早川書房とnoteで開催した、読書感想文投稿コンテスト「#読書の秋2020」のベスト感想文を発表します!
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早川書房とnoteで開催した、読書感想文投稿コンテスト「#読書の秋2020」のベスト感想文を発表します!

早川書房とnoteで10月中旬から11月末まで開催した、読書感想文の投稿コンテスト「#読書の秋2020」。たくさんのエントリーをいただきまして、本当にありがとうございました! 課題図書となった『ユートロニカのこちら側』『嘘と正典』『入れ子の水は月に轢かれ』『月の落とし子』『売国のテロル』の読書感想文noteの中から、各1作ずつ「BEST感想note」を選ばせていただきました。

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いずれ劣らぬ素敵な感想文の中から「BEST」を選ぶのは困難を極めましたが、涙を飲んでセレクトいたしました。選出された5名の皆様には、HAYAKWA FACTORYから「ブックカバーCORDURAキャンパス」「トートバック動物農場ナチュラルコットン」「ロルバーンポケット付きメモLルパンワインレッド」のセットをプレゼントいたします。また、すべての感想文noteファンレターとして、それぞれの著者さんにお届けいたします。

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『ユートロニカのこちら側』BEST感想note

「三浦くんが教室から飛び降りようとしたことについて。」まぐろどん さん

三浦君を思い出した。
「自殺してやる!!」
そう言って、算数の授業中、いきなり2年2組の教室の出窓に足を掛けた彼には、聞こえていたのかもしれない。
ユートロニカの音楽が。

【担当編集者のひとこと】完璧なタイトル、そして完璧な冒頭で、そのまま……まぐろどんさんのテキストの中に引き込まれていきました。『ユートロニカのこちら側』はおそるべき未来を描くディストピアSF作品ですが、そうした未来社会への単純な批判だけではなくて、複雑な視線や態度が丁寧に描かれた物語でもあります。まぐろどんさんが、ご自分と重ねて『ユートロニカのこちら側』の込み入った両サイド(あちら側/こちら側)を丹念に読み込まれていることが伝わってきました。ユートロニカの音楽は、きっと誰の耳にも届いているのでしょう。聴くか聴かないかは、本人次第ですが。

『嘘と正典』BEST感想note

「『嘘と正典』読書感想文」Mrs.chocolate さん

それぞれのお話たちは
宗教的・哲学的概念のお皿の上に
人間が日々の暮らしで抱く感情の
お肉がのっていて、そのお肉の上
に突拍子もない設定の極上ソース
がかけられているようなめっちゃ
美味しいお料理のようでした。

【担当編集者のひとこと】「突拍子もない設定の極上ソース」というのは、小川哲さんの小説の魅力を端的に表していただいた、素敵なお言葉だと思います。ありがとうございます! 全6篇の物語を細かく何度も読み込んでいただき、担当としても、とても嬉しいです。懐石なのか、中華なのか、フレンチなのか、その「極上ソース」の所為でジャンルがわからなくなってしまうのだけど、そんなことはどうでもいいとさえ思えてしまうのが、中短篇集『嘘と正典』にかけられた最大の嘘であり魔術、なのかもしれません。

『入れ子の水は月に轢かれ』BEST感想note

「『入れ子の水は月に轢かれ』に轢かれ」数理落語家 自然対数乃亭吟遊さん

生きるために逸脱し、それにより何かが歪む。たとえば誰かが煽りを食います。主人公の駿はその代表でしょう。母は年金詐欺で彼の名前・アイデンティティーをも奪います。

人間の暗部を間近に見て人間不信に陥る……などと言う人は、暗部のある人よりは恵まれているのかもしれません。羨まれても良いほどに恵まれているのかも。

【担当編集者のひとこと】本作を刊行して約半年後、それこそ、この『入れ子の水は月に轢かれ』に曳かれて、生まれて初めて沖縄の地を踏み、舞台となった水上店舗通りを訪れました。不思議な場所でした、生きる力がとぐろを巻いているような雰囲気とでも言えば良いでしょうか。この作品を「執念」という言葉で表現していただき、非常に嬉しいです。著者のオーガニックゆうきさんはまだ20代の書き手ですが、どすんと重い執念や妄念を筆に込めることができる方です。いつか、彼女が描いた那覇のバックストリートを、ガーブ川を、訪れてみてください。

『月の落とし子』BEST感想note

「薬剤師がおすすめする小説・穂波了『月の落とし子』」グルテン ふり子(薬剤師)さん

そこで語られていたのは、日本人宇宙飛行士・工藤晃が月で出くわしたチームメイトの突然死。

死因は、致死性のウイルスの可能性が高いと説明されます。


言わずもがな、コロナウイルスに翻弄されている2020年の地球。

「ずいぶんタイムリーだなー!」と思い発行年を確認すると、2019年!

こんなに時代にぴったりな題材なのに、なんで広く知られていないんだろう?

【担当編集者のひとこと】『月の落とし子』の編集作業をしていたときは、「ロックダウンって怖いな」「パニックって本当に起きるのかな」などと考えながらも作品を純粋に楽しんでいました。まさかその数ヶ月後に、作中で書かれたことのほとんどすべてが現実になるとは……。薬剤師さんならではの視点での作品感想、ありがとうございます! 特に「細菌やウイルスについてすごく勉強してくれているのが伝わってきました。」という言葉は、著者の穂波了さんにとっても、とても嬉しく心強い感想だと思いますので、きちんとお伝えをさせていただきますね。

『売国のテロル』BEST感想note

「売国のテロルを読んで」ブラックホールさん

そんな社会でも前を向いて生きなければならない。強く生きなくてはならない。そう書いていてふと風立ちぬのキャッチフレーズ、生きねば。を思い出した。また激動の時代が到来しつつあるのだろうか。

【担当編集者のひとこと】『売国のテロル』はコロナ渦のただなかに書かれ、編集作業が進み、刊行された作品です。不安、不満、不信……さまざまな「不」と「負」の感情が世界的に渦巻く中で生まれました。ブラックホールさんが本作の「光」の部分、著者の穂波了さんが矢代相太に託した希望の部分をきちんと読み取ってくださったこと、大変ありがたいです。まだまだ時代の激動は始まったばかりと言えますが、人間が持つ温かさや優しさをもって照らす光あれと、願わずにはいられません。


ありがとうございます!今日のおすすめは『ザリガニの鳴くところ』です。
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