【重版出来!】未知のウイルスをテーマにした超災害ミステリ『月の落とし子』が、いま注目される理由とは?
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2019年11月に刊行された第9回アガサ・クリスティー賞受賞作『月の落とし子』は、ミステリーの新人賞である同賞の歴代受賞作と比較すると、はっきりと異色作でした。「月で発見されたウイルスに感染した宇宙船が、千葉県船橋市に墜落……未曾有のパンデミックが発生! ロックダウン(都市封鎖)されてパニックになる船橋市街で、主人公のJAXA管制員と感染症研究者はウイルス抗体の手がかりを探すのだが――!?」という物語は、ミステリというジャンルに留まらない、まるでブロックバスター映画を思わせるようなスケールの大きなものだったのです。
刊行直後、ゲームクリエイターの小島秀夫氏から、
という熱い感想を頂きました。その後、舞台となる千葉を中心にじわじわと評判が高まって売れ続け、今回の重版出来に! 重版帯では、小島氏の感想ツイートを使わせて頂いております。
紀伊國屋書店流山おおたかの森店さん、そして八重洲ブックセンターさんでは、さっそく重版帯で展開中!
新型コロナウイルスの感染拡大は、本作にとっては(もちろん他の多くの作品にとってもですが)予想外の出来事でした。その影響が拡大する中、古今東西の疫病やウイルスに関係した作品が注目されています。マンゾーニ『いいなづけ』やカミュ『ペスト』といった古典的な名作と共に、新人賞作品である本作『月の落とし子』も密かな話題に。産経新聞のWEBニュースでも取り上げられました。(上掲リンク参照)
太古の生物であるウイルスと「遅れてきた者」である人間の戦い、あるいは「功利主義」の是非など壮大なテーマを擁しています。本作に私は最高点をつけました。
――鴻巣友季子(アガサ・クリスティー賞の選評より)
翻訳家でありアガサ・クリスティー賞の選考委員である鴻巣友季子氏からは、前述の選考の際に上掲の絶賛評を頂いています。ウイルスとの戦いは感染症との戦いだけではなく、利己的に振る舞おうとする人間と利他的に振る舞おうとする人間の闘争でもあります。作中でウイルス抗体を探し続けた主人公たちが、最後に何を見つけるのか。それは人間にとって、希望の光なのか、あるいは絶望の闇なのか。是非、本作を手にとって、クライマックスを見届けて頂きたいと思います。(編集部・奥村)
『月の落とし子』は電子書籍でも配信しております。そして現在「春のハヤカワ電子書籍祭」を開催中! 詳しくはこちらの記事をご参照ください。