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2016年9月27日発売 ブルース・スプリングスティーン自伝『ボーン・トゥ・ラン』著者メッセージ動画第二弾公開

9月27日に世界同時発売されるルース・スプリングスティーン自伝『ボーン・トゥ・ラン』について、著者からのメッセージ動画(英語)が公開されました。

 文章の書き方には独特のルールがある。書き手のもっている音楽的な規則と結びついているんだが、そこに音楽のない音楽を作らなければならない。ストーリーを進めたり、リズムを変化させたり、発声法を変えたり、といった具合に、ページのうえに、純粋な推進力を創造しなければならないんだ。

 古典的なロックンロールのイメージをとりいれたかった。道路や車や女の子……などなどをね。チャック・ベリー、ビーチ・ボーイズ、ハンク・ウィリアムズ、それに車輪が発明されてから出現し、いまでは消え去った追いはぎの言葉を自分なりに表現したかったんだ。音楽的に書くには、ギターを使って、リズムを刻み、時間を凝縮し、短い一文にいろいろな意味をつめこんで、さらに次の文を書いて、と、積み重ねていくんだ。本には詳細に描くという自由がある。それでも、音楽的なものにしたかった。うねりや動きのある文章にして、読者が興味をもちつづけるようにしたかったんだ。

 イメージを創りだすことが重要だった。新鮮なものを、新鮮ななにかを創りだしたかった。感傷的でありながら郷愁的なもの、親しみやすいものを。

 おれは、ベトナム戦争の時代に生きたアメリカの子どもであり、ケネディやキング牧師やマルコムXが暗殺された時代の子どもだ。アイゼンハワー大統領の1950年代の時代に言われていたような無垢な国とは感じられないし、政治がらみの暗殺、経済格差、制度化された人種差別などは、アメリカ人らしい人生という枠組みの外においやられてしまっていた。ものごとがうまくいかないのではないか、立派な道徳観が忘れ去られているのではないか、未来はずっと不安定なままではないか、といった不安が、世の中をおおいつくしていた。これが、この国の状態なので、おれの主人公がハイウェイを走るのであれば、こうしたさまざまな問題も車に載せなければならないんだ。

(編集部・訳)



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