ルカレ

トランプ大統領からリヒャルト・ゾルゲまで! スパイ小説から読み解く国際政局のキーワードとは……? 手嶋龍一×佐藤優が語り尽くす冒険スパイ小説特別講義

六月二十九日、丸善丸の内本店で、ハヤカワ文庫冒険・スパイ小説フェア開催記念「手嶋龍一氏×佐藤優氏トークショー」が開催された。スパイ小説に造詣の深い二人が北朝鮮に関する情報を素材に、インテリジェンスを武器に国際政局の核心に迫る技を披露した。

手嶋龍一(てしま・りゅういち) 1949年生まれ。外交ジャーナリスト・作家。著書『ウルトラ・ダラー』『スギハラ・サバイバル』ほか

佐藤優(さとう・まさる) 1960年生まれ。作家。元外務省主任分析官。著書『国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて』ほか

情報を読み解く技とは
手嶋 開演に先立って、私から皆さんにひとつご注意を申し上げます。佐藤優さんの目をじっと見すぎてしまうと、そのあまりの迫力に夜中に夢の中に出てきますよ。寝付けなかったという苦情をもらうことがありますが、どうか自己責任でお願いします(笑)。

佐藤 私からもひとこと。手嶋さんの話は、そこらへんの怪談より怖いです。特に北朝鮮情勢の読み解きは、自分の胸の中に留めておくのはよいですが、第三者に話す際は自己責任でお願いします(笑)。

手嶋
 史上初めての米朝首脳会談から三週間が経ちます。今回の会談の隠れたテーマは「カネ」。その意味で二〇〇二年の「日朝平壌宣言」が重要です。当時の小泉総理の電撃的な訪朝でなにを約束したのか押さえておかなければ、今日の事態を精緻に読み解くことはできません。

佐藤
 それに関しては、手嶋さんのウルトラ・ダラー(新潮文庫)を補助線にすれば、よくわかります。

手嶋
 米朝会談でトランプ大統領は、核の廃棄に欠かせない「期限の設定」ができなかった。「工程表」も示されず、IAEA(国際原子力機関)による「検証措置」も約束されなかった。金正恩委員長が「完全な非核化」の意向を示したにすぎません。

佐藤
 そもそも今回不思議なのは、新聞にシンガポール共同声明の全文が出ていないことです。私が見た範囲では、要旨だけしか出ていない。日経新聞はとりあえず全文に近いものを出したけど、全部ではない。正確に全文が掲載されているのは、北朝鮮政府が事実上運営しているNaenara(朝鮮語で〝わが国〟の意味)というサイトだけ。僕はこれをマスコミの深刻な劣化だと思う。テキストに即さない読み解きというのはマズいわけです。非核化ということでいえば、たとえば、四項目の合意(註1)において、非核化については主語が「朝鮮民主主義人民共和国」になっている(註2)。それ以外は「米朝」。そういう細かいところに、いろんなものが隠れているのです。

手嶋
 冷戦の時代、東アジア情勢に関する外交文書のなかで、最も難解にして重要なものは、一九七二年、米中両国が合意した「上海コミュニケ」です。通常の共同声明なら米中を主語に据えるのですが、「台湾条項」では、主語が「アメリカ政府」になっています。「米政府は台湾海峡を挟む両岸の中国人は、中国は一つと考えていることを事実として知り置いている」と。ニクソン政権の見解なのですが、毛政権もそう書くことに暗黙の了解を与えていたのです。佐藤さんの指摘のように、主語が誰であるかは死活的に重要です。この場合、非核化の決定権を持っているのは北朝鮮と読める。朝日新聞は「トランプ政権は朝鮮戦争の終結を宣言せず」と見出しに掲げましたが不正確です。先の南北の「板門店宣言」で終結が謳われており、シンガポールではこれを確認すると述べています。

佐藤
 朝鮮休戦協定を知っている人には重要な話で、朝鮮休戦協定に署名したのは、国連軍司令官としてのアメリカ、北朝鮮、それから中国人民解放軍の義勇軍司令官です。韓国の李承晩は署名を拒否した。この停戦協定を平和協定に変えるにしても、韓国は当事国じゃない。「板門店宣言」の最大のポイントは、韓国を当事国としたこと。北朝鮮は板門店宣言を米朝の声明に入れることで、入れ子構造にして、今後の朝鮮半島の平和条約の形成には韓国もプレイヤーであることを示して、韓国に貸しを一つ作った。

手嶋
 なぜ「終結を宣言した」と書かなかったのか。その背景に分析が及んでいないのですね。いまのメディアは「板門店宣言」も「シンガポール共同声明」もきちんと読み込めていないのです。

佐藤
 私が新聞社のデスクであれば、「中央政府の休戦協定というのが平和条約になるならば、日本と朝鮮国連軍の地位協定はなくなるのですか」と聞いてこいと若い記者に言いますね。ちなみに、日本と朝鮮国連軍の地位協定は、朝鮮半島で戦争が始まったら、日本はただちにホワイトビーチ、普天間、嘉手納、佐世保、横須賀、座間、横田の七基地を提供しないといけないという約束です。日本が、朝鮮半島で戦争になったら、巻き込まれるか巻き込まれないかという議論は意味がないです。必ず巻き込まれます。我々は一緒になってやりますという協定を結んでいるわけです。事前協議は関係ない。自動的にやるということだから。

手嶋
 じつは外務省のサイトにある日突然、「朝鮮国連軍と我が国の関係について」と項目がアップされ、横田基地に国連軍の司令部があるという記述が現れました。

佐藤
 基地をすぐに貸さないといけなくなった時に、外務省は情報を隠していたということにならないよう、ホームページの端っこに埋めこんだわけです。私はあれを発見した時に「外務省がエクスキューズしているということは、ミサイルが飛んでくることを彼らは本気で心配しているんだな」と思いました。要するに、彼らは自分の身を守ることに関してはインテリジェンスの能力を使っているんです(笑)。自分の身を守るためにホームページを整備しているというところをみると、これは危機感が相当に高まっているなと。そういう判断材料に使いました。

インテリジェンスと物語
手嶋龍一と佐藤優による共著でインテリジェンスの最強テキスト(東京堂出版)という本がある。「インテリジェンス」は「情報」と訳されがちだが、同書では「国家が動乱のなかを生き残るために、選りすぐられ、分析された情報」と定義されている。また、同書では各国の政府が秘匿している各種の情報を極秘裏に入手し、極秘裏に本国政府に報告する役目を負う人物を「インテリジェンス・オフィサー」と定義している。

手嶋 佐藤さんは情報のプロですから、情報源に配慮して、単に自分の見通しにすぎないと時に装うことがあります。この点でも非常に悪い人だということがわかります(笑)。様々に「インテリジェンスの技」を駆使しています。これこそ今日のメインテーマです。インテリジェンスの世界では、公式の記録も最も重要なものこそ残さないことがある。記録文書さえあれば史実だと思い込んでいる学者もいます。記録が無ければ論文は書けないのです。しかし、現実の世界では、機微に触れる機密は、手紙や会話を含めて記録には残さないものです。外交文書でも本当に機微に触れるものは文書に残らないと心得るべきなのです。では、インテリジェンスの世界で、真実はどのようにして語り継がれるのでしょうか――。そこで「物語」の出番となります。

佐藤
 そうです。まさに、物語という形で出てきます。たとえば、日ソ交渉で、日本はいったん重光葵外相が歯舞群島、色丹島の二島返還で手を打とうとした。そこで全権代表の松本俊一氏が鳩山一郎総理に了承を得るべく電報を打ったところ、総理は「それじゃ駄目だ」と断った。その後、アメリカの国務長官だったダレスがロンドンで、重光外相に「もし二島返還で日本が妥協するならば、沖縄を渡さない」と訓戒したという話がある。有名な「ダレスの恫喝」です。これについて外務省中の情報をくまなく探したけれど、電報も、口頭記録もなにもない。『モスクワにかける虹』(朝日新聞社。後に日ソ国交回復秘録と改題して朝日新聞出版より復刊)という、松本氏の回想録にしかない。しかし、この話は真実だと思います。そこには、ノンフィクションという形での、一種の物語がある。

手嶋
 長く真実を語り継ぐということでいえば、物語という様式は、インテリジェンス・コミュニティでしばしば用いられます。僕が『ウルトラ・ダラー』を書いたのもそれゆえです。さて、冷戦期にインテリジェンス・ワールドを揺るがした最大の出来事は、あのキム・フィルビー事件です。英国秘密情報部の最高幹部フィルビーがモスクワの二重スパイであることが露呈しかけます。このため彼はロンドンの新聞の臨時特派員としてベイルートに緊急避難します。だが疑いはますます強まっていく。こうした中で、英国秘密情報部は、彼の同僚にして親友のニコラス・エリオットを尋問官として現地に差し向けます。こうしてフィルビーとエリオットの息詰まるような対決が実現します。その果てにエリオットはアフリカに去り、フィルビーは寒い国に亡命します。果たして真相は――。二重スパイの疑惑も含めて一切が曖昧なままに残されました。対決の記録もいまだに公表されていないのです。

佐藤
 キム・フィルビーという厄介者を英国諜報部がモスクワに押し付けたのかもしれないという見方もあるが、真相はわからない。時間が経つほど謎が深まる話です。

手嶋
 老情報大国を震撼させたキム・フィルビーの亡命は、深い霧に覆われた事件だっただけに多くの作家やジャーナリストがこれに挑みました。しかし結局、歴史の風雪に耐えて残った作品は、たった二つ。グレアム・グリーンのヒューマン・ファクターとジョン・ル・カレのティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ(いずれもハヤカワ文庫)。

佐藤
 両方に共通しているのは、インテリジェンスの仕事が身体に良くない、ということ(笑)。私を信頼して話してくれたこともインテリジェンス機関に報告する。それがもし露見した場合には、自分が信頼した情報源が死ぬかもしれない。そういうことが日常的にある世界なのです。だから、人間として崩れていく。アルコールで崩れていくし、家庭環境も崩れていく。そういった形が、グレアム・グリーンやル・カレを読むとよく出てくる。それはリアルな現実だと思います。

手嶋
 この二作は、それぞれ全く異なるスタイルで描かれていますが、「スパイの世界」とは本質的に「二重スパイ」にならざるをえないことがよく伝わってきます。

佐藤
 インテリジェンスの世界は、記者でもそうですが、提供した以上にこちらが取れればよいわけです。全然情報を出さない相手にはまったく会わないからね。だから裏返して、私は東京では各国の大使館員には一切接触しない。それはどうしてかというと、外務省の経験で自分がやっていた仕事がわかるからです。大使館員に接触したら、必ず報告書が上がる。その報告書は必ず本省に送られる。本省に送られた後、それが流出しないという保証は全然ない。だから一番良いのは接触しないこと。接触しなきゃ、記録は作れないから。

手嶋
 現役の外交官には会わない。それはわかりますが、現役を退いた人たちはどうでしょうか。そして、そもそもインテリジェンスの世界にはリタイヤなどあるのでしょうか。

佐藤
 〈元インテリジェンス・オフィサー〉という概念は存在しません。この組織に入ったら一生インテリジェンス・オフィサーです。外務官も同じ。

手嶋
 つまり佐藤さんは、形の上では引退した人物には会っているわけですね。加えて、スパイ小説の世界を通じて、リアルな姿を読み取り、情報の世界の中枢に入り込んでいく。そうした物語の系譜で、記念碑的な作品が、ジョン・ル・カレ寒い国から帰ってきたスパイ(ハヤカワ文庫)です。スパイ小説というより、もうすこしスケールの大きな「インテリジェンス小説」というべき傑作です。情報の世界にまつわるすべての要素が、バッハのフーガのように静かに美しく奏でられ、二重スパイの本質が見事に浮かび上がってきます。

良いスパイ小説とは
手嶋 スパイとは本質的に二重スパイである──。それを身をもって示したのが、二十世紀最高のスパイ、リヒャルト・ゾルゲでした。

佐藤
 ゾルゲはソ連のスパイだったって話をみんな聞くでしょう? ところが、客観的にスパイを判定するのは二つです。どこから資金が出ているか、誰のオーダーに従って行動しているのか。ゾルゲの場合、彼はソ連との関係においては、赤軍参謀本部第四局に所属していた。ただ、赤軍第四部で無線を担当していたクラウゼンは、無線は適当にやっていて、ゾルゲが書いたとおりには全部打っていない。そして、ゾルゲへの支払いは途絶えがちだった。でもゾルゲは共産主義イデオロギーへの忠誠という理由でソ連のスパイだった。他方、ゾルゲはドイツのオットー大使のスパイになる。ゾルゲは、日本の内政状況とか二・二六事件とかを調べてオットー大使が報告しているわけです。オットー大使からお金をもらって、指令をもらって、それに一〇〇パーセント応えている。こういう状態が二重スパイなわけですが、ゾルゲがどっちに本腰が入っていたかといえば、ドイツ。だから、ソ連側がゾルゲに対してずっと疑惑を持ち続けていたのは確かです。ところで、ゾルゲの名誉回復というのは、実はスパイ映画がきっかけなのです。岸恵子が出ていたゾルゲ事件の映画「スパイ・ゾルゲ 真珠湾前夜」をフルシチョフが観た。そして、フルシチョフは本件について調べろと言った。しかしソ連共産党中央委員会のなかでは、フルシチョフ時代は、ゾルゲはドイツのスパイだと思っていた人が結構多かったという。ここで重要なのは、スパイ映画やスパイ小説で、新しい枠ができるでしょう? そうすると、実際の事件がそれによって解釈されるようになる。『ウルトラ・ダラー』もそうで、日朝交渉というのが曖昧模糊としてどこの点と線を繋ぐのかっていうのがわからなかったのが、同作が出たことによって、その枠で見ることが主流になっていく。当時の交渉分析をしていた人たちの無意識のうちに影響しているわけ。だから、良いスパイ小説って何かっていったら、人々の無意識に影響を与えることができる小説なのです。

手嶋
 早川書房からジョン・ル・カレ伝が最近出されました。このなかでル・カレはイギリス秘密情報部にいたと書かれています。ル・カレは一連の作品で自分が属していた組織の失敗を暴いて、情報部の首脳陣の怒りを買ったように描かれています。でもみなさん、額面通りに信じてはいけません。グレアム・グリーンやジョン・ル・カレを組織から輩出したことで、英国政府は有り余るような果実を手にしたのですから。この人たちが優れた情報小説を書くことで、イギリスのインテリジェンス・コミュニティは国民の幅広い支持を得ることができたのですから。

佐藤
 MI6は公式の秘録を作っていて、それはMI6秘録(筑摩書房)という形で出ていますが、一九四九年で止まっている。それ以降の話になると、現在に対して影響を与える危険性があるからです。今回の『ジョン・ル・カレ伝』っていうのは、事実上の一九五〇年以降の〝MI6秘録〟です。MI6にとって今は公式には出せないものを、さっきの松本俊一氏のように、非公式で「当たらずとも遠からず」という態度で出す。だからこのタイミングで『ジョン・ル・カレ伝』というものが出たということは、イギリスの情報当局が、自分たちの情報活動について、こういう形でアピールしていく必要があると意識しているということです。

手嶋
 イギリスは名だたる情報大国です。MI6、MI5、政府通信本部、それに軍の情報部は、それぞれに幅広いイギリスの知識階級と納税者の支持を必要としています。一般の市民はジョン・ル・カレやグレアム・グリーンの作品を通じて、情報活動の必要性を理解しているわけです。一方の日本には対外情報機関がありませんから、早川書房が、当事者は気が付いていないかもしれませんが、日本においては唯一重要な役割を果たしているのです(笑)。

佐藤
 『ジョン・ル・カレ伝』が今このタイミングで出るというのは、トランプ政権と関連していると思う。ロシアに対して極めて甘い大統領が出たから、ロシアは信用できないと強力にアピールする。ルーク・ハーディングの共謀(集英社)なんかも、イギリスの情報機関が噛んで作った傑作だと思う。一九八〇年代に遡って、実はトランプはロシアとものすごく深い関係にある。そして、リーマン・ショックの後に資金供与をしたドイツ銀行の後ろにはロシアがいる。トランプは注意しないといけない、ロシアによって運営されている可能性があるぞ――イギリスの情報部から出ている情報は、全部そこに繋がっているわけです。手を変え品を変え、出している。

手嶋
 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』がその典型ですが、読みこなすには少しだけ現代史に対する基礎知識が必要です。歴史への理解があれば、小説のディテールがどれくらい素晴らしいかがわかる。そういう観点から、スマイリー三部作を紐解いていただきたい。

最後に
手嶋 そろそろ終わりの時間が近づいているので、質問をお受けします。

質問者
 スパイ小説を、原書と翻訳と別々に読むと内容は変わってくるのでしょうか。

手嶋
 もちろん原書で読むのは素晴らしいのですが、『寒い国から帰ってきたスパイ』は訳もじつにこなれているので、両方読むことをお薦めします。併せてジョン・ル・カレは優れた朗読者でもあるので、彼の朗読を聴くのもいいですよ。またBBC版の「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」では、名優アレック・ギネスがスマイリーを演じていて感動的です。ル・カレがアレック・ギネスと脚本を一緒に検討したといいます。アレック・ギネスは無言の演技でスマイリーの渋さを表現し、「こんなに多くを語る必要はない」と言って、勝手にセリフを削っていったそうです。その結果、ドラマの尺が余ってしまった。マトリョーシカが出てくるオープニングが異常に長いのはそのためだった。永年の疑問が氷解しました。今回、『ジョン・ル・カレ伝』を読んでようやく納得できました。

――最後に一言ずついただけますか。

佐藤
 早川書房から出ているル・カレとグリーン、この二人のスパイ小説を端から全て丁寧に読んでみてください。広がっていきますから。あと、村上春樹さんが訳したレイモンド・チャンドラーロング・グッドバイ(ハヤカワ文庫)みたいなミステリ小説はスパイ小説と近いものがある。最終的には人間の心理をどう操るかということだから。良いミステリ小説を読むことが、スパイ小説を楽しむことにも繋がっていくと思います。

手嶋
 スパイ小説を読むと、冷戦時代の本当に奥深いところで凝縮されていた素顔が見えてきます。さらに、当時の情勢をより知りたいという意欲が湧いてくるはずです。世界史、現代史の通史には、これという決定版はなかなかありません。あれこれ読まなければいけない。しかし、幸いなことに、われわれは二十一世紀に生きている。そう、優れた映像があります。アレック・ギネス主演のドラマもそうですし、NHKの「映像の世紀」もあります。「映像の世紀」は退屈な通史を読むより鮮やかに記憶に刻まれます。みなさんは単にスパイ小説のファンというだけでなく、日本のインテリジェンスの水準を支え、その中央山脈にいる大切な方々です。「外務省のラスプーチン」といわれた佐藤優さんはずいぶん踏み込んで機微に触れる話を披露してくれました。それは皆さんが、今日の日本のインテリジェンスの水準を支えていると確信しているからでしょう。そうでなければ、何らかの見返りもなく、ここまで情報はさらけ出さないはずです(笑)。

佐藤
 昔の感覚が鈍っているのかも(笑)。

註1:(1)米朝関係の正常化(2)朝鮮半島の平和体制保障(3)朝鮮半島の完全な非核化(4)朝鮮戦争の遺骸送還──の四項目
註2:「二〇一八年四月二十七日の(南北首脳会談の)板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けた作業を行うことを約束する」

文・遊井かなめ
ミステリマガジン2018年9月号掲載

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