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ハヤカワ・ノンフィクション

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ハヤカワ・ノンフィクション文庫や、ハヤカワ・ノンフィクションなど。話題のノンフィクション作品の解説、試し読みを公開中。
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#ノンフィクション

コンピュータのない時代、既にインターネットが存在した!? トム・スタンデージ『ヴィクトリア朝時代のインターネット』まえがき

コンピュータのない時代、既にインターネットが存在した!? トム・スタンデージ『ヴィクトリア朝時代のインターネット』まえがき

コンピュータも抗生物質も飛行機もなかった19世紀に、インターネットがあった⁉ 情報時代の起源をヴィクトリア朝に見出し、現代の私たちのメディア観を大きく揺さぶる話題のノンフィクションが『ヴィクトリア朝時代のインターネット』(トム・スタンデージ、服部桂訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)。
ヴィクトリア女王の治世で登場した電信は、かつてない距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にしました。通信社間

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光を失ったわたしの“目”になってくれる新しい相棒の存在。『わたしのeyePhone』試し読み(三宮麻由子)

光を失ったわたしの“目”になってくれる新しい相棒の存在。『わたしのeyePhone』試し読み(三宮麻由子)

このレトルト食品の中身はカレー、それともシチュー? マンションの掲示板には何が書いてある? 幼いころに光を失ったエッセイストが、小さな相棒であるスマホ(スマートフォン)との新しい発見に満ちた日々を生き生きとつづるのが、話題の新刊『わたしのeyePhone』(三宮麻由子、早川書房)。
とってもおしゃべりな四角い相棒との生活を覗いてみると……? 著者の日常を一変させたスマホとの日々を繊細に描き出す本書

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小説やドラマで『三体』の設定をさらに深く知りたくなったら次はこれ! 『宇宙の超難問 三体問題』特別試し読み

小説やドラマで『三体』の設定をさらに深く知りたくなったら次はこれ! 『宇宙の超難問 三体問題』特別試し読み

SF『三体』をきっかけに「そもそも三体問題って何?」と興味を持った方にお薦めの新書が出ました! 5月2日発売のハヤカワ新書『宇宙の超難問 三体問題』(マウリ・ヴァルトネン、谷川清隆ほか著、谷川清隆監訳、田沢恭子訳)です。
宇宙に浮かぶ二つの天体の運動「二体問題」は科学の進歩により計算可能に。では三つの天体の場合は? 
ピタゴラス、ニュートン、オイラー、ラグランジュ、ポアンカレ、アインシュタイン……

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オッペンハイマー解説③:クリストファー・ノーランはオッペンハイマーのどこに惹かれたのか

オッペンハイマー解説③:クリストファー・ノーランはオッペンハイマーのどこに惹かれたのか

「原爆の父」と呼ばれた天才物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描き、全米で絶賛された傑作評伝がついに文庫化。映画監督クリストファー・ノーランも名著と賞賛する本書『オッペンハイマー(上・中・下、三巻組)』(カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン、河邉俊彦訳、山崎詩郎監訳、早川書房)は、日本での劇場公開に合わせ好評発売中です(電子書籍も同時発売)。
この記事では本書下巻に収められ

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「すぐれた生還譚」では終わらない実話の凄みとは。『絶海』書評:小川一水

「すぐれた生還譚」では終わらない実話の凄みとは。『絶海』書評:小川一水

遠洋での難破、軍人たちの叛逆、殺人、そして人肉食――300年前の人間の血と汗、飢餓、絶望を読む者に生々しく体感させる“圧倒的筆致”が話題の新刊が『絶海 英国船ウェイジャー号の地獄』(デイヴィッド・グラン、倉田真木訳、早川書房)。
当初の乗組員250名のうち奇跡的に帰還できた僅か33名の生存者を、母国で待ち受けていたものとは? 本書の暴く本当の地獄とは? 本書の読みどころと著者の特異な視点を、作家・

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散歩は他者性を求めるアクティビティ。島田雅彦×栗原康『散歩哲学』刊行記念対談

散歩は他者性を求めるアクティビティ。島田雅彦×栗原康『散歩哲学』刊行記念対談

散歩をこよなく愛する作家・島田雅彦氏が「歩きながら考える」ことの効能と実践を語りつくした『散歩哲学 よく歩き、よく考える』(ハヤカワ新書)。本書の刊行を記念し池袋のジュンク堂書店池袋本店で開催された、政治学者でアナキストの栗原康氏と著者の対談の模様をお届けします。最新作『超人ナイチンゲール』も話題沸騰の栗原氏との対話のなかで見えてきた、現代において散歩が持つ大いなる可能性とは?

他者性との交差コ

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これがノンフィクションの最前線! 話題の新刊『絶海』試し読み

これがノンフィクションの最前線! 話題の新刊『絶海』試し読み

乗組員250名、生還者33名。難破、叛逆、殺人、そして人肉食――300年前の人間の血と汗、飢餓、絶望を読む者に体感させる“圧倒的筆致”が、歴史の狭間の真実を暴く。
4月23日発売の話題の新刊『絶海 英国船ウェイジャー号の地獄』(デイヴィッド・グラン、倉田真木訳、早川書房)より、本書冒頭部分を抜粋して特別に試し読み公開します。

著者覚書正直申し上げて、私は船が岩にぶつかるところや乗組員が艦長を縛り

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「意見の相違」こそが豊かな社会と人生をつくる—『まずは「聞く」からはじめよう』冒頭特別公開

「意見の相違」こそが豊かな社会と人生をつくる—『まずは「聞く」からはじめよう』冒頭特別公開

競技ディベートの世界大会を二度制覇した伝説のディベーターが自らの経験から導き出した、よりよい対話のための技術を指南する『まずは「聞く」からはじめよう——対話のためのディベート・レッスン』(ボー・ソ著、川添節子訳、早川書房)が本日発売しました。

今回の記事では、本書「はじめに」を特別公開いたします。2003年の夏に家族とともに韓国からオーストラリアに移住して以来、周囲の環境になじめず、自分の意見を

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オッペンハイマー解説②:正反対の思想と深い敬意を併せ持ったノイマンの実像

オッペンハイマー解説②:正反対の思想と深い敬意を併せ持ったノイマンの実像

「原爆の父」と呼ばれた天才物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描き、全米で絶賛された傑作評伝がついに文庫化。アカデミー賞を受賞した映画監督クリストファー・ノーランも名著と賞賛する本書『オッペンハイマー(上・中・下、三巻組)』(カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン、河邉俊彦訳、山崎詩郎監訳、早川書房)は、日本での映画公開(3月29日)に先駆け好評発売中です(電子書籍も同時発売

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言論の自由はいつどうやって生まれたのか? 『ソクラテスからSNS』冒頭を試し読み公開

言論の自由はいつどうやって生まれたのか? 『ソクラテスからSNS』冒頭を試し読み公開

私たちの世界における「言論の自由」は、いつ生まれ、どのような変遷を経てきたのか? 古代ギリシアの時代からインターネット空間に膨大な情報が氾濫する現代まで、人類三千年の歴史を一望に俯瞰する話題の新刊が、『ソクラテスからSNS ――「言論の自由」全史』(ヤコブ・ムシャンガマ、夏目大訳、早川書房)。
本書の「はじめに」より抜粋・編集して特別試し読み公開します。「言論の自由」は絶対善? それとも制限すべき

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所有権の驚くべき真実を解き明かす! 『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』序章試し読み

所有権の驚くべき真実を解き明かす! 『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』序章試し読み

リクライニングシートの攻防から土地争い、環境問題、はたまた戦争まで……「僕のもの!」「私のもの!」で世界は回っていると説くのがいま話題の新刊『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』(マイケル・ヘラー&ジェームズ・ザルツマン、村井章子訳、早川書房)。
早い者勝ちか? それとも労働の報いであるべきか? 「所有権」の驚くべき真実を解き明かす本書序章を、特別に全文試し読み公開します。

序章 誰が

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言論・出版・表現の自由の真の価値を照射する「言論の自由の歴史」決定版!『ソクラテスからSNS』解説

言論・出版・表現の自由の真の価値を照射する「言論の自由の歴史」決定版!『ソクラテスからSNS』解説

「言論の自由」は人類三千年の歴史において実際のところどのような役割を果たし、どのような運命をたどって今私たちの手の中にあるのか?
古代ギリシアから啓蒙主義、市民革命などを経てインターネット空間に虚実さまざまな情報が蔓延する現代までを広く俯瞰する話題の新刊が『ソクラテスからSNS ――「言論の自由」全史』(ヤコブ・ムシャンガマ、夏目大訳、早川書房)。本書のテーマを『正義とは何か』などの著書で知られる

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邪悪すぎるエルサ、皮肉屋のオラフ…欠点だらけの「アナ雪」を大ヒット映画に生まれ変わらせたイノベーションとは?『生産性が高い人の8つの原則』試し読み

邪悪すぎるエルサ、皮肉屋のオラフ…欠点だらけの「アナ雪」を大ヒット映画に生まれ変わらせたイノベーションとは?『生産性が高い人の8つの原則』試し読み

どうして生産性が高い人とそうでない人がいるのか? 両者の違いは何か?
ピュリッツァー賞受賞のジャーナリストが様々なプロフェッショナルを取材し、生産性を上げるためのアイディアを具体例とともに示す『生産性が高い人の8つの原作』(チャールズ・デュヒッグ、鈴木晶訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)が刊行されました。
誰もが知っている大ヒット映画『アナと雪の女王』(アナ雪)は最初、「最後まで誰も好きになれな

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第96回アカデミー賞Ⓡ受賞!〈作品賞ほか、最多7部門〉クリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』原作試し読み

第96回アカデミー賞Ⓡ受賞!〈作品賞ほか、最多7部門〉クリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』原作試し読み

第96回アカデミー賞授賞式が現地時間3月10日(日本時間翌11日)に開催され、クリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』が作品賞ほか、最多7部門で受賞しました!!
2024年3月29日の日本での映画劇場公開の前に、早川書房から好評発売中の映画原作『オッペンハイマー』(カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン、河邉俊彦訳、山崎詩郎監訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)でぜひその世界観を

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