見出し画像

知ると楽しい『シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗』ガイドその1

 21世紀の現代ロンドンを舞台に、本家コナン・ドイルの設定から登場人物全員の性別を逆転させた、驚天動地の最新型ホームズ・パスティーシュ『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』待望の続編『シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗』がいよいよ刊行されました。
 前作では、半電脳顧問探偵シャーリーと、その相棒となるアフガン帰りのだめんず好き女医ジョーとの衝撃的な出会いと、コンビを組んで最初の事件が描かれました。
 人気シリーズ第2弾となる本作では、ロンドンを離れたデヴォン州のダートムーアを舞台に、謎また謎の大冒険が展開します。

画像1

好評発売中
シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗
高殿 円
UK×ベイカー街×現代女子的生活
早川書房/46判並製/本体価格1400円+税
ISBN978-4-15-209912-9 C0093

ここで簡単に内容をご紹介します。

 ――2013年秋のロンドン。オリンピックイヤーだった前年に怪我で除隊した女医のジョー・ワトソンは、ベイカー街221bで、頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう世界唯一の顧問探偵シャーリー・ホームズと同居していた。シャーリーのもとには、女刑事レストレードや政府高官の姉マイキーから難事件が舞い込み、ジョーは助手としてシャーリーと現場に赴いてはwebストランド誌に事件の成り行きを(自分たちを男性化して)連載している。ある日、ジョーの叔母キャロルが結婚すると報せが届く。夫となるヘンリーはデヴォン州アルスターの名家バルカヴィルの子孫で、最近、前当主が亡くなって跡を継ぐことになったという。ジョーはバスカヴィルの屋敷に招待されるが、脱獄した殺人鬼と魔犬伝説が街を騒がせ、さらには叔母夫妻に脅迫状が届く。誰が何のために叔母たちを追い出そうとしているのか。前党首の死因は本当に事故死なのが? ジョーたちに見えない危険が迫っていた。半電脳と人工心臓のためになかなかロンドンを離れられないシャーリーは、ジョーを助けることができるのか!?

 次に、表紙と帯装幀イラストを手掛ける雪広うたこさんの本シリーズの紹介漫画とともに、シャーリーとジョーとその仲間(あるいは敵)たちについてガイドしていきます。

シャーリー紹介1p

©Madoka Takadono ©Utako Yukihiro

【登場人物紹介】
シャーリー・ホームズ
…ロンドンの治安維持システムを自認する顧問探偵。電脳家政婦ミセス・ハドソンに接続してネットの海から情報を引き出し、優れた頭脳で推理する。元パラリンピックの乗馬選手で、人工心臓の持ち主
曰く「僕には心(heart)がない」

ジョー・ワトソン
…アフガン帰りの元軍医にしてハーレクイン小説家。シャーリーの助手で同居人。シャーリーとともに手掛けた事件を男女逆転させてブログ連載中。お人好しで惚れっぽいだめんずウォーカー
曰く「心がないなんてうそ」

ミシェール(マイキー)・ホームズ
…英国政府高官。シャーリーを溺愛する実の姉。英国の間脳(Ms. DiE)の異名をとり、曜日ごとに老若男女5名の愛人がいる
曰く「かわいい私の天使ちゃん」

ミセス・ハドソン
…ベイカー街221bの万能なる電脳家政婦
曰く『はい、シャーリーお嬢様(Milady)』

ミスター・(スチュワート・)ハドソン
…ベイカー街221b隣接のカフェ〈赤毛組合〉店主
曰く「赤毛の方はもれなくコーヒーが半額になります」

グロリア・レストレード
…スコットランドヤード警部
曰く「おまえの前じゃプライバシーは皆無だな。“シャーリー・アンドロイド”」

ヴァージニア・モリアーティ
…数学者で情報処理学の権威。犯罪界のドン。シャーリーの人工心臓の開発者
曰く「あなたは私の子供のようなものだから」

以下は駆け足で。

ビリー
…グロリアの息子。グロリアが残業の折には221bに預けられることも多い可愛い少年
キャロル・モーティマー
…ジョーの叔母。狙った獲物は決して逃さないラブハンター
ヘンリー・バスカヴィル
…デヴォン州アルスター周辺を治めていた領主一族の当主。キャロルの婚約者
チャールズ・バスカヴィル
…前当主。ヘンリーの死んだ伯父
ヒューゴー
…チャールズの飼い犬
バリモア
…バスカヴィル家の代々の使用人
ローズ
…バリモアの妻
マージ・ステープルトン
…植物学者。ムーアを調査中
ジャック・ステープルトン
…自称トレジャーハンターのイケメン。マージの弟
ローラ・ライアンズ
…ベーカリー&カフェ〈オンザグルーン〉店主。噂好き
ジム・セルデン
…脱走中の“ノッティングヒルの殺人鬼”
イライザ・モラン
…英国陸軍将校。ジョーの元同僚。超肉食女子
カートとライト
…蜂のかたちをしているので【bee】と呼ばれるマイキーのお下がりの旧式偵察用ドローン。通称はストリートボーイ

 本ガイドは随時更新していきます。

 今年でデビュー20周年にあたる高殿円氏が、本家ホームズ譚への愛情を存分に傾け、想像の翼を思いきり羽ばたかせて描いた、いまもっともエキサイティングなUK女子ミステリをお楽しみください。

『シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗』ガイドその2はこちら。

高殿 円 Madoka Takadono
兵庫県生まれ。2000年に第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞し『マグダミリア 三つの星』でデビュー。第1回エキナカ書店大賞受賞作『カミングアウト』をはじめ、『上流階級 富久丸百貨店外商部』『メサイア 警備局特別公安五係』『戒名探偵 卒塔婆くん』『政略結婚』『グランドシャトー』『剣と紅』『主君 井伊の赤鬼・直政伝』『カーリー』など、現代物から歴史物、ファンタジーまで、卓越したストーリーテリングと多彩な作風で人気を博す。2010年に上梓した『トッカン 特別国税徴収官』で大好評を博した〈トッカン〉シリーズ(早川書房刊)が連続TVドラマ化されたほか、映像化・舞台化・コミカライズ化作品多数。本書の前作にあたる『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』は、数あるホームズ・パスティーシュの中でも異彩を放ち、根強いファンに支えられて、2014年刊行以来、続篇が待たれていた。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!