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『ぼぎわんが、来る』『予言の島』の澤村伊智が描く6つの未来家族……令和元年最恐SF『ファミリーランド』ご入園の手引き

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2015年に『ぼぎわんが、来る』で第22回日本ホラー小説大賞を受賞し、デビュー。その後、ホラーやミステリを中心に話題作を次々と世に送り出してきた澤村伊智さんが、早川書房から初の単行本を刊行します。

本作『ファミリーランド』のテーマは「未来と家族」。今より少し未来の日本で、嫁が、姑が、息子が、娘が、夫が、妻が、母が、父が……愛し合い憎しみ合いながら生きて(死んで)いく様が、6つの短篇で克明に描かれます。それぞれご紹介していきましょう。カバーイラストと扉イラストはmieze さんが手掛けられています。

「コンピューターお義母さん」
スマートデバイスが発達し、誰もが誰もを監視できる時代。そして、老若男女がデジタルネイティブとなって、すべてのツールを自在に使いこなすとき。太古の昔より連綿と続く嫁と姑の闘争は、新たな次元に突入する。

「翼の折れた金魚」
そのお薬を飲んで性交をすれば……金髪で、碧眼で、頭脳明晰で、身体能力も高い、上等な良い子を出産することができる。さて、ハイスペックに産んであげることが、それ以外を認めないことが、本当の親の愛情か?

「マリッジ・サバイバー」
結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。結婚しなきゃ。タフに生きていくために。

「サヨナキが飛んだ日」
"看護師の母"の名を冠せられた自律型看護ロボット。ある日、家に現れたそいつは、鳥の姿をした悪魔だった。溢れんばかりの愛と慈しみをもって育てた娘は、いつの頃からかその悪魔に身も心も奪われてしまって……。

「今夜宇宙船の見える丘に」
41歳無職、出戻った実家で要介護の父と二人暮らし、再就職のあてはない。金無し、夢無し、希望無し。お先真っ暗でどうしようもない状況だった……夜空から真っ赤な光球が、家まで降りてくるその時までは。

『愛を語るより左記のとおり執り行おう』
お葬式。通夜、香典、供花、遺影、焼香、火葬、初七日、四十九日……などなど、複雑怪奇な私たちの"家族の終わり"。この奇妙なものたちは、一体どこから来たのか。そもそも何なのか。果たしてどこへ行くのか。

……以上になります。稀代のホラー作家のSFは本当に本当に怖いです。めくるめく素晴らしき家族の悪夢を、どうかお楽しみください。

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第22回日本ホラー大賞〈大賞〉受賞作にしてデビュー作、そして中島哲也監督により『来る』として2018年に劇場映画化。

第72回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「学校は死の匂い」を収録する短編集。傑作「居酒屋脳髄談義」も。

1990年代の心霊&霊能ブームへの鎮魂歌にして、壮大な"島もの"ミステリ讃歌でもある書き下ろし長篇ミステリ作品。