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100の語彙を使ってヒトと対等に交流した世界一賢いヨウム、アレックスと研究者による感動のノンフィクション『アレックスと私』

はじめに

世界で一番賢いヨウム「アレックス」と、ハーバード大学で化学を修めたのち動物心理学に活躍の場を移し、世界をリードする成果を残し続ける研究者、アイリーン・M・ペパーバーグによる『アレックスと私』(佐柳信男訳)を、ハヤカワ・ノンフィクション文庫から10月1日に刊行します。

『アレックスと私』は、アレックスが2007年9月に亡くなったあと、彼の研究者兼パートナーだった著者によって書かれた回想録です。当時はニューヨークタイムズ、ABCテレビ、TIME誌だけでなく、経済誌であるエコノミストなど多様なメディアで、アレックスが最期にのこしたことばである「アイ・ラブ・ユー」とともに、繰り返し訃報が流れました。

本書では、研究者とアレックスが過ごした30年を、研究結果を紹介しながら、エッセイのようなやさしい文体で振り返っています。

アレックスの語彙は約100個。それらを用いてヒトの質問に正しく答えたり、食べものや飲みものを要求したり、まさに対等にコミュニケーションすることができたと言われています。数を数えたり、足し算をすることもできました。まさに「哺乳類以外の動物がもつ知性」を代表する存在だったのです。

ちなみに、テッド・チャン(「大いなる沈黙」、『息吹』〔早川書房刊〕所収)やマーガレット・アトウッドの作中(『オリクスとクレイク』〔早川書房刊〕)にもアレックスが登場しています。
『アレックスと私』本文中では、研究室を訪れるアトウッドとのヒヤヒヤするエピソードが紹介されていたりもします。

文庫版には単行本未収録の「著者インタビュー」と「よくある質問」が追加されているほか、シジュウカラのフィールドワークで著名な鳥類の音声コミュニケーションの研究者、鈴木俊貴さん(京都大学 白眉センター特定助教)による解説が新規に収録されています。

装画は、『107号室通信』『光と窓』『ひとりの夜にあなたと話したい10のこと』などの作品のある漫画家・イラストレーターのカシワイさんです。

ヨウムとは

弊社でも「ヨウムってオウムなの?」「ヨウムってどんな鳥?」「インコやオウムの中で一番賢いの?」と聞かれたりしますので、ヨウムという鳥について、専門家ではありませんが、担当者から少しだけご紹介します。

ヨウムは、英語ではGrey parrot (灰色のインコ)と呼ばれ、野生ではアフリカに分布している、ハトくらいの大きさのインコです。約50年の寿命をもつと言われています(中・大型のインコやオウムは長生きで、50年はふつうくらいです)。

身近なインコとして親しまれているセキセイインコやオカメインコと比べるといくぶん体が大きく、尾羽も短いので誤解されがちですが、実は「オウム」ではなく、「インコ」の仲間なんです。こんな名前なのに。
ちなみにかわいい冠羽(かんう)が特徴的なオカメインコは「オウム」です。疑心暗鬼になる......。

ヒトとともに暮らすヨウムは非常にことばの学習能力が高く、発音もよいことで知られています。したがって、Amazonのスマートスピーカー、アレクサを使いこなします。



ヨウムがとても賢いと言われる理由は、ことばを操る能力の高さにあると思われます。そのため、他の鳥類と比べて一番賢いというのは難しいかもしれません。例えば、同じインコ・オウムの仲間のケア(ミヤマオウム)や、日本でも身近なカラスの仲間など、高い認知能力を持つ鳥はほかにもたくさんいます。

ただし、最近になってもたくさんヨウムを対象にした研究が報告されているので、その中から一部をご紹介します。名門大学の学生に記憶テストで勝利したのは、アレックスの後輩のグリフィンです(『アレックスと私』では、彼のエピソードもたくさん紹介されます)。


環境下では非常に大きな群れを作り、社会的な生活を営むことでも知られています。仲間との密なコミュニケーションをとる必要があることが、ヨウムに高い認知能力が備わっている理由なのかもしれません。

また残念なことに、乱獲と生息環境の大幅な悪化により、アフリカの野生個体は希少な存在になってきてしまっています。そのため、ヨウムは国際的にペットとしての取引が法律で制限されている種です。悲しいことですが、これも現代におけるヨウムの特徴のひとつとなっています。


Youtubeなどには、日本語でおしゃべりするかわいいヨウムの飼い主さんの動画もたくさんアップされています。その中から担当者の独断により、一部の動画をご紹介します。

ダース・ベイダーなりきりインコとして紹介されたこともある、有名な動画です。


白目が最高......


声が超かわいいと担当者の中で話題のレオくんです。


このほかにも、ウェブ上でたくさんのヨウムの動画を見ることができます。

おわりに

アレックスが亡くなって10年以上がたった今でも、本書で紹介されるエピソードは「動物に心と意識はあるのか」という大きな問題について、また、ヒトという動物のあり方について、問い直すきっかけを与えてくれます。

もちろん、アレックスの個性的な性格や、アイリーンとのやりとりに癒されたり、感動する方も多いはず。
弊社では、これからも少しずつ内容を公開していく予定です。




ありがとうございます!今日のおすすめは『ザリガニの鳴くところ』です。
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