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ロジックは地道なプロセスの積み重ねから! 『問題解決力がつく数学プロブレム』に挑戦(第4問解答篇)

統計不正が問題となっていますが、そんなことのない社会づくりの第1歩は、確率・統計マインドの常識化から。それに役立つ弊社近刊、『問題解決力がつく数学プロブレム』から、珠玉の「難問」をご紹介しています。

それでは第4問、「論理学者の帽子の色」の解答をごらんいただきましょう。こちらです。

第4問 解答
 3人の論理学者を1、2、3と呼ぶことにする。論理学者1は、列の最後尾に並んでいて、論理学者2と3の帽子が見える。論理学者2は真ん中にいて、論理学者3の帽子しか見えない。論理学者3はだれの帽子も見えない。
 白と黒の帽子の組み合わせは8通りある(論理学者はそれぞれ、黒か白の帽子をかぶることができるので、2通り×2通り×2通りで8通りだ)。その8通りのうち、1通りは除外することができる。セールスマンは黒い帽子を2個しか持っていないので、全員が黒い帽子をかぶることはありえないと、全員が知っている。つまり白い帽子をW、黒い帽子をBとすると、帽子の色の組み合わせで残っているのは、WWW、WWB、WBW、BWW、WBB、BWB、BBWの7通りだ(順に1、2、3の色を表す)。
 1回めに質問されたときには、だれも自分の帽子の色がわからなかったので、WBBの組み合わせは除外できる。論理学者1から見て、前の2人がどちらも黒い帽子をかぶっていたら、「自分の帽子は白だ」と確実にわかったはずだからだ。これで残りはWWW、WWB、WBW、BWW、BWB、BBWの6 通りになる。またこの段階で、論理学者2と3は、自分たち2人のどちらかが白であることを知る。
 2回めの質問にだれも答えなかったので、WWBとBWBが除外できる。論理学者2は、3が黒い帽子をかぶっているのが見えたら、「自分の帽子は白だ」とわかるはずだからだ。これで残りの選択肢はWWW、WBW、BWW、BBWになった。
 この4通りのいずれでも、論理学者3の帽子は白になる! つまり正しく答えたのは、なんとだれの帽子の色も見えなかった論理学者3で、その色は白だ。
(熊谷玲美訳)

どなたかがコメントされていたとおり、素直な問題かもしれませんが、堅実に場合分けをしていった結果、ちょっとした意外性が味わえます。

次回、第5問は本書刊行直前の、2月19日公開の予定です。お楽しみに。

問題解決力がつく数学プロブレム』(オリヴァー・ローダー編、熊谷玲美訳、予価1600円)は、弊社より2月20日発売予定です(ここでご紹介する問題と解答が収録されますが、内容や文章は多少改変されることがあります)。