ノーベル賞作家ヨン・フォッセ、中期を代表する小説『三部作【トリロギーエン】』9月4日発売
早川書房は、ノルウェーの作家、ヨン・フォッセの小説『三部作【トリロギーエン】』(原題 Trilogien)を2024年9月4日に刊行します。
2023年にノーベル文学賞を受賞したノルウェー人作家ヨン・フォッセ。本書は、フォッセが2007年から2014年にかけて書いた、ある恋人たちの人生をめぐる小説集です。北欧理事会文学賞を受賞した、作家の中期における代表作です。
翻訳は、原書のニーノシュク(新ノルウェー語)から、岡本健志・安藤佳子の両氏が訳しています。この二人は、フォッセに教えも受けているカール・オーヴェ・クナウスゴール『わが闘争』の翻訳も手掛けています。
◉内容紹介
アスレは冷たい雨の中をさまよっていた。船に乗って故郷を離れ、海岸沿いの街ビョルグヴィンで、妊娠中の妻アリーダとともに宿をさがしていた。街に知り合いはおらず、孤独で貧しい17歳の二人を助けてくれる者はいなかった。
彼らを支えるのは、出会ったときの幸福な記憶。故郷で行われた結婚式で、アリーダは給仕として働き、アスレはフィドルを演奏していた。この人となら、どんな困難も乗り越えられると思えた。だが、いま、アリーダは出産間近なのに雨に濡れ、疲れ果てている。もう時間がない。決死の思いでアスレが選んだ行動は――
居場所をさがしもとめる恋人たちの人生を描き、北欧理事会文学賞を受賞。ノーベル文学賞に輝くノルウェー人作家の代表作の一つである連作短篇集。
◉ヨン・フォッセ Jon Fosse
劇作家、小説家、詩人。1959年、ノルウェーのハウゲスンに生まれ、西部のフィヨルド沿いの小さな町、ストランデバルムで育つ。ベルゲン大学で文学を学ぶ。1983年に最初の小説『赤、黒』(Raudt, svart、未訳)を出版。以降、小説、詩、児童書を執筆する。1996年に最初の戯曲『だれか、来る』が上演されると、高く評価され、ノルウェー、やがて欧州での地位を確立。現在までに数々の作品が世界各地で上演されている。並行して小説も執筆しつづけ、「眠れない」(2007年)、「オーラヴの夢」(2012年)、「疲れ果てて」(2014年)を収めた本書『三部作』を2014年に刊行。その独自の形式、詩的な散文、時間と場所を超えた恋人たちの物語が評価され、翌年、北欧理事会文学賞を受賞した。2019~21年、1200頁を超える長篇小説『七部作』(Septologien、未訳)を刊行。2023年、ノーベル文学賞を受賞。邦訳に、戯曲「名前」「スザンナ」「ぼくは風」を収めた『ヨン・フォッセⅠ』(ハヤカワ演劇文庫)、『だれか、来る』、『朝と夕』がある。
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『三部作【トリロギーエン】』とともに、戯曲集『ヨン・フォッセⅠ』をハヤカワ演劇文庫から同時発売します(アンネ・ランデ・ペータス、長島確=訳)。イプセンとその妻の人生から着想を得た「スザンナ」ほか、劇作家フォッセの魅力を伝える「名前」「ぼくは風」を収録しています。
ヨン・フォッセ『三部作【トリロギーエン】』『ヨン・フォッセⅠ』は、2024年9月4日に発売です。