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SFマガジン「ハーラン・エリスン追悼特集」最速プレビュー!

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本日(10月25日)発売のSFマガジンは、今年6月に逝去したSF界の短篇の名手にして様々な逸話を残した暴れん坊、ハーラン・エリスンの追悼特集です。「世界の中心で愛を叫んだけもの」「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」「死の鳥」などのすぐれた短篇をものしたかれは、短篇の名手として、また名アンソロジストとして、そしてTVマンとして知られていました。日本では世界の中心で愛を叫んだけもの』『死の鳥』『ヒトラーの描いた薔薇(すべてハヤカワ文庫SF)の、3冊の短篇集が刊行されています。
本特集では、本邦初訳となる短篇3篇、鏡明氏による追悼エッセイ、牧眞司氏によるエリスン年譜、小山正氏・若島正氏による追悼評論など、充実の内容でエリスンを悼んでいます。本欄ではその短篇3篇をご紹介します。

 ●「失われた時間の守護者」"Paladin of the Lost Hour" 山形浩生訳

墓地で出会った白人の老人ガスパールと、黒人の若者ビリー・キネッタ。ならず者に襲われたガスパールをビリーが助けたことで、ふたりは友情を築き、生活をともにするようになる。だが、ガスパールにはある秘密があった……。 本作はオリジナル脚本としても執筆され、TVシリーズ「新トワイライト・ゾーン」に提供されました。第七話「失われし時の番人」として、一九八五年に放映されています。一九八五年度のヒューゴー賞とローカス賞(ともにノヴェレット部門)に輝きました。 初出はテリー・カーのアンソロジー Universe 15 (1985)。

 ●「おお、汝信仰うすき者よ」"O Ye of Little Faith" 柳下毅一郎訳

メキシコ・ティファナを訪れたカップル、ナイヴンとバータ。かれらは堕胎のためにその地を訪れたのだった。ふたりの気持ちはすれ違い、言い合いとなってある横丁に入り込む。そこで呪い師に運勢の占いをもちかけられ……。 誠意も信仰もなき男ナイヴンの運命を、ミノタウロスの神話と重ね合わせた物語です。メキシコの目もくらむようなけだるい暑さが伝わってきます。 初出は短篇集 Love Ain't Nothing But Sex Misspelled (1968)です。 

●「奇妙なワイン」"Strange Wine" 中村 融訳

娘を亡くし、息子は臥せっており、自身の体調の不安も抱え、妻とのあいだにも愛はなく、支払えない請求書をかかえている。ウィリス・コウの人生は暗く、厳しいものだった。かれはここは自分のいるべき場所ではなく、本来の場所から放逐されたのだと考える。そしてある日転機がやってきて……。 「自分のほんとうの居場所はここではないどこか」という夢想は誰しもが一度は持ったものではないでしょうか。あらゆる不幸に襲われた男の物語は、思わぬ結末を迎えます。 初出は短篇集 Strange Wine: Fifteen New Stories from the Nightside of the World (1978)です。


他にも、本号の内容をちょっとだけご紹介します。

●SFコンテスト優秀賞受賞作、先行公開!

つい最近「ゴジラ座」でガンマ線バーストがホットな話題となりましたが、それと人類の肉体が劇的な進化を遂げたトランスヒューマンが「白雪姫」「竹取物語」などのおとぎばなしと悪魔合体した三方行成氏の童話改変SF『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』は11月20日刊行。本誌にて「灰かぶり姫」を抜粋掲載しています。シライシユウコ氏のカバーイラストも(モノクロ扉絵として)先行公開!

●「『零號琴』削除されたシーン」掲載!

10月18日に発売されるや即重版となり、ネット上の感想が「零號琴やばい」の感想で溢れかえっている飛浩隆氏16年ぶりの長篇『零號琴』。今月号ではその断章、「『零號琴』削除されたシーン」を掲載します。

アニメ「revisions リヴィジョンズ」のノヴェライズ冒頭掲載!

2019年1月よりフジテレビ「+Ultra」枠で放送のアニメ「revisions リヴィジョンズ」のノヴェライズが決定! 木村航さんによるご執筆で、2018年12月から全3巻で刊行予定(ハヤカワ文庫JA)。今月号ではその冒頭部分を先行掲載。アニメの放送に先がけて、作品世界をご堪能ください!

●連載、読切ほか

【連載】
・「小角の城 第50回」夢枕 獏
・「《椎名誠のニュートラル・コーナー》第63回 団体偵察旅行」椎名 誠
・「先をゆくもの達第6回」神林長平
・「マルドゥック・アノニマス〈第23回〉」冲方 丁
・「幻視百景 第17回」酉島伝法

【連載コミック】
・「と、ある日の本当の僕」宮崎夏次系

【読切】  
・「魔王復活!」草上 仁
「愛を語るより左記のとおり執り行おう」澤村伊智
「時の扉」小川 哲

【トークイベント採録】
「平成最後の夏と百合」宮澤伊織×草野原々

SFマガジン2018年12月号(発売中)

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