地球の生きものたち

『ざんねんないきもの事典』の今泉忠明氏推薦! アッテンボロー『地球の生きものたち〔決定版〕』を紹介

名著と評判なのに手に入らない本があります。イギリスの映像作家アッテンボローの主著である、弊社刊の生物写真集『地球の生きものたち』がそうでしたが、原書刊行40周年記念版の翻訳として、大幅リニューアルの「決定版」が新刊として刊行されました。その名著といわれるゆえんを紹介。


地球の生きものたち

1 進化論をはじめとする生物学の基本をヴィジュアルで説き示す、唯一無二の解説書。

いまもNHKやNetflixでこのひとの創った番組が流されている映像作家アッテンボローが、1979年に同名の映像作品と同時に刊行したのが本書の初版でした。ダーウィンの進化論にのっとって、この世にはバリエーション豊富な、数えきれないほどの生きものがいるが、なぜそんなにいろいろなものが出現し、いまも見られるのかを解説した本です。

カバー3

進化論の解説書は世にたくさんありますが、文章だけではどうしても退屈になりがち。ですが本書は、一流の映像作家が選び抜いたさまざまな生きものの、生き生きとした一瞬をとらえた素敵なカラー写真を、大判の本のページにぜいたくに盛り込んで、生物界の多様なおもしろさ、美しさをありのまま見せてくれます(130点以上を上質紙にオールカラー印刷)。たとえばこれは、進化論の本によく出てくるオウムガイですが、寄り集まって井戸端会議をしているかのようでおもしろい。

オウムガイ2

そしてこちらは、体色を変えるイカをとらえた美しいショットです。プロジェクションマッピングだと言われたら信じますよね?

イカ3

これは美しいヒスパヌスコガネオサムシ。

ムシ2

単に美麗な写真集であるだけでなく、同時に生命進化の道筋をわかりやすく解説しているがゆえに、唯一無二なのです。

2 錚々たる訳者が名を連ねた、リーダブルな翻訳。

日本の生物学界を代表する存在のなかに、故日高敏隆氏がいました。日高氏は日本に行動生物学を根づかせた功績もさりながら、じつは生物学書の翻訳をいくつも手がけています。代表作のローレンツ『ソロモンの指環』は、生きものが好きでたまらないローレンツの心根を見事に日本語にした名訳です。本書、『地球の生きものたち』も、日高氏が訳者をつとめるだけでなく全体を統括しただけあって、カラフルな生物たちの魅力を、文章の面からも余すところなく伝えています。

訳者名

共訳者のお三方も、いまでは考えられない贅沢な布陣です。「『里山の山小屋』に暮らす動物学者」として知られる今泉吉晴氏は、ソロー『ウォールデン 森の生活』やシートン『シートン動物誌』などの訳者としても著名です。羽田節子氏は故人ですが、ドーキンス『利己的な遺伝子』をはじめ、フォッシー『霧のなかのゴリラ』やモリス『キャット・ウォッチング』など多数の訳書のある翻訳家でした。そして樋口広芳氏はNHK朝ドラの鳥類監修もつとめる、押しも押されもしない鳥類の専門家で、ワイナー『フィンチの嘴』など翻訳の業績も多数。

専門的な細部をぬかりなく押さえ、しかもリーダブルという翻訳は行なうに難いものですが、本書は安心して読め、ひとに勧められる1冊と申せましょう。


以上の点から名著の評判は高かったわけですが、40年前の本なんて古すぎるとお思いですか? そこもぬかりありません。著者のアッテンボローが、生物学の新説や新発見をぬかりなくフォローし、テキストに改訂をほどこしており、訳文にもそれを反映させました。世界を沸かせた、羽毛恐竜や「歩く魚」ティクターリクの化石発見なども、しっかりフォローしてあります! しかも、収録写真は旧版のものにお化粧をほどこしてお茶を濁すのではなく、この記念版のためにアッテンボローがすべて、新たなショット(もちろん文章に見合った生きものの写真です)と差し替えています。初版にくらべ、写真の解像度の高さは段違い。

フクロウ2

つまり、初版を手に入れそこなった、というかたのみならず、初版をお持ちのかたにもぜひお薦めしたい1冊である、というわけです。

最後に、昨今TVでもよくお目にかかる(先日のSwitchでの山田ルイ53世氏との対談はおもしろかったですね)、『ざんねんないきもの事典』の監修者、今泉忠明氏(本書の訳者、今泉吉晴氏の弟さんです)による推薦の辞を紹介しましょう。

「生命の誕生から人類の進化、発展に至るまでの物語が美しく衝撃的な写真とともに記されている。本書は新しいタイプの博物誌だと思う」

お手元にあれば、ニヤニヤしながらお楽しみいただけること間違いなし。ぜひお宅の書架やコーヒーテーブルにお迎えください。


地球の生きものたち〔決定版〕』(デイヴィッド・アッテンボロー、日高敏隆・今泉吉晴・羽田節子・樋口広芳訳、本体9,000円)は、早川書房より好評発売中です。

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