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自他ともに認める代表作が揃うハイレベルな傑作選――『時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ』訳者・大森望氏あとがき

 劉慈欣の『円』に続く傑作短篇集、『時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ』が発売となりました!

『三体』でも活躍した天才物理学者・丁儀が登場する短篇など、全13篇を収録。『円』に引き続き、読みごたえ抜群のハイレベルな短篇集となっています。
本欄では、劉慈欣作品の翻訳を手がける大森望さんの訳者あとがきを掲載します。 

訳者あとがき


大森 望
 

  お待たせしました。『時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ』をお届けする。

 日本初の劉慈欣短篇集『円』はたいへん好評を得て、劉慈欣作品の先陣を切って2023年に文庫化されると増刷に次ぐ増刷。《三体》三部作に次ぐ人気を誇っている。新海誠監督いわく、

「『三体』三部作は、本当に傑作だと思う作品の一つです。ですが、『三体』以上に衝撃だったのは、短篇集の『円』なんですよね。(中略)ハードSFを大衆作品にするのであれば、こういう強烈なビジュアルイメージが必要なんだ、と教えてくれるような力のあるSF短篇集でした」

〈ダ・ヴィンチ〉2022年12月号より

 劉慈欣イコール『三体』というイメージが強く、長篇作家と思われているかもしれないが、全部で40篇近い劉慈欣の短篇の多くは、凝縮されたアイデアと強烈なインパクトを持ち、SFに不慣れな読者にもとっつきやすい。いきなり長大な三部作に手を出すのはちょっと……という人々に『円』が歓迎されたという事情もあるかもしれない。

 その後、KADOKAWAから刊行された二冊の短篇集『流浪地球』『老神介護』をはさみ、本書『時間移民』が、日本で出る四冊目の劉慈欣短篇集ということになる。内容的には、まさに『円』の姉妹篇。

 1985年に第一稿が書かれた最初期のショートショート「宇宙収縮」から、著者の現時点での最新作となる「フィールズ・オブ・ゴールド」(2018年発表)まで、30年あまりにわたって劉慈欣が書いてきた短篇13篇を収録する。そのすべてが本邦初訳(ただし表題作のみ、〈SFマガジン〉2024年12月号に先行掲載された)。本書の刊行によって、日本語で読める劉慈欣短篇が一挙に13篇増え、劉慈欣の全短篇が邦訳されたことになる。

 日本の読者にとって最大の注目ポイントは、《三体》シリーズでおなじみの天才物理学者・丁儀(ディン・イー)が出てくる作品が三篇あること(丁儀とほぼ同一人物である丁一が出てくる「共存できない二つの祝日」を含めれば四篇)。丁儀が準主役を張る『三体0 球状閃電』(2005年)よりさらに前に書かれた短篇群なので、さしずめ本書は〝三体マイナス1・0〟か。もっとも、この三篇に出てくる丁儀は、いずれも天才的な理論物理学者でありながら、それぞれべつの世界線(マルチバース)に属しているらしく、相互に(あるいは『球状閃電』および《三体》三部作の丁儀とも)時系列的なつながりはない。

 この四篇にかぎらず、本書収録作には、《三体》シリーズで描かれるさまざまなモチーフやテーマの原型がよりシンプルなかたちで含まれている。表題作は『三体Ⅱ 黒暗森林』『三体Ⅲ 死神永生』で描かれる人工冬眠技術が核になるし、「歓喜の歌」に登場する〝音楽家〟は『死神永生』の歌い手文明や〝太陽弾き〟につながり、「思索者」の後半に出てくる脳モデルは『黒暗森林』の山杉恵子の研究にそのまま重なる……という具合。《三体》のあとに本書を読んでも、本書のあとに《三体》を読んでも、さまざまな発見があるだろう。

 いままで邦訳されていなかった13篇を集めたとなれば、ふつうは落ち穂拾いの作品集になりそうだが、まったくそう見えないところにも劉慈欣の凄さがうかがえる。中国SF界でもっとも歴史と権威のある賞のひとつ、中国科幻銀河賞を受賞した「全帯域電波妨害」「鏡」、銀河賞読者賞を受賞した「思索者」「朝(あした)に道を聞かば」のほか、「時間移民」「夢の海」など、自他ともに認める代表作が揃うハイレベルな傑作選となっている。13篇のうち10篇は、中国書評学会が年間最優秀書籍を選出する「中国好書賞」の文学・芸術部門を受賞した2014年刊の劉慈欣短篇集『时间移民』(江蘇鳳凰文芸出版社)と重なっていることもあり、この短篇集の表題作に「時間移民」を選び、そののち、大森の責任であらためて独自に配列した。

 巻頭は、八千万人の時間移民団を率いて未来へと旅立つ〝大使〟の使命を描く表題作「時間移民」。続く「思索者」は、太陽(恒星)の〝瞬き(シンチレーション)〟を観測する天体物理学者の女性が脳外科医の男性と知り合ったことで思わぬ発見に立ち至る物語で、《三体》に通じる要素が少なくない。宇宙からおそろしく迷惑な氷雪芸術家がやってくる「夢の海」と、太陽を楽器にして演奏する音楽家がやってくる「歓喜の歌」は、ともに《大芸術》シリーズ(後述)に属する。続く四篇は、丁儀(プラス丁一)が登場する物理学ネタのSF四連発。「ミクロの果て」「宇宙収縮」「共存できない二つの祝日」は古典的なアイデアを扱ったショートショートだが、「朝に道を聞かば」は、劉慈欣ならではの〝究極の選択〟が正面から描かれる。「全帯域電波妨害」と「天使時代」は戦争を扱ったずっしり重い中篇。愉快なショートショート「運命」をはさみ、ミステリ風の導入から驚くべき真実が明かされる超絶エンターテインメント「」を経て、最後は最新作「フィールズ・オブ・ゴールド」で締めくくる。劉慈欣の邦訳短篇集は本書が最後の一冊になるが、既刊の三冊に劣らず、すばらしい作品が集まっていると思う。楽しんでいただければさいわいです。

 以下、各篇について、原題(括弧内)と脱稿日(原稿末尾に記載されているもの。年数だけのものは维基百科の「刘慈欣」の記述に拠る)と初出データのほか、簡単な補足情報を付す。できれば読了後に参照してください。

 
時間移民(时间移民)『微纪元』

《三体》でもおなじみの人工冬眠(冷凍睡眠)技術を使った大規模な〝移民〟という、劉慈欣らしい壮大なプロジェクトが描かれる。ゴールは120年後の未来のはずだったが……。脱稿日不明。2010年に出版された劉慈欣短篇集『微纪元』(沈阳出版社)に初めて収録された。

 ●思索者(思想者)2002年7月24日脱稿 《科幻世界》2003年12月号

 見習いの脳外科医だった〝彼〟は、先輩医師とともに応急処置のために訪れた山頂の天文台で、恒星のシンチレーション(瞬き)を研究する天文学者の〝彼女〟と出会う。二人が偶然発見した驚くべき現象とは?

 登場人物は、〝彼〟と〝彼女〟の二人だけ。それぞれの道を歩む二人の人生が何年かに一度交差し、その逢瀬が叙情的に描かれる。名前も与えられない二人の登場人物(彼/彼女)は、『三体Ⅱ 黒暗森林』に登場する脳科学者のビル・ハインズとその妻・山杉恵子の原型にも見える。本篇ではバックパックに入るサイズだったニューロン伝達の模型は、『黒暗森林』ではホール全体を満たすほど巨大化している。壮大なアイデアとロマンティックな関係が重なるのも劉慈欣の特徴かもしれない。2003年度銀河賞読者賞受賞。同年の年間ベストSF選集《2003年度中国最佳科幻小说集》収録。

夢の海(梦之海)2001年7月18日脱稿 《科幻世界》2002年1月号

 氷雪アートを扱った「夢の海」と、音楽を扱った「歓喜の歌」は、漢詩を扱った「詩雲」(『円』所収)とともに《大芸術》シリーズを構成する(発表順では、「夢の海」「詩雲」「歓喜の歌」だが、話は完全に独立しているので、どの順番で読んでも問題ない)。

 本篇では、さっぽろ雪まつりみたいな「雪と氷の芸術祭」に、とつぜん宇宙から低温アーティストがやってきて、すさまじいスケールの氷彫刻をつくりはじめる。ビジュアルイメージはまさに強烈だが、芸術作品が完成してからの〝あとかたづけ〟のほうが問題になるところが面白い。

 ●歓喜の歌(欢乐颂)2001年6月28日初稿。2005年7月11日第二稿脱稿 《九州幻想》贪狼号(2005年8月)

 題名の「歓喜の歌」(喜びの歌)は、日本でもおなじみ、ベートーヴェンの交響曲第九番の第四楽章で歌われる第一主題 An die Freude (Ode to Joy)のこと。ドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーの詩「歓喜に寄せて」の一部をベートーヴェンが交響曲第九番の合唱曲の歌詞として引用・改作した(作中で歌われる後半の詞は、シラーの原詩にはあるが、「第九」には使われていない)。翻訳にあたっては、原詩のドイツ語版および英訳版を参照した。

 作中に登場するリチャード・クレイダーマンは1953年生まれのフランス出身のピアニスト。日本でも大人気だが、中国での人気ぶりはさらにその上を行くらしい。本篇に自分が登場することはクレイダーマン氏も知っていて、中国メディアのあるインタビューでは、「自分の音楽が中国のいたるところで聴かれ、中国のSF小説にまで登場していることに感動しています」と語っている。

 ●ミクロの果て(微观尽头)1998年10月脱稿 《科幻世界》1999年6月号
宇宙収縮(坍缩)1985年脱稿 《科幻世界》1999年7月号

 1999年、劉慈欣は意を決して、それまでこつこつ書き溜めていたSF短篇のうち5篇を《科幻世界》編集部に送った。どれかひとつでも採用されれば……というつもりだったそうだが、そのすべてが採用されて、順次掲載されることになった。最初に掲載されたのが「鯨歌」(『円』所収)と「ミクロの果て」だった。したがって「ミクロの果て」がもうひとつの商業デビュー作ということになる(ただし、もとの原稿が書かれたのは翌月掲載された「宇宙収縮」のほうが早いらしい)。

 二作とも、古典的なアイデアを扱ったSFショートショート。まだ二十代のころに書かれただけあって、黄金時代のSFに対する憧れがストレートに出ている。

 ●朝(あした)に道を聞かば(朝闻道)2001年9月26日脱稿 《科幻世界》2002年1月号

 タイトルは、孔子の『論語 里仁篇』に出てくる「朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり」(朝聞道、夕死可矣)が出典。〝朝に真理を知ることができたら、その日の夕暮れに死んでもかまわない〟という孔子の言葉が、物理学者(およびその他の分野の学者たち)に適用される。アーサー・C・クラークの「前哨」(および『2001年宇宙の旅』のモノリス)にインスパイアされたようなところもあるが、リスク排除官が地球にやってきて人類と対話するところが劉慈欣らしい。別題「爱因斯坦赤道」(アインシュタイン赤道)。2002年度の銀河賞読者賞を受賞。《2002年度中国最佳科幻小説集》に選ばれた。

 ●共存できない二つの祝日(不能共存的节日)2016年1月16日脱稿 《科幻世界》2016年4月号

 地球人類の祝日(記念日)を選ぶとすれば、いったいいつになるのか?

 作中に登場するセルゲイ・コロリョフ(1907~1966)は、ソ連の宇宙開発を率いた主任ロケット開発者にして宇宙船設計者。犬のライカを乗せたスプートニク2号に続き、世界初の有人宇宙船ボストークを開発し、ガガーリンを宇宙に送った。宇宙開発競争華やかなりしこの時代、ソ連当局は彼が暗殺されることを恐れて姓名などの個人情報をいっさい公表せず、コロリョフは〝同志設計主任〟と呼ばれた。

 ●全帯域電波妨害(全频带阻塞干扰)2000年4月5日脱稿 《科幻世界》2001年8月号

 ロシアで共産党が政権を獲得。国内右派勢力がこれに反旗を翻し、政権奪還のため、NATO軍とともにロシアに侵攻する。電子戦で圧倒的な不利をかこつロシア軍がNATO勢力に対抗するための最後の方策が、味方も含め、全帯域にわたる電波妨害を行うことだった……。

 コソボ紛争に触発されたとおぼしき戦争もの「カオスの蝶」(『円』所収)の翌年に書かれた作品。奇しくも脱稿は、エリツィンの辞任を受けてプーチンが大統領選挙に初当選した2000年3月26日の直後だった。2022年にロシアがウクライナに軍事侵攻し、NATO諸国が支援するウクライナ軍と戦争が続くいま、発表当時よりもさらに生々しく見えるかもしれない。

 2001年度の銀河賞を受賞、《2001年度中国最佳科幻小说集》に選ばれた。

 最初にインターネットに発表されたバージョンでは、中国が日本・ロシア・NATOの連合軍と戦争するという設定だったが(通称〝中国版〟)、《科幻世界》掲載時に現在の設定に改稿された(通称〝ロシア版〟)。〝中国版〟のほうの「全频带阻塞干扰」は、2003年に台湾天海文化有限公司から出版された『爱因斯坦赤道』(アインシュタイン赤道)に収録されている。

 ●天使時代(天使时代)1999年2月21日初稿、2000年5月17日第二稿脱稿 《科幻世界》2002年6月号

 国民の多くが飢餓に苦しむアフリカの(架空の)最貧国ソンビア。遺伝子ソフトウェア工学の創始者でありノーベル賞受賞者でもあるイータ博士が、祖国を飢餓から救うために立ち上げた驚くべきプロジェクトとは?

 本篇後半の山場となるソンビア沖の熾烈な戦闘シーンは、二〇〇二年に福建少年児童出版社から出た未訳のデビュー単行本『魔鬼积木』(悪魔の積み木)に流用されている。ちなみに同書前半では、飢餓を解決するためではなく、質の高い兵士を生み出すために、米軍がヒトと動物の遺伝子を組み合わせたハイブリッドをつくる実験に着手。この「ジェネシス計画」から最強の遺伝子改造人間たちが誕生する。 

●運命(命运)2001年5月11日脱稿 《科幻世界・惊奇档案》2001年第3号(太阳舞号)

 いまから6600年前、白亜紀末期に恐竜は絶滅した。その原因とされているのが小惑星(巨大隕石)の衝突。それによってユカタン半島北部にできたチクシュルーブ・クレーターは、直径約160キロメートル。衝突時のエネルギーは広島型原子爆弾の約10億倍だったと言われている。もし地球がこの衝突を免れていたら……という発想から、意外な結末が導かれる。初出誌は《科幻世界》の増刊(惊奇档案は“AMAZING FILES”の意味らしい)。2001年は不定期刊行だったが(太阳舞号は十一月刊)、翌年から月刊化。2004年に休刊した。

 ●鏡(镜子)2004年9月24日脱稿 《科幻世界》2004年12月号

 警察が追うターゲットは、捜査側の行動すべてをあらゆる細部まで把握し、警察を嘲笑うように電話をかけてくる。彼はいったいどんな魔法を使っているのか?

 犯罪サスペンスのように幕を開けた物語は、あるときとつぜん本格SFへとジャンプする。規律検査委員会が背景のひとつになり、習近平体制下で加速している〝選択的反腐敗〟がモチーフに選ばれている点も興味深い。本書収録作ではいちばん長い異色作。2004年度の銀河賞受賞。

●フィールズ・オブ・ゴールド(黄金原野)2017年6月4日脱稿 Twelve Tomorrows (英訳版/2018年5月)

 本書を締めくくるのは、著者の小説としては現時点で最新となる2018年発表の「フィールズ・オブ・ゴールド」。MITテクノロジー・レヴューがMIT出版局と共同で刊行したウェイド・ラウシュ編のアンソロジー Twelve Tomorrows に、ケン・リュウによる英訳で収録された。このアンソロジーには、ほかにエリザベス・ベア、ポール・マコーリイ、ンネディ・オコラフォー、サラ・ピンスカー、アレステア・レナルズなどが参加している。

 その後、同年8月に出た同書の中国版『十二个明天』(北京联合出版公司)に収録。《科幻世界》2018年12月号にも掲載された。

           ***

  最後に翻訳について少々。

 中国語から日本語への翻訳の初稿は、「時間移民」「夢の海」「歓喜の歌」「ミクロの果て」「共存できない二つの祝日」「天使時代」「運命」は光吉さくら訳、「思索者」「宇宙収縮」「朝に道を聞かば」「全帯域電波妨害」「鏡」「フィールズ・オブ・ゴールド」はワン・チャイ訳。その後、二人がたがいに邦訳に手を入れたのち、原著者側から提供された中国語原文ファイルと英訳ファイルを参照しながら大森が最終的な訳稿を仕上げた。

 科学的な記述については例によって林哲矢氏にチェックしていただいた。また、「全帯域電波妨害」と「天使時代」の二作に関しては、軍事的な記述について、『超新星紀元』に続いて作家の林譲治氏に閲読をお願いし、多数のアドバイスをいただいた。もちろん、誤りがあれば、最終原稿をつくった大森の責任である。また、刊行にあたっては、早川書房編集部の梅田麻莉絵氏、校正担当の永尾郁代氏にお世話になった。カバーは、おなじみの富安健一郎氏に今回もすばらしい新作イラストを描き下ろしていただいた。みなさんに感謝する。 

 さて、『三体』の邦訳刊行から五年半の歳月が過ぎ、劉慈欣の訳書は本書で十一冊め(上下巻を別々に数えると十三冊め)。前述したとおり、現時点までに発表されている劉慈欣の短篇は、すべて邦訳されたことになる。中国で出版されている劉慈欣の小説のうち、まだ邦訳されていないのは、「天使時代」の項で紹介したデビュー単行本『魔鬼积木』(悪魔の積み木)一冊を残すのみ。これは長篇版『白亜紀往事』とほぼ同じ分量の短い長篇なので、いつか邦訳される日が来るかもしれない。

 2018年の「フィールズ・オブ・ゴールド」以降、新作を発表していない大劉(ダーリウ)だが、怠けているわけではなく、新作長篇をずっと書きつづけているという。首を長くして完成を待ちたい。

『時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ』
劉慈欣=著/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ=訳
装画:富安健一郎
装幀:早川書房デザイン室

環境悪化と人口増加のため、政府はやむなく“時間移民”を決断。全世界に建設された200棟の冷凍倉庫に眠る合計8000万人の移民を率いて、大使は未来へと旅立つ……。表題作「時間移民」のほか、宇宙からやってきた“音楽家”が国連本部前のコンサートに飛び入り参加して太陽を奏でる「歓喜の歌」、『三体』でも活躍した天才物理学者・丁儀がクォーク分割に挑む「ミクロの果て」、すべてを見通しているかのような男に警察が翻弄される銀河賞受賞作「鏡」、太陽系の果てへとひとり漂流する少女を全人類がネット経由で見守る「フィールズ・オブ・ゴールド」など全13篇を収録する、劉慈欣の傑作短篇集。
【収録作品】
時間移民
思索者
夢の海
歓喜の歌
ミクロの果て
宇宙縮
朝(あした)に道を聞かば
共存できない二つの祝日
全帯域電波妨害
天使時代
運命

フィールズ・オブ・ゴールド