世界の文学界が絶賛したメキシコ発の衝撃作『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール/宇野和美訳)12月20日発売
2020年のブッカー国際賞最終候補となり、英米はじめ様々な国の紙誌で絶賛された小説『ハリケーンの季節』(原題 Temporada de huracanes)を2023年12月20日に刊行します。
メキシコの作家フェルナンダ・メルチョールによる本作は、『ブラッド・メリディアン』(コーマック・マッカーシー)、『2666』(ロベルト・ボラーニョ)を引き合いに出して評価される傑作です。
現在までに34言語で刊行され、近年もっとも世界的な注目を集めるスペイン語圏の作品となりました。翻訳は、グアダルーペ・ネッテル『赤い魚の夫婦』などを手がける宇野和美さんです。
◉あらすじ
〈魔女〉が死んだ。
都市から離れた村で、外界と隔絶していた魔女。鉄格子のある家にこもり、誰も本当の名を知らない。村人から恐れられつつ、秘かに頼られてもいた。困窮する女たちの悩みを聞き、様々な薬をあたえ、堕胎の手助けをしていたのだ。莫大な遺産があるという噂もあった。
魔女は殺された。暴力が吹き荒れるこの村の誰かに。魔女の家の前にいた男たちを目撃したジェセニア、その従弟で麻薬常習者のルイスミとその悪友ブランド、売春宿を営むチャベラとその夫ムンラ、継父の性虐待から逃れてきた少女ノルマ……。村の人びとの言葉が導く、あまりに悲痛な真実とは――
荒々しくも詩的な言葉で暴力の根源に迫り、世界の文学界に強烈な衝撃を与えたメキシコの新鋭の傑作。
文学ジャーナリスト賞[メキシコ]受賞、国際文学賞[ドイツ]受賞、国際ダブリン文学賞最終候補、全米図書賞翻訳文学部門候補、ニューヨーク・タイムズやガーディアンなど有力紙誌による年間ベストブック選出。
◉著者紹介
フェルナンダ・メルチョール Fernanda Melchor
1982年、メキシコのベラクルス州生まれ。小説家、ジャーナリスト。現代メキシコの最重要作家のひとりと評される。2013年、長篇小説Falsa liebre(『偽のノウサギ』未邦訳)でデビュー。同年、ベラクルスの犯罪事件を追ったノンフィクションAquí no es Miami(『ここはマイアミではない』未邦訳)を刊行。2017年、第2長篇小説の本作『ハリケーンの季節』を発表。ベラクルスの架空の村で起きた殺人事件を土地の言葉で語り、国内のみならずスペイン語圏の読者から注目を集めた。2019年、本作のドイツ語版がアンナ・ゼーガース賞と国際文学賞を受賞。翌2020年に英訳されると、英米の文学界に強烈な衝撃をあたえ、同年のブッカー国際賞最終候補、全米図書賞翻訳文学部門の候補に選ばれるほか、数々の紙誌で絶賛された。34言語で翻訳が決まり、近年もっとも世界的な注目を集めるスペイン語圏の作品となった。
◉訳者略歴
宇野和美(うの・かずみ)
東京外国語大学卒業、スペイン語圏文学翻訳家。訳書に『吹きさらう風』セルバ・アルマダ、『花びらとその他の不穏な物語』『赤い魚の夫婦』グアダルーペ・ネッテル、『きらめく共和国』アンドレス・バルバ、『小鳥たち マトゥーテ短篇選』アナ・マリア・マトゥーテ他多数
◉写真・装画
写真:苅部太郎
装幀:大久保伸子
『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール、宇野和美訳)は、早川書房より2023年12月20日発売です。