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コムロ世代、エヴァ世代に捧げる! 共感度MAXの〔中2〕青春小説できました!


黒瀬陽さんのデビュー作、『別れ際にじゃあのなんて、悲しいこと言うなや』が刊行されました。本書は1996年の広島が舞台。当時のキーワード(PHS、シノラー、バーチャファイター、プリクラ、チョベリバ)がちりばめられる中、5人の個性的な中学生が、友情、恋、冒険を通して――やがて迎える〔別れ〕に向けて絆を深めてゆく青春小説です。

読みどころは、5人の自意識カジョーから生み出される「しょうもないイベント」の数々。もてるためにやせたり、クラスの人気グループに入ろうとしたり、スケボーや楽器をマスターしようとしたり……誰もが「あるある! 自分もやった!」と思える逸話ばかりです。

本記事では、5人のキャラクターと同じく、中2の時にイケてなかった社員の座談会を掲載し、いかに中2時代とはおもしろくしょうもない時代だったかをご紹介します。(刊行記念特製リーフレットより抜粋・編集した座談会です)


【イケとらん5人組が突っ走る青春!『別れ際にじゃあのなんて、悲しいこと言うなや』刊行記念】

早川書房社員による“めちゃ×2イケとらん”座談会

〔Y、中学のバレンタインデーが悲惨の巻〕

Y えーと、バレンタインデーの時が一番最悪なイベントで、バレンタインの前日は普段の安いシャンプーじゃなくてお父さんのすっごい高級なシャンプーを使って髪洗って、それでこう、お母さんの三面鏡見て「この角度はかっこいいな」とか…
(一同笑)
Y 45度がいいな、やっぱ50度かな、とか…
I それはちょっとわかります。僕も中学生の頃鏡見てましたもん。
Y 見るよねー。男子はこうね、合わせ鏡とか見てすっごいかっこつける。
I あと、初めてワックス買うの中学生くらいですよね。
Y そうそうそう、マンダム、ギャッツビーとかでさ…。スプレーとかジェルとかムースとか…。何派?
I 僕はワックスが多いですね、今の所。
Y 僕ムース派だな。
I あれ、でも今そんなにきちっと固めてないですよね?
Y 僕中2の時はきちっと固めてたの。
I ムースは、なんかギャッツビーの銀のデカイ缶はダサい風潮があって、丸っこい形のワックスが主流でしたね…。
Y あれかっこいいよね。
S へえー、そんなのあるんだ。
Y 本木雅弘がCMやってたやつだよね。それでキメて学校いって、それでチョコ0個とかだったんじゃない?
I そうですね。
Y 僕3年間0個だったよ。
I 僕も中学は「ほぼ」0個でしたね、中学陰キャラでしたし…。
Y 僕中2より中3が一番暗黒で、もう卒業じゃん? 卒業の記念に「Yくんチョコレートあげるからね」って言ってくれた女の子がいて「ありがとう」って言ったら「やるわけないじゃんバカ」って言われたことがあって…。
S ええーー。それはひどい。
Y これが僕の中学校のメモリーかって悲しくなってね、それが一番暗黒かな。僕もうバレンタイン嫌い。会社入ってからもさ、義理チョコとかいただくじゃん? 「一つどうぞ」って言ってくれるけど「いいです、いりません」って断ってる(笑)
(一同笑)
I 完全にトラウマになってますね…。


〔I、中学の時のあだなが残念だった…の巻〕

I 僕は中3の時のあだ名が最悪でした。中3はいじられキャラだったんですけど、つけられたあだ名が結構ひどくて「タイのニューハーフ」とか「人面魚」とか。今となってはよくわからないんですけど、そういうあだ名をつけられてて。「人面魚」って呼んでくる女の子はバレンタインにチョコくれるって言うから喜んでたんですけど、外袋に焼き魚が印刷されてるチョコで、ちょっと悲しくなりました。なので今でも実家の冷蔵庫に入れてあります。
Y 中3からキャラが変わったきっかけってあったの?
I それはやっぱりメンバーがガラッと入れ替わったからだと思いますね。
Y 『じゃあの』(のストーリー展開)と一緒じゃん。
I 中2の時は人間関係に馴染めてなくて一人で本読んでたりしてたんですけど…。
Y イケてないな。イケてないってより重いね。クルンみたい。
I でも中3の時には周りの友達にいじられて楽しく過ごしてたように思いますね。あとはバスケ部の友達とかもいたんで…。/そういえば僕ミクシィのハンドルネームを好きなアーティストの歌詞から取ってました。「少年D」っていう名前で。ラッドとかバンプ聴いてましたね。
S 私「最大公約数(RADWIMPSの曲名)」とかの歌詞を机に書いてた。
Y いいねー。中2だね。
S あとバンプの「車輪の唄」が大好きで、あだ名が「車輪」になりました。
Y え、ちょっと待って待って、急にイケてないエピソードもってくるじゃん(笑)。あだ名が車輪だったの?
S そうですね、特に男子から「シャリン、シャリーン」って呼ばれてました。
I イケてない!
Y 僕はね、あだ名「空気椅子」だった。
(一同笑)
I 得意なんですか?
Y 僕、卓球部だったんだけど、めっちゃ上手いやつがいて全然勝てなくて。「卓球ではあいつに負けるけど、空気椅子ではあいつに勝つんだ」って言ってたら、「じゃあお前空気椅子ね」ってなった。
(一同笑)


〔S、中学の時に何度も告白されるの巻〕

I Sさんは、中2女子的な話あります?
S んー、割と周りの友達に恵まれてきたからイケてないエピソードってそんなにないんだけど、中学校3年間ずっと私のことが大好きな男の子が1人いたの。Fくんっていう子で。Fくんには3年間に6回も告白されたんですよ。
I すごーい!
S それ以外の子は一切告白してこなかったんですけど(笑)。でも私はFくんのことをかっこいいと思えなくて、毎回断ってたんです。ただ卒業式の日にもう1回告白されて、その時はちゃんと一週間くらい迷ったんですよ。結局、今後もう会わないでしょうってことで断っちゃったんですけど。でも、その後高校3年間で一切モテなくって。その時になって初めてFくんって素晴らしいなって気づいて、付き合ってたら幸せに過ごしてたかもと思いました。Fくんには申し訳ないことをしたな、と切なくなりました。
Y Fくんはクルンたちの中にいないキャラだ。みんな女子なら誰でもいい系…。
S でもFくんとは全く会話したことなかったんですよ。中1で同じクラスだったんですけど、恥ずかしくて話せないところがあって。メールでやり取りはするけど、学校では一切喋れない、みたいな。そういうのがあって告白してきたのかな、と思いました。
Y どこが好きかって言ってきてくれた?
S いや、それはなかったんですよね。中1の時に合唱祭の委員を決めることがあったんですけど、それに私は立候補していて。もう1人が全然決まらないって時にFくんが立候補してきてくれたのは嬉しかったなあ。
Y 委員会あるあるだ、それ。でもイケてなくないね、いい話(笑)。


Y 『じゃあの』に出てくる5人はホントにイケてないけどもし彼らがいたら中学時代がもっと面白かっただろうなあ、と思うんですよ。中学がイケてた方もイケてなかった方も、『じゃあの』を読んで当時を思いだして、あの時代を懐かしんでくださるといいなと思います。
I ここまで読んでいただきありがとうございました。『じゃあの』も読んでくださると大変嬉しいです。それでは。


『別れ際にじゃあのなんて、悲しいこと言うなや』黒瀬陽/著

イラスト/めばち

2018年6月19日発売/1400円(税別)