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中国系移民の一家の喪失と再生を描いたブッカー賞候補作『その丘が黄金ならば』(C・パム・ジャン/藤井光 訳)

早川書房では、2020年のブッカー賞候補作、C・パム・ジャンのデビュー長篇『その丘が黄金ならば』(How Much of These Hills is Gold)を刊行します。本作は「コーマック・マッカーシーやトニ・モリスンを彷彿とさせる」と評され、オバマ元大統領のおすすめ本にも選ばれた、中国系アメリカ人作家のデビュー長篇です。アンソニー・ドーア『すべての見えない光』などの訳者である藤井光さんが、作中に散りばめられた詩的な表現を美しく翻訳しています。

装画/榎本マリコ 
装幀/早川書房デザイン室

◆あらすじ


ゴールドラッシュが過ぎ去った黄昏のアメリカ。
かつて黄金が埋まっていたこの地を、
今は乾いた金色の草だけが覆っている。

炭坑の町で暮らす中国系移民一家の子供、
11歳のサムと12歳のルーシーは、
明け方に父が亡くなっていることに気づく。

母を数年前に失った二人には、もう居場所はない。
だから町から逃げ出し、父親の亡骸を葬るための旅にでる。

現実的で、協調性を重んじるルーシーと、
奔放で、自らの信念を貫こうとするサム。
二人で始めたはずの旅はやがて、
それぞれにとっての居場所を問うものへと変わっていく──

◆原書に寄せられた賛辞


魅力的で、忘れられない、驚くべきデビュー作。古代の神話作者のような明晰な視点で、自然や人間の在りようを明らかにする
──チゴズィエ・オビオマ(『ぼくらが漁師だったころ』著者)

コーマック・マッカーシーとトニ・モリスンを彷彿とさせる──アイリッシュ・タイムズ紙

アメリカの聖地が持つ魅惑的な美しさと名高い歴史だけでなく、その恩恵を受けることを望んでいた無数の人々の過酷な犠牲をも捉えている──サンフランシスコ・クロニクル紙

◆受賞・ノミネート歴


・2020年ブッカー賞ノミネート
・オバマ元大統領の2020年おすすめの一冊に選出
・2020年 全米図書賞が選ぶ「35歳以下の注目作家」の5名に選出
・2021年 PEN/ヘミングウェイ賞ノミネート
・2021年 ニューヨーク公共図書館若獅子賞ノミネート
・2021年 ラムダ文学賞バイセクシュアル文学部門ノミネート

◆著者 C・パム・ジャン C Pam Zhang


🄫Gioia Zloczower

1990年、北京生まれ。4歳のときにアメリカに移住し、18歳になるまでに10回も引っ越しながらアメリカ中を転々とする。今までに13の都市に住んだが、 “故郷”と呼べる場所はまだ見つかっていない。ブラウン大学や英国ケンブリッジ大学で創作を学んだあと、2020年に本作でデビューし、その年のブッカー賞候補に。オバマ元大統領のおすすめ本にも選ばれ注目された。サンフランシスコ在住。

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 『その丘が黄金ならば』は早川書房より好評発売中です。


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