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海外文芸

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#翻訳文学

ナオミ・イシグロ『逃げ道』刊行予告。不器用な人たちが抱く、小さな孤独感を温かに描きだす傑作短篇集

ナオミ・イシグロ『逃げ道』刊行予告。不器用な人たちが抱く、小さな孤独感を温かに描きだす傑作短篇集

イギリス文学界の新星、ナオミ・イシグロのデビュー短篇集『逃げ道』(竹内要江訳)を9月20日、早川書房より刊行します。

ここに登場するのは、どこか不器用な人たちばかり。「当たり前の日常」に、つまずいてしまった人々です。
母親と再婚相手にわかってもらえないと嘆く、魔法使いになることを夢見る男の子、新婚の妻の買い物を見て、理解不能な一面を知ってしまった夫、人の何倍もの体感速度で生きる男とひどい記憶力の

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自分に正直でなければ、生きている甲斐がない。『食べて、祈って、恋をして』著者が贈る、「ありのままの私」を生きる女性たちの小説『女たちのニューヨーク』(エリザベス・ギルバート)

自分に正直でなければ、生きている甲斐がない。『食べて、祈って、恋をして』著者が贈る、「ありのままの私」を生きる女性たちの小説『女たちのニューヨーク』(エリザベス・ギルバート)

早川書房では、5月18日にアメリカの作家エリザベス・ギルバートの長篇小説『女たちのニューヨーク』(原題City of Girls)を刊行します。

著者は、『食べて、祈って、恋をして』で、全世界の女性たちを勇気づけたエリザベス・ギルバート。今作では、1940年代のニューヨークを舞台に、慣習をうちやぶって、自分の力で道を切り開いていく女性たちを描き出します。

『女たちのニューヨーク』
エリザベス・

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さまざまな地下をめぐる、文学、神話、思索にあふれた旅。ガーディアン紙「21世紀ベスト・ブック100」に選ばれた『アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空間』試し読み公開中

さまざまな地下をめぐる、文学、神話、思索にあふれた旅。ガーディアン紙「21世紀ベスト・ブック100」に選ばれた『アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空間』試し読み公開中

『アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空間』は英国人作家ロバート・マクファーレンが、さまざまな地下をめぐったノンフィクション。ナショナル・アウトドア・ブック・アワードをはじめ、ウェインライト賞、スタンフォード・ドルマン紀行文学賞を受賞し、英ガーディアン紙が選ぶ「21世紀ベスト・ブック100」に選出されました。

ロバート・マクファーレンは1976年、英国ハラム生まれの冒険家・作家。自身が登山や探

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フランス文学最高峰ゴンクール賞受賞作『三人の逞しい女』(マリー・ンディアイ/小野正嗣訳)訳者あとがき

フランス文学最高峰ゴンクール賞受賞作『三人の逞しい女』(マリー・ンディアイ/小野正嗣訳)訳者あとがき



(書影・リンクは、Amazonにリンクしています)
『三人の逞しい女』マリー・ンディアイ/小野正嗣訳

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今回は、フランス文学最高峰のゴンクール賞を受賞した傑作小説『三人の逞しい女』をご紹介します。父に捨てられた弁護士のノラ、移住先で教師の職を捨てなければならなかったファンタ、夫を失ったカディ・デンバ。三人の女たちの絡み合う生を通した先に見える「逞しさ」とは何か。芥川賞作家である訳

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「底なしにも思える奈落を超高速で走り抜けるジェットコースター」ジャン゠クリストフ・グランジェ『死者の国』解説公開

「底なしにも思える奈落を超高速で走り抜けるジェットコースター」ジャン゠クリストフ・グランジェ『死者の国』解説公開



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前回の記事「読める煉瓦発売中! ジャン゠クリストフ・グランジェ『死者の国』厚さ対決」にて500円玉やみかんと死闘を繰り広げた『死者の国』。内容の分厚さを存分に語った、ミステリ書評家・三橋曉による解説を公開いたします!

 解説                                     三橋曉 昨年の夏、書店に並んだフレンチ・

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ジェンダーギャップ指数で読み解く『三つ編み』。110位の日本ではどう読まれるか? 解説/髙崎順子氏

ジェンダーギャップ指数で読み解く『三つ編み』。110位の日本ではどう読まれるか? 解説/髙崎順子氏



(書影・リンクは、Amazonにリンクしています)
『三つ編み』レティシア・コロンバニ/齋藤可津子訳/早川書房

境遇が異なる3人の女性たちを描く『三つ編み』。フランスで書かれたにもかかわらず、実は、フランス人もフランスという国も出てきません。それはなぜか? そして、他の国が選ばれたのはどうしてか? 
フランス在住のライター、髙崎順子氏による解説を公開します。

ジェンダーギャップ指数で読み解

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日本では、強い女の子は圧倒的に損なのだ。なぜか?――『三つ編み』レビュー(佐々涼子 ノンフィクション・ライター)

日本では、強い女の子は圧倒的に損なのだ。なぜか?――『三つ編み』レビュー(佐々涼子 ノンフィクション・ライター)



(書影はAmazonにリンクしています)

早川書房より好評発売中の『三つ編み』(レティシア・コロンバニ/齋藤可津子訳)。理不尽な人生に立ち向かう3人の女性たちを描き、フランスで100万部突破したベストセラーを、ノンフィクションライターの佐々涼子さんがレビューします。

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日本では、強い女の子は圧倒的に損なのだ。なぜか?佐々涼子

レビューを書く前に、ごくごく個人的な話をすると、私

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フランスで100万部、女性たちにエールを送る小説『三つ編み』(レティシア・コロンバニ、齋藤可津子訳)訳者あとがき

フランスで100万部、女性たちにエールを送る小説『三つ編み』(レティシア・コロンバニ、齋藤可津子訳)訳者あとがき



(書影・リンクは、Amazonにリンクしています)
『三つ編み』レティシア・コロンバニ/齋藤可津子訳
早川書房/4月18日発売

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理不尽な人生と闘う3人の女性。遠く離れた彼女たちを支えたのは、髪のきずなだった。
フランスで100万部突破し、全世界で共感と賛同の声があがっている小説『三つ編み』(レティシア・コロンバニ)の読みどころを、訳者の齋藤可津子さんに語っていただきます。

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ピエール・ルメートル最新刊『炎の色』発売! 『天国でまた会おう』3部作第2弾の壮大な面白さ:訳者あとがき公開

ピエール・ルメートル最新刊『炎の色』発売! 『天国でまた会おう』3部作第2弾の壮大な面白さ:訳者あとがき公開

『その女アレックス』のピエール・ルメートルが著した、傑作歴史小説にしてピカレスク・ロマンのゴンクール賞受賞作『天国でまた会おう』。同作の続篇にあたる『炎の色』がいよいよ発売されました。

(書影はAmazonにリンクされています)
『炎の色』ピエール・ルメートル、平岡敦訳
単行本・文庫(上下巻)同時発売!

発売を記念して、平岡敦さんによる訳者あとがきを特別公開いたします!

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 本書は2

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