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大好評発売中!『死と奇術師』の著者トム・ミード氏から日本のミステリファンに向けての特別メッセージ!


『死と奇術師』書影

 解決篇袋とじの傑作謎解きミステリ『死と奇術師』が好評発売中です。
 本日は、作者のトム・ミード氏から日本のミステリファンに向けて特別メッセージが届いたので公開いたします!
 日本の「本格ミステリ」、「新本格ミステリ」とトム・ミード氏との接点とは!? ミステリファン必読です。

著者特別メッセージ

 まず最初に、私の小説『死と奇術師』に関心を寄せてくれた日本の読者の方々に、この場を借りてお礼を申し上げたいです。
 この本は、ジョン・ディクスン・カーやエラリイ・クイーン、クリスチアナ・ブランドなどの私のお気に入りの黄金時代の作家たちが書いてきた密室もののミステリへのオマージュであり、愛の結晶です。もちろん、日本のミステリ、特に「本格ミステリ」や「新本格ミステリ」が好きなので、その影響も受けています。
 ですから、『死と奇術師』が日本で刊行されたことは感激で、光栄に思っています。

 多くの英語圏のミステリファンと同様に、私がミステリというジャンルに出会ったのはアガサ・クリスティーの作品を読んだ時でした。彼女の偉大な作品に出合うことができたのは、私の読書人生においてとても重要なことだったというのは間違いありません。けれども、それ以上に幸運だったのは、彼女の小説が「探偵小説の黄金時代」へと私を導き、そこでほかの素晴らしい作家に出会うことができたということです。事実、『死と奇術師』は、最も尊敬する作家であるジョン・ディクスン・カーに捧げています。
 ご存じの通り、私は密室ミステリや不可能犯罪ミステリが好きで、だからこそカーの書く素晴らしい作品が好きでたまらないのです。手品のような「不可能」な問題を考えることも好きなので、クレイトン・ロースンやヘイク・タルボットにも心酔しています。
 けれども、もっと複雑で、もっと悪魔的で、もっと挑戦的なミステリを追い求めていた私は、そこで初めて日本のミステリに出合いました。

 それが、島田荘司の『占星術殺人事件』でした。この本を読んだときの衝撃は、初めてカーやクリスティーの作品を読んだときに勝るとも劣らないものでした。奇想天外でゾッとするような真相が解き明かされるこの傑作ミステリに出会って以来、私は「本格ミステリ」や「新本格ミステリ」の作品が英語に翻訳されると、すぐに読むことにしています。まだ翻訳されていない作品は多いですが、それでも英語圏における「本格ミステリ」の読者はどんどん増えています。綾辻行人の『十角館の殺人』、法月綸太郎の「緑の扉は危険」、東野圭吾の『悪意』『容疑者Xの献身』、山口雅也の『生ける屍の死』、有栖川有栖の『孤島パズル』、鮎川哲也の『赤い密室』といった傑作に出会えたことは大きな喜びでした。私の書斎はこうした傑作たちで埋め尽くされたのです。横溝正史の作品も、近頃、何冊か翻訳され、人気を博しています。最近、彼の代表作である『獄門島』を読んだのですが、次作が待ち遠しくてたまりません。

 私は、自分はフェアプレイの精神に則った正統派の本格ミステリの学徒だと考えています。黄金時代以降のミステリを読む中で出会った、斬新な(そして残忍な)不可能殺人の数々が今も好きでたまりません。読者の皆さんには、こうした作品を書いてきた偉大なる先人たちへのオマージュとしての『死と奇術師』を楽しんでいただきたいと心から願っています。
 そして、奇術師であり探偵でもあるジョセフ・スペクターの不可思議でゾッとするようなマジックが、“不可能犯罪”の故郷である日本で支持されることを心から願っています。

トム・ミード

あらすじ

一九三六年、ロンドン。高名な心理学者アンセルム・リーズ博士が自宅の書斎で殺された。現場は完全な密室状態。手掛かりも、犯人の目撃者も、凶器もなかった。この不可解な事件の捜査を依頼された元奇術師の私立探偵ジョセフ・スペクターは、容疑者である博士の患者たちに翻弄されながら、彼が隠していた秘密へ近づいていく。だが、不可能犯罪と奇術は紙一重だと語るスペクターの前に、再び奇妙な密室殺人が起こり……。精緻なロジックと魅力的な謎で読者に挑戦する、本格謎解きミステリの傑作。解説/千街晶之

【書誌情報】

■タイトル:死と奇術師 ■著訳者:トム・ミード/中山宥訳 
■定価:1,980円(税込) ■ISBN: 9784150019907 
■刊行レーベル:ハヤカワ・ミステリ(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


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