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アニー・エルノー既刊単行本4作、電子書籍版先行配信開始!

本年度ノーベル文学賞受賞作家、アニー・エルノーの既刊単行本4点、『凍りついた女』『場所』『戸外の日記』『ある女』の電子書籍版を配信開始しました。紙版の書籍については11月下旬重版出来予定ですが、それに先駆けての先行配信となります。ぜひチェックしてみてください!
Kindleの商品ページへのリンクを紹介しますが、他の電子書籍ストアでも順次配信が始まります。普段お使いの電子書籍ストアをお持ちのかたはそちらもぜひご利用ください。

彼女は、恋愛で結ばれたエリート・ビジネスマンを夫に持つ高校教師。子供が二人いて、快適なアパルトマンに暮らしているが、結婚生活に失望している。いわゆる主婦の役割を期待されて、買い物、食事の支度、子供の世話、その他の家事に明け暮れるうち、生きる意欲や、外界への好奇心が、自分のなかで錆びついていくのを感じるしかない。自由と自立のなかの幸福を志向していたはずなのに、そういう状況にはまり込んでしまうとは。自らの軌跡をたどって、彼女は、幼少時、思春期、学生時代、恋愛の時期、結婚後を語る――「女の子」として、「女性」として、どう生きてきたかを語る。

フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自立への意欲と結婚生活への失望を描く、自伝的小説。

父は労働者階級出身だった。

十二歳で学校を辞めさせられてから、農場で雇われ、その後は工場に勤務、母と結婚してからは小さな町で店をもった。フランス語の綴りもままならず、ずっと知識階級に引け目を感じていた人生だった。一人娘が学校で優秀な成績を収め、特に国語に秀でていることが分かってからも、娘が図書館に行ったり、家で本を読むのを嫌がった。そんな父も、娘がエリート出身の男と結婚して孫が産まれてからは、少しずつ娘が仲間入りを果たした知識階級へのコンプレックスとうまく折り合いをつけていったが――。

フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自分よりも上の階級に行こうとする娘へのわだかまりを抱える父を見つめる自伝的小説。1984年、ルノードー賞受賞。

「私は今では、人が自己をあらわに見出すのは【私的日記/ジュルナル・アンティーム】による内省においてよりも、むしろ自らを外界に映し出してみるときだと確信している」

1985年から1992年にかけて、著者は自らが暮らしたパリ近郊のニュータウンで見聞したスーパーのレジ係、地下鉄ですれ違ったひとなど、見過ごしてしまうような情景を日記のごとく書きとめてきた。スケッチ風の短い断章からなる本書は、独自の視点と感性で、「戸外」の日常的な場所で見かける他人の内面を炙り出し、自己への認識を深めていく。

フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した作家の鋭い観察眼が光る随筆集。

母が死んだ。

十二歳で学校を辞めて工場で働き、父と結婚した後は、共に店を切り盛りしていた母の人生。自分の子供に少しでも良い教育をと子どもの数は一人にし、教育にお金をかけてくれた母。そんな母の誇りは、一人娘が教員免許をとり、知識階級の仲間入りを果たしたことだった。やがて忍び寄る病魔の影。母はアルツハイマー病になっていた。母を引き取り介護に明け暮れるが、自分一人では母の面倒を見切れず、養老院に預けることに――。

フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した著者が、自らの母親の人生と、母が娘に託したものを綴る、自伝的小説。

著者略歴
1940年、フランス北部ノルマンディー地方のリルボンヌ生まれ。五歳頃から十八歳まで、小さなカフェ兼食料品店を営む両親のもと、同じ地方のイヴトーという町で過ごした。ルーアン大学卒業後、長年高等教育に従事した。1974年、Les Armoires vides『空の洋服ダンス』、未訳)で作家としてデビュー。1981年に第三作『凍りついた女』La femme gelée)を発表。父を語った自伝的な第4作『場所』La place)(1984年)で1984年度のルノードー賞を受賞。つづく第5作『ある女』Une femme)(1988年)では母を語り、『シンプルな情熱』(1992年)では一転して自己の性愛体験を語って大反響を呼んだ。1993年には、『戸外の日記』Journal du dehors)を発表。近日発売予定の『嫉妬/事件』に収録の「事件」と「嫉妬」を、それぞれ2000年と2002年に刊行した。2008年に発表したLes Années『歳月(仮題)』)でマルグリット・デュラス賞を受賞した。2022年にはLe Jeune Homme『若い男(仮題)』)を上梓し、執筆活動を積極的に続けている。2022年に、ノーベル文学賞を受賞した。

『嫉妬/事件』『シンプルな情熱』についてはすでに電子書籍でもお求めいただくことができます。

また、2021年にはフランスのオードレイ・ディヴァン監督による、「事件」を原作とした映画「あのこと」が公開され、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。こちらは、12月2日から、Bunkamuraル・シネマほか全国で上映開始となります。
監督/オードレイ・ディヴァン
出演/アナマリア・ヴァルトロメイサンドリーヌ・ボネール
2021/フランス映画/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/100分/翻訳:丸山垂穂
公開/2022年12月2日(金)Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
配給/ギャガ


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