
トマ・ピケティとは何者か? 主要著作ガイドを公開!(ピケティ&サンデル『平等について、いま話したいこと』より)
SNSなどで話題沸騰中のトマ・ピケティ、マイケル・サンデル『平等について、いま話したいこと』(1月17日発売)の重版が、早くも決定いたしました!
これまで経済学と政治哲学という別のフィールドで論陣を張っていた両氏が「平等」について対談した本書は、ピケティがナビゲートするサンデル入門、サンデルがナビゲートするピケティ入門としても読むことができます。
本記事では、巻末の主要著作リスト(日本版オリジナル)から、トマ・ピケティ氏のこれまでの主要著作を掲載いたします。
マイケル・サンデル氏に舌鋒鋭く切り込むトマ・ピケティ氏は、過去の著作でどのような主張をしてきたのでしょうか?

トマ・ピケティ
1971年生まれ。フランスの経済学者。パリ経済学校教授。社会科学高等研究院(EHESS)教授。EHESSおよびロンドン経済学校(LSE)で博士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭をとったのち現職。2013年に仏語版が、2014年に英語版と日本語版が刊行された『21世紀の資本』は700頁超の学術書にもかかわらず、世界的ベストセラーとなる。他の著書に『格差と再分配』(早川書房刊)、『資本とイデオロギー』など。
『不平等と再分配の経済学──格差縮小に向けた財政政策』

経済的不平等の原因を資本と労働の関係から理論的に分析するとともに、その解消のために最も重要な方法として、租税と資金移転による財政的再分配の役割を説く。1997年に刊行されて以降、7 回もの改訂が重ねられた、ピケティによる不平等論の原点。
『格差と再分配── 20世紀フランスの資本』

数学に秀でた経済理論家による、歴史家も顔負けの事実収集という研究によって、ピケティのその後の仕事を決定づけた一冊。フランスの1901–1998年の約100年間における税務記録を徹底的に分析し、20世紀の同国における格差の長期的構造を浮き彫りにした、記念碑的研究書。 解説/若田部昌澄
『トマ・ピケティの新・資本論』

仏『リベラシオン』紙に2004年から2011年まで毎月連載していたコラムを再編集した時論集。グローバル金融危機直後からその余波が尾を引き、欧州が深刻な信頼の危機に襲われ、デフレと景気後退に直面した2000年代後半、ピケテイは政治や経済にまつわる時事問題をどう扱ったのか。
『21世紀の資本』

経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか? 決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、r > g という数式によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらした、世界的ベストセラー。
『資本とイデオロギー』

《財産主義》という視点から、三機能社会、奴隷制社会、フランス革命、植民地支配から現代のハイパー資本主義まで、巨大なスケールで世界史を辿り、イデオロギーと格差の関係を明らかにする。さらには《バラモン左翼》と《商人右翼》の連合に囚われつつある現代民主政治を分析。労働者の企業統治参画と累進年次資産税など、新たな公正な経済システムを提示する。
『来たれ、新たな社会主義──世界を読む2016–2021』

英国のEU 離脱(ブレグジット)、トランプの勝利と敗北、マクロンの諸改革、プーチンの泥棒政治、新型コロナ、気候危機……激動する世界のただ中で、格差と闘うエコノミストは何を訴えたのか? ピケティが構想する「新たな社会主義」とは?2016年から21年初頭にかけて『ル・モンド』紙に寄稿した時評から44本を精選し、新たに「序文」を付した時事評論集。
『平等についての小さな歴史』

『格差と再分配』『21世紀の資本』『資本とイデオロギー』、3000頁の内容をピケティ自ら250頁に凝縮。人間社会における社会階層間の不平等が、歴史上どのように変化してきたのかを見ていく。国家間賠償、タックスヘイブン、デジタル専制体制といった世界規模の問題をどうすべきなのか。「民主社会主義」の理想のために必要なこととは!?
『自然、文化、そして不平等──国際比較と歴史の視点から』

「社会は平等に向かうべき」との思想はいつ始まったのか? 所得格差が最も少ない地域、最も多い地域は? 「所得格差」と比べて、「資産格差」が深刻な理由とは? ジェンダー格差をどう考えるか? なぜ、経済的な不平等は起きるのか? 格差についての疑問を経済史の観点から答えた講義録、待望の書籍化。
早川書房編集部編
※ 2024年12月現在、邦訳のある単著を、原著の刊行順に示した。
(原書初版刊行年/翻訳刊行年)
『平等について、いま話したいこと』
著者:トマ・ピケティ、マイケル・サンデル
訳者:岡本麻左子
解説:吉田 徹
出版社:早川書房
発売日:2025年1月17日
定価:2,200円(税込み)
頁数:168頁