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ハヤカワ・ノンフィクション

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ハヤカワ・ノンフィクション文庫や、ハヤカワ・ノンフィクションなど。話題のノンフィクション作品の解説、試し読みを公開中。
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#映画化

アメリカの裏社会を不気味に牛耳る犯罪帝国の実録『ザ・コーポレーション』試し読み

アメリカの裏社会を不気味に牛耳る犯罪帝国の実録『ザ・コーポレーション』試し読み

【レオナルド・ディカプリオ プロデュース、ベニチオ・デル・トロ主演 映画化!】
【アマゾン・ベストブック ☆4.7】

プロローグイダリア・フェルナンデスは、昼メロ(ソープ・オペラ)の『ジェネラル・ホスピタル』が大好きで、視聴に邪魔が入ることを嫌っていた。毎日午後3時、彼女は人気の長寿番組にチャンネルを合わせた。番組を観ているあいだは、電話が来ても出ないし、玄関扉のノックを無視することさえあった。

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待望の日本公開映画『ハウス・オブ・グッチ』気になる実在のモデルを実話原作から読み解く

待望の日本公開映画『ハウス・オブ・グッチ』気になる実在のモデルを実話原作から読み解く

高級ブランドグッチの三代目社長が殺害された。容疑者は、元妻――。
世界的ブランドの崩壊を描く衝撃の実話、『ハウス・オブ・グッチ』がいよいよ映画化され日本でも公開に。
次々と明らかになるグッチ一族の強欲と確執。ファッション業界最大と呼ばれた大スキャンダルの結末は?
原作『ハウス・オブ・グッチ』(サラ・ゲイ・フォーデン著、実川元子訳/ハヤカワ・ノンフィクション文庫)から、気になる内容を特別試し読みで紹

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【映画化原作】高級ブランドGUCCIの三代目社長が殺害された。容疑者は、元妻――。『ハウス・オブ・グッチ』試し読み

【映画化原作】高級ブランドGUCCIの三代目社長が殺害された。容疑者は、元妻――。『ハウス・オブ・グッチ』試し読み

1章 それは死から始まった1995年3月27日月曜日、午前8時30分。ジュゼッペ・オノラートは管理人をしている建物の入り口に吹き寄せられた落ち葉を掃いていた。その日、ふだんと変わらず8時に出勤すると、まずパレストロ通り20番地の大きな2つの木製ドアを開け放った。

ルネサンス様式の4階建てのビルは居住用アパートと事務所が入っていて、ミラノでもっとも洒落た通りに面している。通りを渡った正面には、なめ

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監督リドリー・スコット、出演マット・デイモン&アダム・ドライバーほか超豪華キャストの映画原作を文庫化 『最後の決闘裁判』9/16刊行

監督リドリー・スコット、出演マット・デイモン&アダム・ドライバーほか超豪華キャストの映画原作を文庫化 『最後の決闘裁判』9/16刊行

 2007年に刊行された『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』。
 今なお歴史家の注目を集める一大事件を、史料をもとにした丹念な調査で描き出した歴史ノンフィクションを、映画化に合わせて文庫化。9/16に刊行します!(『最後の決闘裁判』と改題)
 映画「最後の決闘裁判」は監督リドリー・スコット、出演マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー、ベン・アフレックら超豪華キャストで10月1

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今週金曜に映画が公開される『ガラスの城の約束』(ジャネット・ウォールズ)、とっておきの挿話を特別試し読み!

今週金曜に映画が公開される『ガラスの城の約束』(ジャネット・ウォールズ)、とっておきの挿話を特別試し読み!



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ハヤカワ文庫『ガラスの城の約束』(ジャネット・ウォールズ/古草秀子 訳)は、好評発売中です。

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大ベストセラー『ガラスの城の約束』の映画化作品が、6/14から全国順次、公開されます(詳しくは、ファントム・フィルム『ガラスの城の約束』)。
ヒロイン(原作者ジャネット・ウォールズ)を熱演する

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カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』と同時にアレックス賞を受賞した世界的ベストセラー『ガラスの城の約束』訳者あとがき

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』と同時にアレックス賞を受賞した世界的ベストセラー『ガラスの城の約束』訳者あとがき



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ハヤカワ文庫『ガラスの城の約束』(ジャネット・ウォールズ/古草秀子=訳)は、5月2日(木)発売です。

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『ガラスの城の約束』は、2005年、ヤングアダルト世代にとくに薦めたい大人向けの本に贈られる「全米図書館協会アレックス賞」をカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』等とともに受賞した回想録文学の名作。本書の魅力

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全米350万部の実話『ガラスの城の約束』衝撃の冒頭シーン。NYの街角で見かけた母の姿――

全米350万部の実話『ガラスの城の約束』衝撃の冒頭シーン。NYの街角で見かけた母の姿――



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ハヤカワ文庫『ガラスの城の約束』(ジャネット・ウォールズ/古草秀子 訳)は、5月2日(木)発売です。
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ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに10年以上ランク・インし続け、世界35カ国で翻訳された『ガラスの城の約束』。アカデミー賞受賞女優ブリー・ラーソン主演で映画化され、今、再び注目

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親子で売国! 全米を震撼させた「ニコルソン父子事件」とは?  ②〈息子・ネイサン編〉『スパイの血脈』5月9日発売

親子で売国! 全米を震撼させた「ニコルソン父子事件」とは? ②〈息子・ネイサン編〉『スパイの血脈』5月9日発売

〈父・ジム編〉はこちら

「お父さんが法廷であなたに謝っていましたね。『人生で最悪だったのは、自分のせいで息子が逮捕された日だ』と」インタビュアーがネイサン・ニコルソンに問いかける。

「あのことばはすごくうれしかったです。思い出させるから……ぼくの知ってる昔の父さんを」そう答えたネイサンの表情と口調には、苦悩の色がありありとにじんでいた。

ネイサン・ニコルソン。服役中の売国奴、ジム・ニコルソン

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親子で売国! 全米を震撼させた「ニコルソン父子事件」とは?  ①〈父・ジム編〉『スパイの血脈』5月9日発売

親子で売国! 全米を震撼させた「ニコルソン父子事件」とは?  ①〈父・ジム編〉『スパイの血脈』5月9日発売

コロラド州フレモント郡、ADXフローレンス刑務所。
米国一厳重な警備で知られ、「脱獄不可能」「収監されたが最後、二度と空を見ることはできない」「人格が徐々に崩壊していく」などと恐れられる、通称“ロッキー山脈のアルカトラズ”。

外界から隔絶されたこの場所に、ひとりの男が服役している。
男の名はジム・ニコルソン。
スパイ罪で有罪判決を受けたCIA局員のなかで、最も高い職位にあった人物。
祖国を二度裏

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