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『三体』の劉慈欣も「近未来SFの頂点」と激賞! 陳楸帆『荒潮』、ついに日本上陸!

 あの『三体』著者、劉慈欣が「これは近未来SFの頂点だ」と激賞。早川書房が『三体』に続いて自信を持っておおくりする中国SF、陳楸帆(チェン・チウファン)『荒潮』をご紹介します!

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『荒潮』(画像・書名をクリックorタップでAmazonに飛びます)
陳楸帆(チェン・チウファン)/中原尚哉=訳
カバーイラスト:みっちぇ(亡霊工房)/カバーデザイン:川名潤

新☆ハヤカワ・SF・シリーズ

 本作『荒潮』[荒潮、2013](Waste Tide, 2019)は陳楸帆(チェン・チウファン、英名スタンリー・チェン)によって書かれました。
 陳楸帆は1981年、広東省汕頭市生まれ。中国では80年代生まれを総称して「80后」と呼んでいますが、その代表的なSF作家として知られています。北京大学を卒業後、百度(バイドゥ、中国最大の検索エンジン運営企業)やGoogleに勤務します。そのかたわら、《科幻世界》《時尚先生》(中国版《エスクァイア》)などの雑誌に短篇を発表。台湾奇幻芸術賞青龍賞、銀河賞、科幻星雲賞など数々の賞に輝きました。

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 陳楸帆の短篇は日本では「鼠年」「麗江(リージャン)の魚」「沙嘴(シャーズイ)の花」の3篇が邦訳されており(すべて中原尚哉訳)、すべて『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(中原尚哉・他訳/ハヤカワ文庫SF)に収録されています。「鼠年」は2014年度のSFマガジン読者賞海外部門を受賞しています。そのサイバーパンク的作風から、「中国のウィリアム・ギブスン」の異名を得ています。ちなみに、本作の英訳を手がけたケン・リュウとは親友だとのこと。何度も来日経験があり(2016年に開催されたSFセミナーでは、海外ゲストとして来日し登壇しました)、日本酒がたいそうお気に入りだということです。

 本作『荒潮』は、陳楸帆が満を持して放ったデビュー長篇です。中国南東部の島、シリコン島で日々、電子ゴミから資源を探し出して暮らす最下層民 ”ゴミ人”。主人公の米米(ミーミー)もそのひとりです。彼女たちは昼夜なく厳しい労働を強いられており、得たわずかな稼ぎも島を支配する、羅(ルオ)、陳(チェン)、林(リン)、の御三家に搾取されていました。
 そんな中、島をテラグリーン・リサイクリング社の経営コンサルタント、スコット・ブランドルとその通訳である陳開宗(チェン・カイゾン)が訪れて、事態は変化します。ブランドルが持ちかけた、テラグリーン社による島の環境再生計画に翻弄され、利権を奪い合う御三家、虐げられて鬱憤を溜めるゴミ人たち、そしてその中で暗躍を始める李文(リー・ウェン)……。いっぽう、米米は開宗と恋に落ちます。はじめての恋に心を躍らせる米米。だが、予期せぬ地獄が彼女の身に迫っており……。

『三体』で知られる中国SF界の至宝・劉慈欣から、「近未来SF小説の頂点」と絶賛された本書。『クラウド・アトラス』の著者デイヴィッド・ミッチェルや、ラヴィ・ティドハー、チャーリー・ジェーン・アンダースらも賛辞を寄せています。ぜひお楽しみください。

 陳楸帆は、3月に〈新☆ハヤカワ・SF・シリーズ〉より刊行予定の『折りたたみ北京』第2弾となる現代中国SFアンソロジー、 『月の光』にも「開光」「未来病史」の2篇が収録されています。こちらもぜひぜひご期待ください!

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