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2023年1月の記事一覧
小川楽喜『標本作家』第二章⑨ チャールズ・ジョン・ボズ・ディケンズ 十九世紀最大の小説家
(第15節はこちらの記事に掲載しています。)
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──そうして、時代は、十九世紀へと戻ってきます。
チャールズ・ジョン・ボズ・ディケンズ。十九世紀最大の小説家。イギリス国民からもっとも愛された作家。
〈終古の人籃〉で調べたかぎり、彼の作品は千年以上にわたって読み継がれていました。貧苦と孤独のなか、ロンドンの片隅にあった靴墨工場で働いていた少年が、ジャーナリストというキャリアを経て、英国
【イベント開催!】激動の2020年代、日本SFはどこへ向かうのか 『SFが読みたい!』刊行記念トークイベント
2022年の国内SFは、さまざまな雑誌やウェブメディア、アンソロジーなどで、新鋭作家を中心に数多くの短篇が発表され、まさに新時代ともいえる活況を呈しました。
そんななか、長谷敏司さんが10年ぶりに発表した本格SF長篇『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』は、AIとのダンス表現を通して人間性に迫った意欲作として話題を呼びました。また、ハヤカワSFコンテスト出身作家として、小川哲さんが幻想的な歴史巨
小川楽喜『標本作家』第二章⑧ クレアラ・エミリー・ウッズ 世紀不明、人類最後の文学者
(第14節はこちらの記事に掲載しています。)
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クレアラ・エミリー・ウッズ。世紀不明。どこにも属さない作家。
おそらくは人類最後の文学者です。そして、人類初の、標本化された作家でもあります。
彼女を既存のジャンルのいずれかに当てはめるのは不可能、いえ、無意味といっていいのではないでしょうか。あまりにも逸脱しているのです。彼女の書いたものの一側面に目をむければ、そこには狂想的な思索の断
小川楽喜『標本作家』第二章⑦ マーティン・バンダースナッチ 二十八世紀の児童文学作家
(第13節はこちらの記事に掲載しています。)
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マーティン・バンダースナッチ。二十八世紀の児童文学作家。
……二十八世紀ともなれば、世界のありようが劇的に変わり、その言及にも労を要すると思われるかもしれませんが、文明の発達度という点では、先述した二十四世紀のころと、たいした違いはありませんでした。
あのナノマシンの異常によって起こった連続狂死事件以降、ナノテクロノジーの研究が禁止され
カート・ヴォネガット、生誕100周年記念! 『スローターハウス5/そういうものだ』トートバッグ発売!
早川書房の公式 グッズレーベル 〈 HAYAKAWA FACTORY 〉の2023年初の新作は、生誕100周年を迎えたカート・ヴォネガットの代表作『スローターハウス5』のトートバッグです。 モチーフには、作中で繰り返し登場する名フレーズ「 "So it goes."(「そういうものだ」)を選び、バッグの真ん中に大胆にデザインしました。ナチュラルな風合いが魅力のキャンバス生地は、柔らかさと丈夫さを兼
もっとみる小川楽喜『標本作家』第二章⑥ エド・ブラックウッド 二十四世紀のホラー作家
(第12節はこちらの記事に掲載しています。)
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エド・ブラックウッド。二十四世紀のホラー作家。
彼の著したホラー小説が社会にどのような影響を与えたか、それを語るには、まず二十四世紀という時代の背景について述べなければいけません。
二十世紀にウィラル・スティーブンが執筆したSF小説にあるような未来は、完全な形ではおとずれませんでした。一部、実現したものもありますが、基本的には近代以降の
小川楽喜『標本作家』第二章➄ ロバート・ノーマン 二十二世紀のミステリー作家
(第11節はこちらの記事に掲載しています。)
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ロバート・ノーマン。二十二世紀のミステリー作家。
ミステリー小説をとりまく情勢は、二十二世紀に大転換をむかえることになります。インターネット上で「ミステリー小説の世界に飛びこむ」ということを試みたゲームが開始され、そこから数々の名作が発表されるようになったのです。
そのゲームは〈解しがたき倫敦〉というもので、仮想空間につくられたロンドン
小川楽喜『標本作家』第二章④ ウィラル・スティーブン 二十世紀のSF作家
(第10節はこちらの記事に掲載しています。)
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ウィラル・スティーブン。二十世紀のSF作家。
彼は、サイエンス・フィクションという分野の創始者ではありませんし、二十世紀においてより著名な「ビッグ・スリー」と呼ばれるSF作家たちのひとりに数えられているわけでもありません。──が、SFの全史を語る上では欠かせない、偉業をなした人物だということに異論をはさむ者は少ないのではないでしょうか。
あの“モンスター娘”たちが帰ってきた! 今度はヨーロッパ大陸で大冒険!! 『メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行 Ⅰウィーン篇』刊行
長らくお待たせしました! シオドラ・ゴスによる〈アテナ・クラブ〉シリーズ第二部前篇、『メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行 Ⅰウィーン篇』がいよいよ刊行されました!
本作はローカス賞受賞作『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』に続くシリーズ第二作。
第一部は、ヴィクトリア朝のロンドンで暮らすメアリ・ジキルが父に続いて母を亡くしたところからはじまります。メアリは屋敷の整理整頓をは
使い捨て人間ミッキーの前途はいかに!? エドワード・アシュトン『ミッキー7』堺三保氏解説
エドワード・アシュトン『ミッキー7』、いよいよ発売しました!
『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督×『THE BATMAN-ザ・バットマン-』ロバート・パティンソン主演による映画化決定の注目作です。『Mickey 17』のタイトルで、2024年3月29日に全米公開予定!
何度も死んでは生き返る、「使い捨て人間」となったミッキーの宇宙での奮闘を描く本作は、あのアンディ・ウィアー『プロ