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ヒューゴー賞受賞作家が贈る新時代スペースオペラ『巡航船〈ヴェネチアの剣〉奪還!』

短篇「知られざるボットの世界」(SFマガジン2019年2月号掲載)とその続篇「忘れられた聖櫃せいひつ―ボットたちの叛乱─」(SFマガジン2023年2月号掲載)で、二度のヒューゴー賞を受賞した作家スザンヌ・パーマー。その著者が、満を持して発表したデビュー長篇SFが、『巡航船〈ヴェネチアの剣〉奪還!』です。ハヤカワ文庫SFより、寺田克也氏の装画で発売中!

捜し屋ファーガソンは、盗まれた巡航船〈ヴェネチアの剣〉を取り戻す仕事を引き受け、辺境星系のコロニー群、セルネカン連邦にやってくる。だが到着直後、地衣類農場主が殺される現場に遭遇。犯人が船を盗んだ相手だと判明したことで、彼は宙域の勢力争いの戦争に巻きこまれていく。不気味な異星人アシイグが徘徊するなか、船を奪還するためファーガソンがくりだした奇策は!? 新時代スペースオペラ傑作。

解説の鳴庭真人氏には「暗い世相が続く昨今、読書の間ぐらい子供の頃のようにワクワクハラハラする気分に浸っていたい。そんなあなたにお勧め」と書いていただいています。また、「設定だけみればいかにもオールドスタイルなスペースオペラに映るかも」と。
一方で、池澤春菜氏にはTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で「オススメの最新シスターフッド小説」として紹介いただきました。
いかにもオールドスタイルふうな最新シスターフッド小説……不思議に思われるかもしれませんが、それは両立するのです。なにせ700ページもあり、その中で縦横無尽に主人公たちが冒険する物語ですから。

この記事では、登場人物を紹介していきます。

  • ファーガス・ファーガソン……主人公。捜し屋ファインダーで、盗まれたものを正当な持ち主のもとに必ずしも合法的とは言えない方法を用いて取り戻すことを生業としている。別名アンダーソン・アンダーズ。別名ゴード・ゴードン。今回は知り合いから盗まれた巡航船〈ヴェネチアの剣〉を取り戻すために辺境の地セルネカン連邦にやってきた。

  • マリ・ヴァーン……〈ホイール集合体〉地衣類農場を営むヴァーン一族の娘。ヴァーン一族はみな女性で、皆同じ顔をしている。なにか秘密が……? 冒頭で、一族の族長であるマザー・ヴァーンがファーガソンの目前で殺される。そのため最初はファーガソンを怪しんで後をつけるが、のちにファーガスを手助けする。

  • ハリー・ハーコート……〈ホイール集合体〉の武器商人。セルネカン連邦の〈ビッグ5〉の一人。火星にルーツがある、家族思いの仕事ができる男。

  • アレリン……ハーコートの娘。マリの親友だったが、けんか別れみたいな形で今は火星に留学中。しかし、今回の騒動のため……。

  • ベイル……ハーコートの部下。ファーガソンを助ける有能な男。

  • アラム・ギルガー……ギルガーストーンを拠点とするスクラップ業者。〈ビッグ5〉の一人。〈ヴェネチアの剣〉を盗んだ一味。7年前にどこからともなくセルネカン連邦に現れて、いつのまにか犯罪組織のボスに。

  • ヴィンシック……鉱石や闇物資の交易業者。〈ビッグ5〉の一人。ギルガーに弱みを握られているらしい……?

  • 総督……セルネカン連邦政府の統治者。〈ビッグ5〉の一人。

  • イリ……大型医療センターと酸素生成工場の所有者。〈ビッグ5〉の一人。

  • 守り人シールダー……陽光遮蔽装置サンシールドの守護者。セルネカン連邦を創設した技術者たちの末裔。セルネカン連邦のほかの住人と関わらないように暮らしているが……。

  • 〈ヴェネチアの剣〉のAI……ギルガーの一味に盗まれて、セルネカン連邦にとらわれている。高性能な疑似知性を備えているが、いまは封じ込められている。

  • アシイグ人……謎の異星人。地球人は数十におよぶ知的生命体とそれなりの関係を築いているが、アシイグ人はどの知的生命体からも恐れられている。その彼らの船が、セルネカン連邦をときおり通り過ぎていく。

ぜひお楽しみください。

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『巡航船〈ヴェネチアの剣〉奪還!』
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スザンヌ・パーマー  月岡小穂 訳
装画:寺田克也  装幀:岩郷重力
ハヤカワ文庫SF/電子書籍版
1,760円(税込)
2023年2月21日発売