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【大反響!】北朝鮮といかに向き合うべきか? 米海軍大将が語る『海の地政学』の読みどころをご紹介。

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連日、ニュースを騒がす「北朝鮮がミサイル発射」の報道。各国の非難をよそに核・ミサイル開発をあきらめようとしないこの国に対して、周辺国はどんな手を打つべきなのでしょうか? また、北朝鮮問題の当事国のひとつであり、南シナ海など周辺海域で着実にプレゼンスを高めつつある中国とは、どう向き合っていくべきなのでしょうか?

課題山積の国際情勢を見通すうえで、大きなヒントとなるのが、本日発売の『海の地政学――海軍提督が語る歴史と戦略』です(原題Sea Power: The History and Geopolitics of the World's Oceans, 2017)。本書は、NATO(北大西洋条約機構)の欧州連合軍最高司令官を務めたジェイムズ・スタヴリディス元アメリカ海軍大将が語る、「海」の世界史と21世紀の海洋戦略論です。あの佐藤優氏も、推薦の辞をいただきました。

スタヴリディス提督は現役の士官時代から広く尊敬を集め、現在はタフツ大学フレッチャー・スクールで学長を務める、米海軍きっての知性派でもあります。過去にはTEDトークにも登場し、世界の安全保障のあり方について理性的に語り、大きな反響を呼びました(「海軍大将が考えるグル―バルな安全保障のすがた」)。現在も、国際政治や軍事問題などのご意見番として、CNNやNYタイムズなど主要メディアに頻繁に登場する注目の人物です。

今回の本では、「太平洋」「大西洋」「インド洋」「地中海」「南シナ海」「カリブ海」「北極海」の7つの海域に分けて、それぞれの歴史、主要国、現在の情勢とこれから予想される課題、アメリカが取りうる戦略について、つまびらかに語っています。

地中海の覇権をめぐる古代ギリシャ諸国やローマの海戦、コロンブスやマゼランらによる大航海、太平洋を舞台にした日米の艦隊戦、そして21世紀の国際政治の行方と海洋の未来まで――この本を手に取る読者は、歴史に対する鋭い洞察と、著者の豊富な艦隊勤務経験による海への深い愛に引き込まれ、うっとりさせられる詩的な描写と強い説得力にいつの間にか感化されてしまいます。

スタヴリディス提督は、1898年に沈没してアメリカとスペインの戦争(米西戦争)の引き金となった「メイン号」の絵を、長年オフィスに掲げているそうです(第5章)。「立派な軍艦の絵ではなく、なぜ沈む直前の船の絵を飾っているのですか?」との問いに、提督は何と答えているのか? その答えを知れば、著者の深い知性と鍛え抜かれたリーダーシップに、きっと感銘を受けるでしょう。

現役時代、スタヴリディス提督は日本の海上自衛隊と協力するためにたびたび来日しており、歴史ある海洋国家として、また米国の主要な同盟国としての日本に深い関心を寄せています。邦訳版の刊行にあたり、「日本の読者へ」という序文を寄稿してくれたのも、その関心の表れです。地政学者として活躍する奥山真司氏の背景事象を詳しく踏まえた解説と合わせて、ぜひご覧ください(奥山氏のブログはこちら)。

軍の元高官とはいえ、決して軍事力行使一辺倒ではないその柔軟な姿勢と、実務家ならではの現場感覚あふれる視座は、北朝鮮や中国への対応に頭を悩ませる我々日本人にも、大いに学べるところがあります。太平洋や南シナ海の章と最終章では、両国への対処策についても、くわしく論じられています。

通商、資源、環境面にも目配りしつつ、「海」がいかに人類史を動かし、今後も重要であり続けるかを説き明かす本書は、海軍理論家マハンの系譜を次ぐ新たな「シーパワー(海上権力)」論ともいえる話題作です。英語版の原書が6月に刊行されたばかりの最新刊、ぜひご覧いただけると幸いです。

★奥山真司氏の解説はこちら

★日本はなぜ「太平洋の大英帝国」にならなかったのか?――日本についての記述の一部を公開

【全国書店にて好評発売中】
『海の地政学――海軍提督が語る歴史と戦略』
ジェイムズ・スタヴリディス[著] 北川知子[訳]奥山真司[解説]

2017年9月7日発売、46判上製、328頁
ISBN 9784152097071
価格 2,376円(税込)
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013648/

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