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『カート・ヴォネガット全短篇(全4巻)』大紹介!

日本で一番愛されていると言っても過言ではない作家、カート・ヴォネガット。優しきニヒリストと称されたおじさんは、2007年にこの世を去りました。『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』『スローターハウス5』などの傑作長篇のインパクトが強いヴォネガットですが、短篇も切れ味は同様です。没後10年を経て、かれが生前に遺した98の短篇を8つのテーマに分類、4巻で刊行する『カート・ヴォネガット全短篇』が2018年9月より刊行されています。監修は大森望さん、カバーデザインは川名潤さんです。(カバーイラストは毎回描き手の方が変わります。お楽しみに!)

そこで本欄では各巻の収録作品、読みどころをご紹介します。都度更新していきますので、お見逃しなく!

カート・ヴォネガット全短篇1 バターより銃
(書影クリック/タップでAmazonにジャンプします)
カバーイラストレーション/和田誠

優しいニヒリズムに満ちた傑作『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』などで知られるヴォネガットが、その84年の生涯で著した全短篇を、8つのテーマに分類し集成。4分冊の第一巻には、「戦争」「女」テーマの21篇を収録する。
【収録短篇】
●セクション1 戦争
「王様の馬がみんな……」“All the King's Horses” 伊藤典夫訳
「孤児」“D.P.” 伊藤典夫訳
「人間ミサイル」“The Manned Missiles” 宮脇孝雄訳
「死圏」“Thanasphere” 伊藤典夫訳
「記念品」“Souvenir” 浅倉久志訳
「ジョリー・ロジャー号の航海」“The Cruise of "The Jolly Roger" 浅倉久志訳
「あわれな通訳」“Der Arme Dolmetscher” 浅倉久志訳
「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」“Bagombo Snuff Box” 浅倉久志訳
「審判の日(グレート・デイ)」“Great Day” 浅倉久志訳
「バターより銃」“Guns Before Butter” 浅倉久志訳
「ハッピー・バースデイ、一九五一年」“Happy Birthday, 1951” 浅倉久志訳「明るくいこう」“Brighten Up” 浅倉久志訳
「一角獣の罠」“The Unicorn Trap” 浅倉久志訳
「略奪品」“Spoils” 浅倉久志訳
「サミー、おまえとおれだけだ」“Just You and Me, Sammy” 浅倉久志訳
「司令官のデスク」“The Commandant's Desk” 浅倉久志訳
「追憶のハルマゲドン」“Armageddon in Retrospect” 浅倉久志訳
「化石の蟻」“The Petrified Ants” 大森望訳
「暴虐の物語」“Atrocity Story” 大森望訳/★本書初出
●セクション2 女
「誘惑嬢」“Miss Temptation” 宮脇孝雄訳
「小さな一滴の水」“Little Drops of Water” 大森望訳
解説/大森望

■担当編集者のプチ解説
第1巻はおもに「戦争」テーマが収録されています。「記念品」や「サミー、おまえとおれだけだ」のようにシリアスなものから、表題作の「バターより銃」(出てくる料理が全部おいしそう)、「あわれな通訳」までコミカルなものまでさまざま。しかしながらどの物語にも根底にはヴォネガットが戦争で体験したやるせなさ、切なさがくっきりと流れているようです。
ちなみに柴田元幸さん(第4巻で登場!)は「本人の気合が入っているのは後期のもの、独特のSF的なものだ、というのはよくわかったけれど、「孤児」のようにセンチメンタルなものが印象に残っています」と、刊行記念の大森望さんとのトークショーでお話されていました(こちらのトークショーの模様はSFマガジン2月号に採録しますのでお楽しみに)。

カート・ヴォネガット全短篇2 バーンハウス効果に関する報告書
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カバーイラストレーション/100%ORANGE

日本でもっとも愛されている作家、カート・ヴォネガット。彼が84年の生涯で著した、シニカルな笑いと温かな眼差しに満ちた全短篇を、8つのテーマに分類し集成。4分冊の第二巻には、「スロットル全開」「永遠への長い道」をはじめとする「女」「科学」「ロマンス」テーマの25篇を収録する。解説:小川哲
【収録短篇】
●セクション2 女(承前)
「ジェニー」“Jenny” 大森望訳
「エピゾアティック」“The Epizootic” 大森望訳
「百ドルのキス」“Hundred-Dollar Kisses” 大森望訳
「ルース」“Ruth” 大森望訳
「消えろ、束の間のろうそく」“Out, Brief Candle” 大森望訳
「ミスターZ」“Mr. Z” 大森望訳
「スロットル全開」“With His Hand on the Throttle” 大森望訳
「川のほとりのエデン」“Eden by the River” 宮脇孝雄訳/★本書初出
「失恋者更生会」“Lovers Anonymous” 浅倉久志訳
●セクション3 科学
「となりの部屋」“Next Door” 伊藤典夫訳
「バーンハウス効果に関する報告書」“Report on the Barnhouse Effect” 浅倉久志訳
「ユーフィオ論議」“The Euphio Question” 宮脇孝雄訳
「衣替えには」“Unready to Wear” 円城塔訳/★本書新訳
「エピカック」“EPICAC” 円城塔訳/★本書新訳
「記憶術」“Mnemonics” 浅倉久志訳
「耳の中の親友」“Confido” 大森望訳
「鏡の間」“Hall of Mirrors” 大森望訳
「ナイス・リトル・ピープル」“The Nice Little People” 大森望訳
「はい、チーズ」“Look at the Birdie” 大森望訳
「ティミッドとティンブクツーのあいだ」“Between Time and Timbuktu” 宮脇孝雄訳/★本書初出
●セクション4 ロマンス
「こんどはだれに?」“Who Am I This Time?” 浅倉久志訳
「永遠への長い道」“Long Walk to Forever” 伊藤典夫訳
「恋に向いた夜」“A Night for Love” 浅倉久志訳
「夢を見つけたい」“Find Me a Dream” 浅倉久志訳
「FUBAR」“FUBAR” 大森望訳
解説/小川哲

■担当編集者のプチ解説
第2巻には「女」「科学」「ロマンス」テーマを収録。テーマカラーもピンクです。あまりロマンチックなイメージのないヴォネガットですが、「永遠への長い道」「FUBAR」など、かなり胸キュン度が高い短篇が揃っています。
そして本書には円城塔さんの翻訳が2篇収録されています。「これは円城塔の新作短篇か!?」と思うような、円城さんとヴォネガットとの親和性! ヴォネガットにまつわるお父様との思い出が語られている、小川哲さんのぐっとくる解説も必読ですよ。
前述のトークショーで大森さんが朗読され、会場が爆笑の渦に巻き込まれた「スロットル全開」も本書収録です。

カート・ヴォネガット全短篇3 夢の家
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カバーイラストレーション/長崎訓子

優しいニヒリストと称され、愛されてきた作家カート・ヴォネガット。彼が84年の生涯で著した、シニカルな笑いと温かな眼差しに満ちた全短篇を、8つのテーマに分類し集成。4分冊の第三巻には、「ガール・プール」「ハイアニス・ポート物語」をはじめとする「ロマンス」「働き甲斐VS富と名声」テーマの24篇を収録する。解説:川上弘美

【収録短篇】
●セクション4 ロマンス(承前)
「ガール・プール」“Girl Pool” 大森望訳
「ローマ」“Rome” 大森望訳/★本書初出
「ミス・スノー、きみはくびだ」“Miss Snow, You're Fired” 大森望訳/★本書初出
「パリ、フランス」“Paris, France” 谷崎由依訳/★本書初出
「都会」“City” 谷崎由依訳/★本書初出

●セクション5 働き甲斐VS富と名声
「夢の家」“More Stately Mansions” 宮脇孝雄訳/★本書新訳
「ハイアニス・ポート物語」“The Hyannis Port Story” 伊藤典夫訳
「愛しの妻子に帰れ」“Go Back to Your Precious Wife and Son” 大森望訳/★本書新訳
「嘘」“The Lie” 大森望訳/★本書新訳
「工場の鹿」“Deer in the Works” 大森望訳/★本書新訳
「お値打ちの物件」“Any Reasonable Offer” 浅倉久志訳
「パッケージ」“The Package” 浅倉久志訳
「貧しくてゆたかな町」“Poor Little Rich Town” 浅倉久志訳
「サンタクロースへの贈り物」“A Present for Big Saint Nick” 浅倉久志訳
「自慢の息子」“This Son of Mine” 浅倉久志訳
「魔法のランプ」“Hal Irwin's Magic Lamp” 伊藤典夫訳
「ヒポクリッツ・ジャンクション」“Shout About It From the Housetops” 大森望訳
「エド・ルービーの会員制クラブ」“Ed Luby's Key Club” 大森望訳
「この宇宙の王と女王」“King and Queen of the Universe” 大森望訳
「年に一万ドル、楽々と」“10,000 a Year, Easy” 大森望訳
「金がものを言う」“Money Talks” 大森望訳
「人みな眠りて」“While Mortals Sleep” 大森望訳
「タンゴ」“Tango” 大森望訳
「ペテン師たち」“The Humbugs” 大森望訳
解説/川上弘美

■担当編集者のプチ解説
第3巻には2巻に引き続き「ロマンス」テーマのほか、仕事やお金をテーマにした「働き甲斐vs富と名声」を収録。みんなが知ってるまさかの実在の人物が出てくる名作「ハイアニス・ポート物語」、罪を被せられた男の一大スペクタクル・ドラマ「エド・ルービーの会員制クラブ」など、読み応えある短篇の勢揃いです。また表題作の「夢の家」はヴォネガットの作品には珍しい後味。ヴォネガット、こんな感じのストーリーも書くんだ……! という新鮮な驚きを覚えました。
3巻には新訳や初訳もたくさん入っています! マシマシの満足感をお約束します。ヴォネガットの思い出を語った、川上弘美さんの心に染み入る解説もお読み逃しなく。

カート・ヴォネガット全短篇4 明日も明日もその明日も
(書影クリック/タップでAmazonにジャンプします)
カバーイラストレーション/後藤美月

愛と笑いを与えてきた作家カート・ヴォネガットの全短篇を、8つのテーマに分類し集成。完結篇となる4分冊の第4巻には、「フォスター・ポートフォリオ」「ハリスン・バージロン」をはじめとする「ふるまい」「リンカーン高校音楽科ヘルムホルツ主任教諭」「未来派」テーマの28篇を収録する。解説:柴田元幸

【収録短篇】
●セクション6 ふるまい
「フォスター・ポートフォリオ」“The Foster Portfolio” 柴田元幸訳/★本書新訳
「カスタムメードの花嫁」“Custom-Made Bride” 浅倉久志訳
「無報酬のコンサルタント」“Unpaid Consultant” 浅倉久志訳
「お人好しのポートフォリオ」“Sucker's Portfolio” 大森望訳/★本書初出
「雄蜂の王」“The Drone King” 大森望訳/★本書初出
「ハロー、レッド」“Hello, Red” 大森望訳
「新聞少年の名誉」“The Honor of a Newsboy” 大森望訳
「ほら話、トム・エジソン」“Tom Edison's Shaggy Dog” 宮脇孝雄訳
「賢臓(キドリー)のない男」“The Man Without No Kiddleys” 大森望訳
「パウダーブルーのドラゴン」“The Powder-Blue Dragon” 浅倉久志訳
「駆け落ち」“Runaways” 浅倉久志訳
「説明上手」“The Good Explainer” 大森望訳
「人身後見人」“Guardian of the Person” 大森望訳
「ボーマー」“Bomar” 大森望訳
「ツァイトガイストのための鎮魂歌」“Requiem for Zeitgeist” 柴田元幸訳/★本書初出
「左に見えますのは」“And on Your Left” 宮脇孝雄訳/★本書初出

●セクション7 リンカーン高校音楽科ヘルムホルツ主任教諭
「手に負えない子供」“The Kid Nobody Could Handle” 大森望訳/★本書新訳
「才能のない少年」“The No-Talent Kid” 浅倉久志訳
「野心家の二年生」“Ambitious Sophomore” 浅倉久志訳
「女嫌いの少年」“The Boy Who Hated Girls” 浅倉久志訳
「セルマに捧げる歌」“A Song for Selma” 大森望訳

●セクション8 未来派
「ハリスン・バージロン」“Harrison Bergeron” 伊藤典夫訳
「モンキー・ハウスへようこそ」“Welcome to the Monkey House” 伊藤典夫訳
「アダム」“Adam” 宮脇孝雄訳
「明日も明日もその明日も」“Tomorrow and Tomorrow and Tomorrow” 浅倉久志訳
「ザ・ビッグ・スペース・ファック」“The Big Space Fuck” 伊藤典夫訳
「2BR02B」“2BR02B” 伊藤典夫訳
「無名戦士」“Unknown Soldier” 浅倉久志訳
解説/柴田元幸

■担当編集者のプチ解説
いよいよ『カート・ヴォネガット全短篇』も完結となる第4巻。「ふるまい」テーマのほか、高校のマーチング・バンドに首ったけな指導者ヘルムホルツ先生があんな事件やこんな事件に巻き込まれる「リンカーン高校音楽科ヘルムホルツ主任教諭」、ヴォネガットの真骨頂「未来派」テーマの28篇を収録しています。柴田元幸さん初のカート・ヴォネガット翻訳作品となる「フォスター・ポートフォリオ」「ツァイトガイストのための鎮魂歌」は必読! ほか、学生時代の大森望さんが読んでショックを受けた「ザ・ビッグ・スペース・ファック」、キョーレツなトンデモ設定がたまらない「ハリスン・バージロン」など、最後まで読み応えばっちりです。これで終わりだなんて……さよならなんて絶対言えないよ!

★第4巻『明日も明日もその明日も』は3月20日発売です!★ぜひ全巻揃えて、ヴォネガットの物語世界をお楽しみください。

【おまけ・こちらも読みたい、カート・ヴォネガット長篇リスト】
『プレイヤー・ピアノ』ハヤカワ文庫SF
『タイタンの妖女』ハヤカワ文庫SF
『母なる夜』ハヤカワ文庫SF白水Uブックス
『猫のゆりかご』ハヤカワ文庫SF
『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』ハヤカワ文庫SF
『スローターハウス5』ハヤカワ文庫SF
『チャンピオンたちの朝食』ハヤカワ文庫SF
『スラップスティック』ハヤカワ文庫SF
『ジェイルバード』ハヤカワ文庫SF
『デッドアイ・ディック』ハヤカワ文庫SF
『ガラパゴスの箱舟』ハヤカワ文庫SF
『青ひげ』ハヤカワ文庫SF
『ホーカス・ポーカス』ハヤカワ文庫SF
『タイムクエイク』ハヤカワ文庫SF

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