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ハヤカワ・ミステリ

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「ハヤカワ・ミステリ」及び「ハヤカワ・ミステリ文庫」の話題作品の解説、試し読みを公開中。
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#海外ミステリ

「数学テーマは苦手……」と迷っている方にもおすすめ。ノヴァ・ジェイコブス『博士を殺した数式』訳者あとがき公開

「数学テーマは苦手……」と迷っている方にもおすすめ。ノヴァ・ジェイコブス『博士を殺した数式』訳者あとがき公開

「数学テーマは苦手……」と迷っている方にもおすすめ! 本書のあらすじと読みどころを紹介している、訳者の高里ひろさんによるあとがきを公開します。

     『博士を殺した数式』ノヴァ・ジェイコブス/高里ひろ〈訳〉好評発売中!

    訳者あとがき 高里ひろ
 数学者であるということは、数学に内在する美はいうまでもなく、虹の形や色彩、犬の歩調の正確なリズムといった日常世界の数学的な美しさに出会うこ

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『元年春之祭』クロス・レビュー第2弾! 「文章の美しさ、端正さ」――立原透耶

『元年春之祭』クロス・レビュー第2弾! 「文章の美しさ、端正さ」――立原透耶



前回に引き続き、現在発売中の「ミステリマガジン」11月号に掲載されている『元年春之祭』クロス・レビューより、中国文学研究家・作家の立原透耶氏にご執筆いただいたレビューを特別掲載いたします。

文章の美しさ、端正さ

立原透耶(中国文学研究家・作家)

 待望の日本語訳、日本での出版である。これほど期待され、またこれほど望まれた中華ミステリ作家(それも大陸)はそういないのではないか。陸秋槎、一九

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『元年春之祭』クロス・レビュー第1弾! 「二人の少女がぶつかり合い推理する優れた青春本格ミステリ」――千街晶之

『元年春之祭』クロス・レビュー第1弾! 「二人の少女がぶつかり合い推理する優れた青春本格ミステリ」――千街晶之



現在発売中の「ミステリマガジン」11月号に掲載されている『元年春之祭』クロス・レビューより、文芸評論家・千街晶之氏にご執筆いただいたレビューを特別掲載いたします。

二人の少女がぶつかり合い推理する優れた青春本格ミステリ

千街晶之(文芸評論家)

 中国、台湾、香港といった中国語圏のミステリが「華文ミステリ」の名称のもとに注目を集めていることは、本誌の読者には今更説明するまでもないだろう。こ

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特集 ジョー・イデ『IQ』⑤――アイゼイアVS変質者! カーチェイスの決着は!? 冒頭試し読み掲載(3/3)

特集 ジョー・イデ『IQ』⑤――アイゼイアVS変質者! カーチェイスの決着は!? 冒頭試し読み掲載(3/3)



好評発売中のミステリ『IQ』より、冒頭部分の試し読み第三弾を掲載します!
・試し読み第一弾はこちらから
・試し読み第二弾はこちらから

 アウディが通りを疾走し、ぼやけた家並みが過ぎ去っていく。アイゼイアは歯を食いしばっているが、それを除けば表情は変わっていない。おそらくあの男はこうしようとたくらんでいた。クロロフォルムを持って荒っぽい界隈に来て、手ごろな少女を探していた。しかも、あの少女を素

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特集 ジョー・イデ『IQ』④――アイゼイアが遭遇した事件とは? 冒頭試し読み掲載(2/3)

特集 ジョー・イデ『IQ』④――アイゼイアが遭遇した事件とは? 冒頭試し読み掲載(2/3)



 

好評発売中のミステリ『IQ』より、冒頭部分の試し読み第二弾を掲載します!
・試し読み第一弾はこちらから

 ボイドはきのうと同じ場所にトラックを駐めた。やたらぴりぴりしているが、腹は決まっている。必要なのは、横のシートに置いてあるトカゲのような緑色のボウリング用バッグだけだ。ダクトテープ、ゴム手袋、熟れたトマトを透けて見えるくらい薄くスライスできる切れ味鋭い骨取り用ナイフ。そのほか、大き

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特集 ジョー・イデ『IQ』③探偵アイゼイア・クィンターベイ登場――冒頭試し読み掲載(1/3)

特集 ジョー・イデ『IQ』③探偵アイゼイア・クィンターベイ登場――冒頭試し読み掲載(1/3)



好評発売中のミステリ『IQ』より、冒頭部分の試し読み第一弾を掲載します!

プロローグ

 ボイドは学校の向かいにトラックを駐め、チャイムが鳴るのを待っていた。外の気温は三十五度近くで、運転席の空気は墓の中のように息苦しくよどんでいる。汗がボイドのフィッシング・キャップに黒い染みをつくり、だらだらと顔に垂れ、目に入り、日焼けした肌にしみた。いくらかでもましになるかとTシャツの襟を揺すったものの

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特集『IQ』②遅咲き日系人作家が生み出した、ロス黒人街の「ホームズ」――【文庫解説特別公開】

特集『IQ』②遅咲き日系人作家が生み出した、ロス黒人街の「ホームズ」――【文庫解説特別公開】



好評発売中のミステリ、ジョー・イデ『IQ』から書評家・エッセイストの渡辺由佳里氏による解説を特別掲載いたします。

遅咲き日系人作家が生み出した、ロス黒人街の「ホームズ」
      エッセイスト・書評家 渡辺由佳里   私が『IQ』の作者ジョー・イデと出会ったのは二〇一六年五月にシカゴで開催されたブックエキスポ・アメリカの会場だった。日系アメリカ人の新人作家ということで興味をいだいて会話を交

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特集『IQ』①ミステリ新人賞三冠! 日系アメリカ人作家のデビュー作登場

特集『IQ』①ミステリ新人賞三冠! 日系アメリカ人作家のデビュー作登場



現代ロサンゼルスの暗黒街を往く、新たなる名探偵が登場! ハヤカワ・ミステリ文庫より好評発売中のジョー・イデ『IQ』をご紹介します。

◆『IQ』とは? ヒップホップ文化のメッカにしてギャング抗争が渦巻くロサンゼルス南部を舞台に、コナン・ドイルの《シャーロック・ホームズ》にインスパイアされた新たな私立探偵小説が登場です。黒人青年探偵のアイゼイア・クィンターベィ、通称“IQ”を主人公とした本書は、

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エドガー賞受賞作『晩夏の墜落』が文庫&ポケット判の2形態で7月6日同時発売! 人気海外ドラマ『ファーゴ』『BONES』のクリエイターが執筆した社会派サスペンス傑作から、衝撃の冒頭部分を公開

エドガー賞受賞作『晩夏の墜落』が文庫&ポケット判の2形態で7月6日同時発売! 人気海外ドラマ『ファーゴ』『BONES』のクリエイターが執筆した社会派サスペンス傑作から、衝撃の冒頭部分を公開

 全米最高のミステリ小説に与えられるアメリカ探偵作家クラブ賞(通称「エドガー賞」)の最優秀長篇賞を受賞した『晩夏の墜落』(ノア・ホーリー著/川副智子訳)が、ポケット判と文庫で2つの判型で7月6日同時発売となりました。

 ※文庫版・ポケット判の内容は同一です。

 本書を執筆したのは、話題の人気海外ドラマ『FARGO/ファーゴ』『BONES―骨は語る―』『レギオン』などを手掛けたドラマクリエイター

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