
純粋な性と生のゆくえを描いた作品集。『ピュア』内容紹介
4月16日に発売された、小野美由紀さんによる短篇集『ピュア』。性と生、フェミニズム、官能といった要素をSF的な想像力で描いた5篇が収録されています。人と人との距離のありかたが大きく問い直されている2020年にこそ読みたい、肌と肌の濃密な接触が織り成す物語。
Twitterでのハッシュタグ企画 #自粛期間中に出た紙の本を買おう の一環として、本書の内容と、刊行から公開された記事を改めてご紹介します。再開した書店で見かけたら、ぜひ一度お手に取ってみてください。
○あらすじ
遠い未来、地球軌道上の人工衛星で暮らす女性たちは、国を守るために子供を産むこと、そのための妊娠を義務付けられていた。ただしそれには、地上に棲む男たちを文字通り「食べる」ことが必要とされる―そんな変わり果てた世界で「普通の」女の子として生きるユミの葛藤を描き、ネット上で旋風を巻き起こした衝撃作のほか、幼馴染みの性的な変身をめぐって揺れ動く青春小説「バースデー」、未曾有の実験により12人の胎児の母となった研究者のドラマ「幻胎」など、性とともに生きる人々の姿を活写する5つの物語。
●各話紹介●
◎「ピュア」
女性が男性を食べなければ妊娠できなくなった遠い未来の社会。少女たちは子供を産むため、生きるため地球へ降り立ち、文字通り「男狩り」をする。社会への疑問を描きながらそんな世界に生きる少女ユミは、地球で出逢った男性に恋をしてしまう――早川書房noteで最も読まれたSF小説。
◎「バースデー」
ずっと一緒に過ごしてきた幼馴染が、ある日いきなり異性に「変身」した。全身の染色体を書き換えて異性になることができる医療技術が可能になった日本で、女子高に通う親友が、夏休み明けに男になって登校してきたら……という出来事を、主人公・ひかりの赤裸々な一人称で描く青春小説。
◎「To The Moon」
高校時代の同窓会に出席した望は、かつての大切な友人・朔希が、〝月人〟と呼ばれる存在に変わった姿で再会する――ゲル状の身体、失われた記憶。望は朔希の願いを受けて思い出の場所をめぐりはじめるも、そこには哀しい思い出が隠されていた。幻想的な筆致で綴られる女同士の固い絆。
◎「幻胎」
優秀な生物学者である父からの期待に応えるため、より強い人類種の精子を自らの卵子に受精させ、人工子宮によって一度に12人の胎児の母となるプロジェクトに参加することになった、研究者のゼス。社会からの大きな反発を受けながら実験を進めていくうち、かつて別れた恋人と出会うことで、父に対する疑念が育っていく――歪みながらも純粋な、ある親離れの物語。
◎「エイジ」
本書の表題作「ピュア」のスピンオフ。ユミが恋した男性、エイジの過去を描く。男性として生まれただけで凄まじい抑圧を受ける社会で、密かに読書を楽しむ年上の男性・芹沢さんと出会ったエイジは、本を読むことで自らの感情を知ってていく――男同士の友愛と悲劇。
●読んだ方々のご感想●
小野美由紀さん『ピュア』早川書房 入荷!うさぎや矢板店🐰私も読了。本能で刹那で純愛で、女はたくましく生き延びる。いつの時代も、これからも。
— 書店員きらり3888 (@kirari3888) May 9, 2020
『To the Moon』ラストが無限に美しい。光や粒子が輝きに満ち、月まで旅をする気持ちになり、幸福感に包まれた。読んだ人に爪痕を残す作家さんだ🌟 pic.twitter.com/k7615zC45F
「なんて濃い物語だ。エロくもあり、グロくもあり、性と生の描き方に衝撃を受ける。これがフェミニズムSFというものか。本当に大切な人とどう関わっていくか、これからの人と人との関わり合いを考える上で読むべき一冊だろう。」
— 溝ロカ丸 (@marumizog) May 11, 2020
『ピュア』|感想・レビュー・試し読み https://t.co/Oiyw9LG3eZ
性と生がテーマのSF短編集。GW中に小野美由紀さんの著作を拝読しました!表題作『ピュア』とそこに登場した男性が主人公の『エイジ』は順に読んでもいいかも。性にまつわる匂いが立ち上る生々しさ…時に苦しくなる描写。この沼にはまった後は『ピュア』にまつわる著者インタビューを読むのがおすすめ。 pic.twitter.com/SQESEkqDMv
— 池田園子 (@sonoko0511) May 10, 2020
小野美由紀さんの「ピュア」。
— 本屋プラグ (@books_plug) May 19, 2020
ポップで荒唐無稽なディストピアSFでありスクリューボールコメディでもあって、文体はトリガー制作アニメかというスピード感と躍動感、それでとにかく一気に読ませる勢いがすごい❗
文学と身構えることなく、ぜひ読んでみてほしい一冊です📚✨
最近の日本のSFはいいぞ🛰 https://t.co/gy5TLQGpvS
ご恵送いただいた小野美由紀さん著『ピュア』、Netflix『軽い男じゃないのよ』と比較する感想も見かけますが個人的にはそちらより数段面白く読みました。常々、女性の生が生殖とセットで語られすぎることに息苦しさを感じる。女が「強者」に転じた世界でも付き纏うソレの描写が生々しい余韻。 pic.twitter.com/aN22lLOgRU
— 加藤藍子@ライター・編集者 (@aikowork521) June 2, 2020
#自粛期間中に出た紙の本を買おう
— 沈没ちゃん (@SinkingPorno) May 31, 2020
早川書房から『ピュア/小野美由紀』
noteで読んだ表題作がめちゃくちゃ良くて買いました!
自分の心の中にある言語化できないもやっとしたものの正体が暴かれたような気がした…SFといっても文体も設定もかなり読みやすいのでいろんな人に読んでほしいなあという本 pic.twitter.com/iK4eXXpku1
●ウェブ記事まとめ●
【試し読み】
【著者インタビュー】
【座談会イベント】