したあなたも続けられる!『習慣の力〔新版〕』を読んで人生を変えよう。

全米200万部突破のロングセラー『習慣の力』(チャールズ・デュヒッグ著、渡会圭子・訳)が、新たな「著者あとがき」と「解説」を付して、ハヤカワ・ノンフィクション文庫より「新版」として再刊されました。名著の刊行を機に、プロローグと目次を公開します。

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プロローグ

 彼女は研究者にとって理想の被験者だった。

 リサ・アレン──カルテによれば彼女は34歳。16歳で喫煙と飲酒を始め、ものごころついたころからずっと肥満に悩まされていた。20代半ばには、1万ドルの借金を抱え、取り立て業者に追いかけられるようになる。昔の履歴書を見ると、一番長く続いた仕事でも1年も続いていない。

 しかし今、研究者たちの目の前にいる女性は細身で生気にあふれ、ランナーらしい引き締まった脚をしている。カルテの写真より10歳は若く見え、その部屋にいた誰よりも運動していると思われる。最新の報告書によれば、借金はなく、酒も飲まず、グラフィックデザインの会社で働き始めて39カ月目を迎えようとしていた。

「最後にたばこを吸ったのはいつですか?」医師の一人が尋ねる。リサは定期的にメリーランド州ベセスダ郊外にあるこの研究所にやってきて、そのたびにいくつもの質問に答えていく。

「だいたい4年前です。そのころに比べると体重は30キロ減り、フルマラソンを走るようになりました」さらに彼女は大学の修士課程に入学して家も買った。4年間で大きなことをいくつも成し遂げたのだ。

 その研究所の部屋には神経学者、心理学者、遺伝学者、社会学者が集まっていた。彼らは3年前から国立衛生研究所の支援を受け、リサを含めて30人近い元喫煙者、慢性的な過食者、アルコール依存症、買い物依存症などの有害な嗜癖を持つ患者を追跡し、調査を行った。

 このプログラムの対象となった患者には、一つの共通点があった。比較的短期間で生活の立て直しができたことだ。どうすればそんなことができるのか。研究者が知りたかったのはその理由だった。そこで患者の心拍数や血圧を測定し、家の中にビデオカメラを設置して生活を記録し、DNA配列の一部を分析し、脳の中をリアルタイムで見られる技術を使って、たばこやぜいたくな食事などの誘惑にさらされているあいだ、血液や電気インパルスがどのように流れるか観察した。彼らの目的は、「習慣(ハビット)」が神経学的なレベルでどのように働いているか、そしてそれを変えるには、何が必要かを確かめることだった。

【すべてのカギは「キーストーン・ハビット」にあった】

「もう何十回となく話していることだと思いますが、ここにいる人間の中には、間接的にしかあなたを知らない者もいます。どうやって禁煙したか、もう一度、お話しいただけないでしょうか」医師がリサに言った。

「ええ、もちろんです」リサが答える。「きっかけはカイロへの旅行でした」休暇を取って旅行に行くことは、思いつきで決めたことだと彼女は言う。その2〜3カ月前、リサの夫が仕事から戻るなり、「他の女性を好きになったので家を出ていく」と宣言したのだ。夫に裏切られたことを理解し、離婚を受け入れるのには時間がかかった。嘆き悲しむ時期が過ぎると、何度も彼の家をのぞきに行き、町で彼の新しい恋人のあとをつけ、真夜中に無言電話をかけた。そしてある晩、リサは酔っぱらって彼の恋人の家に行き、ドアをたたいてアパートに火をつけてやるとわめきちらした。

「うまくいっているとは言えない時期でした。私は前からずっとピラミッドを見たいと思っていて、幸いクレジットカードの使用限度額は超えていなかったので……」

 カイロに着いた最初の朝、夜明けに近くのモスクから聞こえてくる祈りの声で目をさました。ホテルの部屋の中は真っ暗だった。時差ボケもあり目も半分閉じた状態で、彼女はたばこに手を伸ばした。

 意識がもうろうとしていたため、マルボロではなくペンに火をつけようとしていたのに気づかず、プラスチックが焼けるにおいがしてようやくはっとした。それまでの4カ月、彼女は泣いては口に食べ物を詰め込み、ろくに眠ることもできなかった。意気消沈し、屈辱、ふがいなさ、怒りをいっぺんに味わっていた。ベッドに横になったまま、彼女は泣き崩れた。

「まるで悲しみが波のように押し寄せてきて、それに飲み込まれるようでした。自分の望んでいたことが、すべて消え失せた気分でした。たばこさえまともに吸えないのですから。

 そして私は前の夫のことや、国に戻ったとき仕事を見つけるのがどれほどたいへんか、どれだけ不本意な生活をおくることになるかを考え始めました。健康についての不安は以前から感じていました。私は立ち上がると水差しを床にたたきつけました。そこまで追いつめられて、何かを変えなければならないと思ったんです。少なくとも一つ、自分の思い通りになるものが欲しいと」

 彼女はシャワーを浴びてホテルを出た。タクシーでカイロのでこぼこした道路から砂利道を通ってスフィンクスへ、ギザのピラミッド、そして果てしなく広大な周囲の砂漠を走っているうちに、自分をあわれむ気持ちはどこかへ行ってしまった。

 人生には目標が必要だ。何かそこに向かって努力するものが。

 そこで彼女はタクシーの中で決意した。またいつかエジプトに戻ってきてこの砂漠を横断しようと。

 それは常軌を逸した考えだと、リサにもわかっていた。健康状態は悪いし、太り過ぎているし、貯金もない。目の前の砂漠の名前も知らないし、そんな旅が本当にできるかどうかすらわからなかった。しかしそんなことは問題ではなかった。何か没頭できるものが必要だった。リサは1年で準備しようと決めた。それを成功させるためには何かしらの代償は払わなければならない。

 特にたばこはやめなければならないだろう。
 
 11カ月後、彼女がとうとう砂漠の横断を成し遂げたとき(念のために言っておくと、移動はエアコンのきいた車で、他に6人の同行者がいた)、その一行は水、食料、テント、地図、GPS、送受信可能な無線機など、どっさり積んでいたので、たばこの1カートンくらい増えてもどうということはなかった。

 しかしタクシーに乗っていたときのリサは、そんなことは知らなかった。そして研究者たちにとって、彼女の旅の詳細はそれほど重要ではなかった。重要なのは、リサがカイロで、ある一つの考えを変えたこと、つまり目標達成のために、「たばこをやめよう」と考えたことだった。それがきっかけとなって、いくつもの変化が引き起こされ、やがて彼女の生活のあらゆる面に広がっていった。その仕組みがちょうど理解されつつある時期だった。

 旅行から戻って6カ月、彼女はたばこをやめてジョギングを始めた。すると食生活や働き方、睡眠、貯金のしかたも変わり、仕事のスケジュールをきちんと決め、将来の計画を立てるようになった。走る距離も伸び、ハーフマラソンからフルマラソンを走るようになった。大学に戻り、家を買い、婚約もした。やがて研究者の目にとまってスカウトされた。

 研究者がリサの脳の画像分析を始めたところ、驚くべき発見があった。ある神経パターン(以前の習慣)が、新しいパターンによって覆されていたのだ。以前の行動で見られた神経活動も見られたが、それらのインパルスは新しい刺激に押しのけられていた。リサの習慣が変わったことで脳も変わったのだ。

 その変化を起こしたのはカイロへの旅行や離婚や砂漠横断ではなく、リサが「喫煙」という一つの習慣を変えることに専念したためだと、研究者たちは考えている。その調査の対象となった他の人たちも、同じような過程を経ていた。一つの習慣に狙いを定めることで、他の行動もプログラムしなおすことに成功したのだ。

 そのような習慣をキーストーン・ハビット(要となる習慣)という。

 こうした変化が起きるのは個人だけではない。企業でも、あるキーストーン・ハビットを変えると組織全体が変わることがある。プロクター&ギャンブル(P&G)、スターバックス、アルコア、そしてターゲット。これらの企業はこの原理を利用して、仕事の進め方や社員同士のコミュニケーション、そして(消費者自身に気づかせることなく)買い物のしかたを変化させた。

「新たに、お見せしたい画像があります」リサの実験の終わりに、一人の研究者が言った。コンピューターに彼女の脳の画像が映し出される。「食べ物を見たとき、脳の欲求と空腹に関わるこの部分はまだ活動的です。つまり脳の中で、食べたいという衝動はまだ起きているのです。以前はこの働きのために、あなたは食べ過ぎてしまっていました」彼は脳の中心近くを指しながら言った。

「しかしこの部位に新しい活動が見られます」今度は前頭に一番近い部位を示して言う。「ここは行動の抑制や自制をつかさどる部位と考えられています。実験のたびに、この部位の活動がより顕著になっています」

 リサが研究者にとって理想の被験者である理由は、彼女の脳の画像がとてもわかりやすく、頭の中にある行動パターン、つまり習慣がどこから生まれるのか、マッピングするのに便利だからだ。「人間の意思決定がどのようにして無意識の行動になるのか理解するうえで、あなたは大きな助けになってくれています」医師が彼女に言う。

 その部屋にいた誰もが、何か重要なことが起きそうだと感じていた。

 そして本当に起こったのだ。

【全行動の4割が習慣】

 今朝起きたとき、あなたはまず何をしただろうか? シャワーを浴びた。メールをチェックした。キッチンへ行ってドーナツにかぶりついた。歯を磨くのは風呂に入る前かあとか。靴ひもを先に結ぶのは右足か左足か。出かけていく子供に何と声をかけるか。どの道を通って仕事に行くか。席に着いたら最初にするのはメールのチェックか。あるいは同僚とのおしゃべりか。それともすぐメモを書き始めるか。ランチはサラダ? それともハンバーガー? 家に帰ったらスニーカーにはきかえてジョギングに出かける? それともテレビの前で一杯やりながら夕食を食べる?

「私たちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない」

 1892年にウィリアム・ジェームズはそう書いている。私たちが毎日行っている選択は、よく考えた末の意思決定だと思えるかもしれないが、実はそうではない。それらは習慣なのだ。一つ一つの習慣はそれほど重要ではない。しかし長期的に見ると、食事で何を注文するか、毎晩子供たちに何を言うか、お金を貯めるか使うか、運動をどのくらいするか、考えをどうやってまとめるか、そしてどんな手順で仕事をしているかといったことが、その人の健康や効率、経済的安定、幸福感などに大きな影響を与えている。デューク大学の研究者が2006年に発表した論文によると、毎日の人の行動の、じつに40パーセント以上が、「その場の決定」ではなく「習慣」だという。


 本書は3部に分かれている。

 第1部は、個人の生活の中で習慣がどのように出来上がっていくかをテーマにしている。いわば「個人の習慣」である。具体的には、いかにして新しい習慣がつくられ、古い習慣が変わっていくかといった、「習慣の形成」を神経学的に掘り下げていく。たとえば一つの広告が、それまであいまいだった歯磨きという行為を、強迫的な習慣にまで押し上げた過程について考える。他にはファブリーズというスプレーを消費者の習慣に組み込んで10億ドルのビジネスに育て上げたP&G、依存症の核となっている習慣を壊すことで患者の生活を立て直しているアルコール依存症更生会(AA)、そしてフィールドでの小さなきっかけに対する選手の反応を変えることに専念して、NFL最下位だったチームの運命を変えたアメリカン・フットボールのコーチ、トニー・ダンジーなども紹介していく。

 第2部は成功している企業や組織の習慣を分析している。ポール・オニールという辣腕CEO(のちに財務長官に就任した)は、一つのキーストーン・ハビットをつくることだけを目標にして、経営不振だったアルミニウム製造会社をダウ・ジョーンズ工業株の中でもトップクラスの業績をあげる企業へと変身させた。スターバックスが意志の力を強化するための習慣を身につけさせることで、高校中退者を一流マネジャーに育てた事例も詳しく説明している。またどれほど才能に恵まれた外科医でも、組織によい習慣が根付いていなければ致命的なミスを犯してしまう可能性があることも取り上げている。

 第3部は「社会の習慣」に目を向ける。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアと公民権運動が成功した要因の一部は、アラバマ州モンゴメリーに根深くはびこっていた社会習慣を変えられた点にある。それと同じ手法で、リック・ウォレンという若い牧師はカリフォルニア州サドルバック・バレーにアメリカ最大の教会をつくった。なぜそれらがうまくいったのか、その理由を解説している。

 最後はとても難しい倫理的な問題を扱う。一つ例をあげると、「人殺しをしたのは習慣のせいだ」と人々を納得させられたら、その容疑者は無罪になるのか、といった問題だ。

 どの章でも議論の中心にあるのは、「習慣は変えられる」ということだ。ただしそれは習慣の仕組みをきちんと知っていればという条件がつく。

 この本は何百という学術的研究、300人を超える科学者や企業幹部へのインタビュー、何十という会社が行った研究をもとにしている(*)。*ソースについては以下のサイトを参照 http://charlesduhigg.com

 ここで扱う習慣とは、専門的に次のように定義される──ある時点で意図的につくり、やがて考えなくても毎日、何度も行うようになるもの。私たちはどのくらい食べるか、職場に着いたら何をするか、週に何回酒を飲むか、いつジョギングに行くかといったことを、ある時点で意識的に決めている。やがて決定をしなくなり、その行動は無意識のものとなる。それは神経学的には自然の結果だ。そしてこれがどのようにして起こるのかを理解すれば、自分の好きなようにパターンをつくりなおすことができるのだ。

【暴動を防ぐ秘策】

 私が最初に習慣の科学に興味を持ったのは8年前、イラクのバグダッドで新聞記者をしていたときのことだ。活動中の米軍を見て私は思った。これこそ史上最大級の習慣形成の場だ。

 基礎訓練では砲火を浴びながら、どのように発砲し、思考し、コミュニケーションを取るか、入念に計算された習慣をたたき込まれる。戦場での命令はすべて、無意識にできるようになるまで練習した行動を引き出すようにできている。基地をつくる、戦略を立てる、攻撃にどう備えるか決定するなど、軍隊という組織全体が決まった手順に頼っていて、それは延々と繰り返すことで身につけるしかない。

 戦争が始まって間もなく各地で暴動が起き、死者の数がどんどん増えているころ、米軍の司令官は、兵士やイラク人のあいだに浸透させて永続的な平和をもたらす「習慣」をさがしていた。

 私がイラクに入って2カ月がたったころ、首都から90マイル(150キロ)南にある小さな町クーファで、ある将校が即席の「習慣変更プログラム」を開くと聞いた。彼は陸軍少佐で、最近の暴動のビデオを分析し、あるパターンを発見したという。暴動が起こる前は、たいていイラク人が町の広場などに集まり、数時間のうちにその数が増える。野次馬の他に食べ物を売る行商人なども集まってくる。そこで誰かが石や瓶を投げて大混乱に陥る。

 その少佐がクーファの市長に会ったとき、不可解な提案をした。食べ物売りの行商人を広場から排除できますか? もちろんだと市長は答えた。それから2〜3週間たち、クーファの大モスク近くに少数の集団が集まっていた。午後になるとどんどん人が増えていく。怒りのスローガンを叫ぶ人々もいた。イラクの警察は不穏な空気を察し、無線で米軍に出動を要請した。夕暮れになり、群衆は疲れて空腹になり始める。いつもなら広場にたくさんいるケバブ売りをさがすが、その日は行政の力によってすべて排除されていた。野次馬は立ち去り、スローガンを叫ぶ人々も元気がなくなる。午後8時になるころには、誰もいなくなっていた。
 
 私がクーファ近くの基地を訪れたとき、その少佐に話を聞いた。習慣に関しては、必ずしも群衆の力学を考える必要はないと彼は言う。しかし彼は軍人になってからずっと、習慣形成の心理学の訓練を受けてきたようなものなのだ。

 新兵訓練キャンプでは、紛争地帯で眠る、混沌とした戦闘状態の中で集中力を保つ、疲れ切っているときに決断をするといった習慣を徹底的に身につけた。またお金を貯める、毎日運動をする、行動を共にする仲間たちとコミュニケーションをとる習慣を教える講座にも出席していた。階級が上がっていくと、部下が上司に許可を求めずとも決断をくだせるようにする組織の習慣がいかに大切か、そして正しい手順を決めて習慣化すれば、ふつうなら我慢できない相手とも、うまく仕事ができることを学んだ。そして当時、臨時とはいえ国づくりに関わる立場にあった彼は、群衆や文化が同じルールに従っているのを見ていた。ある意味で、コミュニティというのは何千人もの行動に現れる習慣の巨大な集まりで、人がそこからどのような影響を受けるかによって、暴力にも平和にもつながるのではないかと彼は言う。広場から食べ物売りの行商人を排除する以外にも、彼はクーファで住民の習慣に影響を与える実験を何十と行っていた。彼がその地に入ってから、暴動は起こっていなかった。

「私が軍隊で学んだもっとも重要なことは、習慣を理解したことだ」と少佐は言う。

「世界の見方がすべて変わる。すぐに眠って朝はすっきり起きたいと思ったら、夜の習慣と、起きたときに無意識に何をしているかを調べてみる。楽に走れるようになりたければ、それを習慣化するための引き金を見つける。私は子供たちにそれをたたき込んだ。妻とは結婚するとき、どんな習慣を身につけるか計画を立ててそれを書き出した。指揮官との打ち合わせでも、話したのはこれだけだった。クーファでは、ケバブ売りを締め出せば群衆の行動を変えられるなどと言う人はいなかっただろう。しかしすべてが習慣の集まりだと知ること、それは懐中電灯とバールを手に入れるようなものなんだ。道具があれば、問題解決のための糸口をつかめる」

 その少佐はジョージア州出身の小柄な男だった。彼は話しているあいだ、絶え間なくヒマワリの種か噛みたばこをカップの中に吐きだしていた。彼は軍隊に入るまで、自分にできるのはせいぜい電話線の修理屋くらいだと思っていたという。場合によっては麻薬の売人になっていたかもしれない。高校時代の仲間には、実際そうなった者もいる。しかし今は世界でもっとも高度な戦闘組織の一つであるアメリカ軍で800人の兵士を監督している。

「私のような田舎者でもできたのだから、誰だってできると言いたい。部下の兵士たちにはいつも、正しい習慣を身につければ、できないことは何もないと言っている」

 この10年で、習慣やパターンが毎日の生活、社会、組織の中でどのような働きをしているかについての理解は、50年前には想像できなかったほど広がった。今、私たちは習慣がどう生まれて、どう変わるか、そしてその構造の裏にある原理も知っている。あとはそれをパーツに分けて自分に合ったスペックに組み立て直すことだ。どうすれば食べる量を減らし、運動量を増やし、もっと効率的に働き、健康的な生活をおくれるようになるか。

 習慣を変えることは楽ではないし、すぐにできるものでもない。常に単純というわけでもない。

 けれども習慣を変えることは可能だ。そして今、そのための方法もわかっている。

目 次

プロローグ 
すべてのカギは「キーストーン・ハビット」にあった /全行動の4割が習慣 /暴動を防ぐ秘策 

第1部 個人の習慣 

第1章 「習慣」のメカニズム──行動の4割を決めている仕組みの秘密 
忘却の彼方に /記憶の不可思議 /一人の散歩 /ラットの脳が働かなくなるとき /習慣の誕生 /悪いループから抜ける方法 /「きっかけ」さえあれば /ファストフードの呪縛 /幸せな人生 

第2章 習慣を生み出す「力」──ファブリーズが突然大ヒットした理由 
膜を除去しよう! /第3のルール /なぜ売れない? /習慣化ののち生まれたパターン /運動する習慣はなぜ生まれるのか /見つけた! /「膜」ではなかった!

第3章 習慣を変えるための鉄則──アルコール依存症はなぜ治ったのか 
最弱チームを最強に /正反対の戦略 /アルコール依存症を治す巨大組織 /トニー・ダンジーの鉄則とAAとの共通点 /爪を噛む癖 /「君は何を見ている?」 /ジョンの独白 /信じる力 集団の力 /大逆転 /信じる者は 


第2部 成功する企業の習慣 

第4章 アルコアの奇跡──会社を復活させた、たった一つの習慣 
何かを変える /要の習慣となった「安全」 /架空のビデオ /小さな勝利 /社員の死が会社を変えた /乳児を救う方法 /功臣よりも重い社是 

第5章 スタバと「成功の習慣」──問題児をリーダーに変えるメソッド 
うまくいかない人生 /意志の力 /意志力を問う実験 /意志の筋肉は鍛えられる! /リハビリの秘訣 /転換点への対処 /創業者ハワード・シュルツ /「母が僕と同じくらいラッキーだったら」 

第6章 危機こそ好機──停滞する組織をいかに変革させるか 
起こるべくして起きた事故 /企業内ルーチンの最重要ポイントとは /デザイナーの正しい習慣 /予兆の炎 /地下鉄の悲劇 /危機から生まれる可能性 /ショックからの改革 /危機こそ好機 

第7章 買わせる技術──ヒット商品を自在に生み出す秘策 
買い物客の習慣とは /データ社会のショッピング /買い物の習慣が変わるとき /絶対ヒットする曲? /スティッキーな理由 /アメリカ人に内臓肉を食べさせる方法 /ヒット曲をつくりだせ! /カモフラージュで嫌悪感を回避 /古い習慣にくるむ 

第3部 社会の習慣 

第8章 公民権運動の真相──社会運動はどのようにして始まるのか 
なぜローザ・パークスだけが? /発 火 /「弱いつながり」の強い力 /実行と不実行を分けるもの /リーダーの誕生 /教会をつくれ! /3度目の神の声 /キリストの習慣を身につけよう /運動の本質を変えた演説 /社会運動が生まれるとき 

第9章 習慣の功罪──ギャンブル依存は意志か習慣か 
ギャンブル依存は意志か習慣か /夢遊病者の悲劇? /夜驚症という病気 /罪が重いのはどちらか? /復 活 /ギャンブルにはまる理由 /小さな餌で脳が停止する /どんな習慣でも変えられる /自由意志を信じる意志 

付録──アイデアを実行に移すためのガイド

ステップ1 ルーチンを特定する 
ステップ2 報酬を変えてみる 
ステップ3 きっかけを見つける 
ステップ4 計画を立てる 
ペーパーバック版あとがき 

解 説 「生活習慣、それがすべてです」/隂山英男

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