江國香織氏、町屋良平氏、推薦。「この本が帰ってきてよかった!」『波〔新訳版〕』
2021年6月16日に、ヴァージニア・ウルフ『波〔新訳版〕』(森山恵訳)を早川書房から刊行します。
今日は、45年ぶりとなる新訳をいち早く読んだ2人の作家のコメントを紹介します。
江國香織(作家)
一日の移ろいに重ねられた六つの人生。
磨かれた言葉の奔流によって白日のもとに晒される、
一人ずつのありようと幾つもの時間。
ウルフの攻めの姿勢が堪能できる、この本が帰ってきてよかった!
町屋良平(作家)
満ちていく言葉、ひいていく身体、
たえまないその間隙にあらわれる世界の充溢。
『波〔新訳版〕』
ヴァージニア・ウルフ/森山 恵 訳
早川書房
20世紀初頭のイギリス。遠い太陽の光が海辺の一日を照らし、生まれては消える波のうねりを描き出す。そこに重なるのは、男女6人の独白(モノローグ)。いくつもの声が、幼少期から晩年まで、幻想のように過ぎた日々の思い出を物語る。くり返す描写と語りが重なり、繊細な感覚と記憶が波音と響き合う。
作家みずから劇=詩(プレイポエム)と呼び、小説の純粋性を追求した作品であり、後世に多大な影響を与えた、ウルフ文学の到達点。
詩情豊かな訳文による、45年ぶりの新訳。
来週は、紙の本のよさを楽しめる装幀を紹介します!