マガジンのカバー画像

ハヤカワSF

559
ハヤカワ文庫SFや、新ハヤカワ・SF・シリーズなどの話題作品の解説、試し読みを公開中。
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

いまSFを読む本当の価値とは。「世界のリーダーはSFを読んでいる」フェア解説:大澤博隆

いまSFを読む本当の価値とは。「世界のリーダーはSFを読んでいる」フェア解説:大澤博隆

いまSFを読む本当の価値とは大澤博隆

SFとビジネスに関する動きが昨今盛り上がっている。私は、SFプロトタイピングと呼ばれる、SFを作る過程を革新的なビジネスアイデアを生むための思考に応用するやり方を研究している。ビジネスや実社会に影響を与えたSFとしては、多くの作品が挙げられる。今回復刊された『スノウ・クラッシュ』も、メタバースやアバターといった単語を生んだ小説であり、「予言書」のようにもては

もっとみる
『スノウ・クラッシュ』からバロック・サイクル三部作、最新作Termination Shockまで――ニール・スティーヴンスン作品ガイド(日暮雅通)

『スノウ・クラッシュ』からバロック・サイクル三部作、最新作Termination Shockまで――ニール・スティーヴンスン作品ガイド(日暮雅通)

『スノウ・クラッシュ』の原書が刊行されたのは1992年。ちょうど30年が経っている。この文庫での再刊も20年ぶりだが、これほど昔に出されたアイデアが今でも色褪せない、というより現在を先取りしていたことを考えると、ニール・スティーヴンスンが並々ならぬ作家であるとわかるだろう。

何が「先取り」なのかというと、言わずと知れた本書のメインテーマ、「メタヴァース」である。この言葉(発想)が、ここへ来て大き

もっとみる
世界はいかにハックされうるか? 『スノウ・クラッシュ』解読 鈴木健(SmartNews創業者・CEO)

世界はいかにハックされうるか? 『スノウ・クラッシュ』解読 鈴木健(SmartNews創業者・CEO)

『スノウ・クラッシュ』解読
 Decoding Snow Crash鈴木 健(SmartNews創業者・CEO)

物語の世界設定

『スノウ・クラッシュ』の舞台は、近未来のアメリカである。グローバル経済が行き着くところまで達し、世界はフラット化したあげく、アメリカの経済力は世界でも最低レベルになった。アメリカが世界に誇れるのは、音楽、映画、ソフトウェア、高速ピザ配達の4つだけになってしまった。

もっとみる
【フェア告知】マイケル・サンデル、オードリー・タン、エマ・ワトソン、イーロン・マスク……「世界のリーダーはSFを読んでいる」フェア開催!

【フェア告知】マイケル・サンデル、オードリー・タン、エマ・ワトソン、イーロン・マスク……「世界のリーダーはSFを読んでいる」フェア開催!

世界のオピニオンリーダーと呼ばれるさまざまな分野の人物。その人々が愛読しているSF小説をご存知ですか? 人々のイマジネーションを刺激し、革新的なアイデアを生み出す源として、近年SF小説が再注目を浴びています!

例えば、マーク・ザッカーバーグは仮想空間メタバースの構築を目指して社名をフェイスブック社からメタ社に変更しました。このメタバースという言葉・概念が初登場するのは、SF作家ニール・スティーヴ

もっとみる
話題の新刊『NSA』読者モニターの感想紹介、第一弾! 「とにかくすべてが衝撃的」「作者の筆力を確かに感じさせる傑作」「歴史改変ものとして満点の出来」

話題の新刊『NSA』読者モニターの感想紹介、第一弾! 「とにかくすべてが衝撃的」「作者の筆力を確かに感じさせる傑作」「歴史改変ものとして満点の出来」

アンドレアス・エシュバッハのクルト・ラスヴィッツ賞受賞作『NSA』、多くの皆様からの反響をいただいております。今回は本日は本作のゲラ先読みキャンペーンに参加された読者モニターの方々から寄せられた感想の一部をご紹介します! 

読者のみなさまの感想想像以上に読みやすかったのは、科学的要素の解説がさり気なく物語内に組み込まれ、登場人物たちの心情の変遷、相互の息詰まるようなやり取りがメインとなって、物語

もっとみる
【1/19同時刊行】第9回ハヤカワSFコンテスト大賞『スター・シェイカー』人間六度氏&優秀賞『サーキット・スイッチャー』安野貴博氏、受賞コメントを公開!

【1/19同時刊行】第9回ハヤカワSFコンテスト大賞『スター・シェイカー』人間六度氏&優秀賞『サーキット・スイッチャー』安野貴博氏、受賞コメントを公開!

第9回ハヤカワSFコンテストでは、スケールの大きさで4年ぶりの大賞作品誕生となった人間六度『スター・シェイカー』と、凄まじい完成度で審査員を驚かせた優秀賞作品、安野貴博『サーキット・スイッチャー』が選ばれました。

2021年はアガサ・クリスティー賞大賞受賞作の逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』が第166回直木賞の候補になり、紙版だけですでに7万部を超えるベストセラーになっていますが、ハヤカワSFコ

もっとみる
【1/19刊行】4年ぶりの大賞受賞作は、スピード感あふれるテレポート・バトル! 第9回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作『スター・シェイカー』本文冒頭公開!

【1/19刊行】4年ぶりの大賞受賞作は、スピード感あふれるテレポート・バトル! 第9回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作『スター・シェイカー』本文冒頭公開!

〈テレポータリゼーション〉社会が到来した未来――。
青年と少女の逃避行は、宇宙存亡の危機へと拡大する!
アイデア爆発のワイドスクリーン・バロック瞬間移動SF。

早川書房ではこのたび2022年1月19日に、第9回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作『スター・シェイカー』を刊行!

本作は、4年ぶりの大賞受賞作であり、また著者の人間六度氏は、現役の日大芸術学部の学生でありながら、同時期に電撃小説大賞《メ

もっとみる
ニール・スティーヴンスン初期の傑作、『スノウ・クラッシュ』『ダイヤモンド・エイジ』『クリプトノミコン』が一挙復刊!

ニール・スティーヴンスン初期の傑作、『スノウ・クラッシュ』『ダイヤモンド・エイジ』『クリプトノミコン』が一挙復刊!

仮想世界「メタヴァース」が実装された近未来のアメリカ。高速ピザ配達で生計を立てるヒロ・プロタゴニストは、謎のドラッグ「スノウ・クラッシュ」をめぐる巨大な陰謀に巻き込まれていく――。

「メタヴァースの原典」として注目を集めているニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ』が、2022年1月25日(火)、装いも新たに復刊します。

【あらすじ】メタヴァース上に出回る謎のドラッグ、「スノウ・クラッシ

もっとみる
クルト・ラスヴィッツ賞受賞作『NSA』、山形浩生氏による解説を公開! 現代のネット環境の持つ抑圧的な側面を指摘する衝撃作

クルト・ラスヴィッツ賞受賞作『NSA』、山形浩生氏による解説を公開! 現代のネット環境の持つ抑圧的な側面を指摘する衝撃作

アンドレアス・エシュバッハのクルト・ラスヴィッツ賞受賞作『NSA』は、多くの皆様からの反響をいただいております。第2次大戦下のドイツで携帯電話とインターネットが発展していたという歴史改変SFです。ナチス政権のもと究極の監視システムが構築されるという絶望の時代を描いた作品です。
評論家の山形浩生氏に、解説を書いていただきました。下巻巻末に収録しているこの解説を全文公開いたします。

解説 

 評論

もっとみる